UA-77435066-1

新茶の季節

 | 

2005-04-07春の訪れと共に新茶の季節となりました。

日本のみならず、世界のお茶の源流である中国においても春は茶摘みの最盛期となります。

中国のお茶といえば真っ先に浮かぶのが「烏龍茶-うーろんちゃ-」ですが、実は烏龍茶の歴史は数千年に及ぶ中国茶の歴史から見るとまだまだ浅く、製法が確立されたのは約200年前の清代と言われています。日本では余り知られていませんが中国におけるお茶の生産量も7割は緑茶が占め烏龍茶は2割程なのです。元は主産地である福建省や広東省でのみ一般的に知られていたお茶で、北京や上海では烏龍茶を知らない市民の方が多かったくらいですが、華僑の働きかけによって国内よりもむしろ日本のように海外での知名度と需要が高まっていったのです。

烏龍茶は一般に「発酵」と呼ばれる茶葉の酸化の度合いによって味のバリエーションが多く、その中でもペットボトル等で売られている日本の烏龍茶の多くがモチーフにしているのが福建省北部・武夷山(ぶいさん)の岩山に自生する茶樹から作られる「岩茶-がんちゃ-」です。

武夷山は世界遺産にも指定されている景勝地で、古くから茶樹が自生していたといわれ、中でも世界最高峰と呼ばれるお茶「岩茶・大紅袍-だいこうほう-」の茶樹は樹齢350年とされています。毎年1~2キロしか採取できず数百万円で取引されるこのお茶の樹は僅か4本、国家によって管理され一般の人は近付くことすら出来ません。

4大岩茶の一つ「岩茶・白鶏冠 -はっけいかん-」、春に萌え出した葉の先が赤く鶏の鶏冠(とさか)の様だから、というように岩茶のネーミングには様々由来のある物が多く、このように見た目に由来する物や、また「岩茶・不知春-はるしらず-」は芽吹きが他の茶樹に比べて遅いため茶葉達は春を知らずに育つ、といった見立てに由来する物などもあります。また同じく「岩茶・不見天-ふけんてん-」は、日の当らない岩場のくぼみに生えていて生涯天を見ることがないから、などもあります。

樹齢数百年といわれる岩茶はとてもではありませんが、原木を挿し木した茶樹から製茶された岩茶なら十分に手が届きます。名前から想像される様々な由来に思いを馳せながら、休息の一時を過ごしてみるのはいかがでしょうか。

(コラムニスト 現庵/絵:吉田たつちか)2006-04

コメントを残す