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フードファディズムに陥らないために

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1205-02 フードファディズム(food faddism )という言葉をご存知でしょうか。フードは食品で、ファディズムは「流行傾れ(かぶれ)」という意味です。要は、健康法や健康食品を過大評価し、ある種の信仰のように過信してしまうことですが、流行に敏感な日本人という民族は、このフードファディズムに特に陥りやすい民族のようです。
テレビで「納豆が○○にいい」、あるいは「バナナが△△にいい」と言われれば、翌日にはスーパーの店頭から納豆やバナナがたちまちなくなってしまうという状態がよくみかけられます。
フードファディズムが蔓延する背景にはマスコミの視聴率偏重主義や商業主義が深く関わっています。放送中止に追い込まれたテレビ番組「あるある大事典」のように、センセーショナリズムを追及する余り、ついには捏造にまで手を染めてしまい社会問題にまで発展するということがありました。
フードファディズムに陥らないためにはメディアリテラシーを磨くことが重要であるといわれています。氾濫する情報の中から本物を見極める目「メディアリテラシー」を養うことができれば、偽ものを掴まされることも少なくなることでしょう。
しかし、一方ではフードファディズムという言葉が逆に健康食品などへの過度のバッシングに使われているのではないかと感じることもあります。かなり昔の話ではありますが、「買ってはいけない」というタイトルの批判本が爆発的に売れ、有名メーカーの食品や医薬品など多岐にわたる商品を槍玉に挙げて徹底的に糾弾するというスタイルが脚光を浴びました。また、食品添加物=悪の前提で書かれた「食品の裏側-みんな大好きな食品添加物-」は、2006年の大ベストセラーになりました。しかし、幸いなことに「買ってはいけない」は、その内容が余りにも揚げ足取り的
で科学的な事実からは逸脱したものであったため、この批判本を批判する『「買ってはいけない
」は嘘である』や『「買ってはいけない」は買ってはいけない』などという本が続々と出版され
るという事態になりました。「食品の裏側」は、本の中では悪玉扱いしている食品添加物にどの
ような害があるのか一切ふれられていないという矛盾が批判を浴びています。せっかく画期的な
健康法や健康食品が発掘されても、フードファディズムの名の下に不当にバッシングされ、埋も
れてしまうこともあるのではないかと危惧します。
科学的な原理とか真理というのは、時代と共に発展し、以前は定説として信じられた学説が科学
の進歩によって塗り替えられ、180度変わるということはよくあることです。かつては胡散臭いと
敬遠されていたものが、その後の研究により科学的に証明されて日の目をみるということも多々
あります。いくらメディアリテラシーを磨いても、前提となる科学的根拠が誤っていては見破り
ようもありません。
(医学博士 食品保健指導士 中本屋幸永/絵:そねたあゆみ)2012-05

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