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梅雨前線のメカニズム

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09-07-1梅雨前線といえば、「北のオホーツク海高気圧と南の太平洋(あるいは小笠原)高気圧がぶつかったところにできるもの」と学校で習った方が多いのではないでしょうか? 確かに、東日本の梅雨前線の形成はこれで説明がつくのですが、西日本や中国大陸のそれの成因は、もっと大規模でずい分違ったもののようです。
春分の日を過ぎて、北半球がだんだんと暖まってくると暖まりにくい海から、暖まりやすい陸に向かって季節風(モンスーン)が吹くようになります。特に顕著なものが、インドの南西モンスーンです。しかしこれは、標高の高いチベット高原を越えられず、高原の南東部を回って中国や東アジア方面へと北上します。この風は海沿いを通るため、暖かく湿っています。
その一方でチベット高原の北には、相対的に冷たくて湿度の低い西風(偏西風)が吹いています。この二つの風が、中国北部から日本にかけたあたりで合流すると、その性質の違いが梅雨前線を発生させるのです。
天気図上ではただの一本の前線に見える梅雨前線も、西日本と東日本では成因が違うように、性質も異なっています。東日本のそれは、いずれも「海育ち」の高気圧が原因なので、どちらも水蒸気を多く含んでいますが、西日本のそれは、いわば「山育ち」と「海育ち」なので、気温の差だけでなく湿度の差もとても大きいです。気温の差だけを見ると、東日本の方が大きいようです。このように梅雨は、アジア全域を巻き込む大きな現象です。雨に文句を言わず、「梅雨だから雨が降るのは仕方がない!」と、腹を括りましょう!
(文:気象予報士 チャーリー/絵:吉田たつちか)2009-07

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