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縄文時代に想いをはせて栗を食す

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1111-2 栗きんとんに栗羊かん、モンブランにマロングラッセなど、秋の味覚のひとつである栗を使ったデザートが店頭に並んでいます。太ると分かっていても、旬の果物を使ったデザートには、つい手が伸びてしまいますね。

デザートだけではなく、栗はお米と一緒に炊きこんで栗御飯にしたり、広東料理では鶏肉と一緒に炒めたりもします。そのように私達が栗を食べ物として味わうようになったのは、はるか縄文時代の大昔からだそうです。

青森県にある縄文時代の集落跡の三内丸山遺跡。そこから大量に栗が出土しました。調査により、この集落では栗を主食にしていたことが解りました。そして、それらの遺伝子を調べると、構造が似通っていることも発見。これは縄文時代の人々がいい品種の栗だけを選んで育てていたことを意味しています。約五千年も前から美味しい栗を沢山食べるために栽培をしていたなんて、驚くばかりです。

栗は食べるだけではなく、木は家の柱にも使われました。水に強く耐久性に富むので、現在でも栗の木は無垢フローリング材やテーブルなどの家具に使用されています。そして、鉄道のレールの下に敷く枕木にもなりました。残念ながら害虫の被害によって栗の木の減少したことから、最近の枕木はコンクリートに取って変わってしまいました。しかし、一部のローカル路線では栗の木で作られた枕木が今でも残っていて、昔ながらの風情をかもしだしています。

イガイガした実から現れる丸いフォルムの茶色い栗。皮をむいて調理すれば、黄金に色づきます。口の中でホクホクと優しい甘さが広がる時、縄文時代の人々も同じようにこの栗を食べていたのだなと当時の様子を想像すると、味わいも一層深いものになりますよ。

(小説家 華山 姜純/絵:吉田あゆみ)

2011-11

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