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消毒法の確立とうがい薬

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1108-12 医療ドラマなどで手術シーンを見ることがあるでしょう。医師らは大抵の場合、清潔な手術衣に身を包み、手先が汚染されないようにあの独特のポーズをとっています。看護師から医師に手渡されるメスなどの手術用具が完全に消毒されていることは、今や常識として誰もが知っています。しかし、消毒という概念が生まれたのは、実際にはたった二百年前のことなのです。
消毒法を確立したのはジョゼフ・リスターというイギリスの外科医でした。リスターは「手術後の傷の化膿の原因は細菌による汚染である」と考え、手術部位や手術用具をアルコールの一種であるフェノールで消毒することにしました。また、部下の医師に手の消毒や手袋の着用を命じたのもリスターの発案です。消毒の元に手術を受けた患者は化膿しにくく、なおかつ治癒も早いことをリスターは示しました。
同時代のイギリスではあのナイチンゲールが新鮮な空気や清潔な環境の重要性を説いていましたが、当時の医学界では手術後の化膿は回復の過程だと考えられていました。患者を殺したのが医師の手(に付着した細菌)という説は他の医師にとっては受け入れがたく、リスター自身も外科の大家に散々にこき下ろされると言う有様だったのです。リスターの功績は時と共に後日ようやく認められたといいます。
その名声は国王が虫垂炎の手術にあたりリスターを指名するほどでした。ジョゼフはその手術の成功により男爵位を受けます。実はうがい薬のリステリンも、リスターを記念しての商標であることをご存知でしょうか。実際にはリスター自身がこれらには一切関わっていないとはいえ、リスターが現在でもたくさんの人の命を救っている名医であることは疑いのない事実でしょう。
(現役医大生 朽木誠一郎/絵:そねたあゆみ)
2011-08

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