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五月のこよみ

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1205-01五月の二十四節季にはまず立夏(りっか)があります。初候「蛙始鳴 かわずなきはじめる 蛙が鳴き始める」次候「蚯蚓出 みみずいずる みみずが地上に這い出る」末候「竹笋生 たけのこしょうず 竹の子が生えてくる」。
もう一つは小満(しょうまん)で、初候「蚕起食桑 かいこおきてくわをはむ 蚕が桑を食べ始める」次候「紅花栄 べにばなさかう 紅花が咲き誇る」末候「麦秋至 むぎのときいたる 麦秋となる」。
五月五日ごろ、立夏のころは雑節でいう八十八夜のすぐあとです。今の暦に照らすなら、会社勤めをされている方がゴールデンウィークを利用して田植えをする、ようやく水の張られた田んぼでオタマジャクシが蛙になり鳴き始めて、夏の訪れを告げるといった風情でしょうか。
歳時記では竹の子(筍)も夏の季語になっています。桑は春に美しく芽吹き始めるということでそれ自身では春の季語です。今では桑の葉も蚕も紅花も、滅多に見られませんが、桑を食べて成長した蚕が紡いだ生糸を紅花の赤で染めていた昔の暮らしぶりが目に浮かぶようです。
そうして五月の末。五月の初めに植えられた稲が青々と大きくなってきたころ、逆に麦は黄金色に実り、収穫の時期を迎えるのですね。
「五月(さつき)晴れ」ということばがよく使われます。確かに五月は晴れておだやかな日が多い印象がありますが、元はこれは旧暦の五月のこと、つまり今で言う梅雨の合間の晴天を指すことばです。
その一方で。日本の気象には「メイ・ストーム」という用語があります。ことばどおり、「五月の嵐」です。暦の上では夏を迎えても、季節はそんなに人間の思いのままに
は移ってはくれません。「五月晴れ」が続くと言って油断をしていたら、台風並みの暴風雨をともなって低気圧がやってくるのはよくあることです。
また「五月の遅霜(おそじも)」というのもせっかく出た新芽を枯らしてしまう原因になります。
五月はまだまだ寒暖が安定しない時期です。農作物には直接関わりのない方々も、交通機関への影響や健康管理には充分にお気を付け下さい! そうして何より、この月の
気温が、あとの季節の野菜の値段にも反映されてくることをくれぐれもお忘れなく!!
(気象予報士 チャーリー/絵:吉田たつちか)2012-05

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