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相互作用の可能性に注意

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12-06-4俗にウナギと梅干しは食べ合わせが悪いなどと言われますが、食品同士の食べ合わせは迷信であることが多いようです。しかし、医薬品同士では、「相互作用」と呼ばれる互いの作用を強化したり、減弱する場合があることが知られており、注意が必要です。そして、この相互作用は、医薬品と食品の間でも起こることがあります。有名なものをいくつか挙げてみます。

1)納豆、青汁、クロレラなどと抗凝固剤(ワルファリンカリウム:商品名ワーファリン等)
納豆、青汁、クロレラなどはいずれもビタミンKを多く含む食品です。ビタミンKは止血に関わるビタミンです。一方、ワルファリンカリウムなどの抗凝固剤は心臓手術などの後で血液が固まりやすくなって血栓ができるのを防ぐための薬です。これらの薬は、体内でビタミンKの働きを阻害することによって、血液が固まるのを防いでいます。したがって、これらのお薬を飲用している方が、ビタミンKを多く含む食品を摂取すると薬の効果が弱くなる恐れがあるので、それらの食品は避けるべきとされています。

2)グレープフルーツジュースと高血圧薬(ニフェジピン:商品名アダラート等)
グレープフルーツジュースに含まれる成分にはニフェジピンの分解を抑制する働きがあります。薬の分解が抑制されると結果的に薬の効果が強く出過ぎることになります。薬の効果が強化され血圧が下がり過ぎますと、立ちくらみや、ひどい場合には失神するなどの症状を起こし、危険な状態になる可能性があります。

3)マグロ、カツオなどの赤身の魚と結核薬(イソニアジド:商品名イスコチン等)
イソニアジドという結核の薬はヒスタミンの分解を抑制します。マグロ、カツオなどの赤身の魚にはヒスタミンやヒスタミンの基になるヒスチジンが多く含まれるので、イソニアジドを服用している方がヒスタミンの多いこれらの魚を食べたときに、ヒスタミンの作用が強く発揮され、顔が赤くなったり、頭痛や発熱、気持ち悪くなったりするなどの症状が出ることがあります。

4)牛乳と真菌症治療薬(グリセオフルビン:商品名グセルビンFP等)
難溶性薬剤であるグリセオフルビンは牛乳によって溶解性が増加し、この薬剤の吸収率がよくなります。本来吸収される量よりも吸収され過ぎると薬の作用が過剰に現れ、頭痛・嘔吐・下痢などの副作用を起こすことがあります。

これらの他にも飲み合わせのよくない医薬品と食品の組み合わせが多数知られていますが、通常、医師または薬剤師から服薬上の注意がなされます。健康食品の中には、効率よく食品由来の特定成分を摂取できるように精製あるいは濃縮されたようなものもありますので医薬品との相互作用も強く出る可能性があります。何か健康食品をお召しがりの方は、念のために医薬品との相互作用の可能性はないか医師または薬剤師に相談することをお勧めします。
(医学博士 食品保健指導士 中本屋幸永/絵:吉田たつちか)2013-06

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