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今と昔の運動会

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0910-2秋の風物詩の一つに運動会があります。春に執り行われる学校もありますが、祝日「体育の日」のイメージもあり、秋の行事として定着しています。徒競走、騎馬戦、玉入れ等、思い出深い競技が、どなたの中にもあるのではないでしょうか。

意外かも知れませんが、陸上競技をメインとし、ほぼ全生徒が参加する運動会は、外国ではあまり行われていません。運動会が行われているのは、日本に統治されていた歴史を持つ、中国東北部、朝鮮人民共和国、大韓民国、この三つの国の一部学校だけです。統治時代の名残でしょう。運動会は、日本文化の一つなのです。

最初の運動会は、1874年に海軍兵学校で行われたとされています。しかし、これは単発的な催しで、継続的ではありませんでした。私たちがよく知っている運動会の祖は、1878年札幌農学校でのもの。選ばれた生徒だけで無く、みんなで参加するスポーツの祭典は、当時としては画期的な催しでした。瞬く間に道内だけでなく、全国の学校に広まっていきました。

運動会発祥から100年以上経ち、行事の目的も変化していきます。当初は、軍事国家であったこともあり、集団訓練がメインとされていました。現代はどうでしょう。協調性を培うことは勿論、子どものストレス過多が叫ばれる昨今、スポーツによる発散が目的になりつつあるように見えます。体を思い切り動かし、大きな声を出しての応援合戦は、内側のくすぶるエネルギーを昇華させるのに、最適と言えます。

一方、大人にとっては、子どもの健やかな成長を見守る、この意味合いが濃くなっています。普段は子どもの頑張りを近くで見られないお父さんが、声を張り上げ、我が子を応援出来る、数少ない行事。それに、父兄同士の交流の場としても活用されています。また、少子化の影響もあり、親族一同が集まる機会にもなりつつあるそうです。

いくつになっても、楽しみな運動会。素敵な思い出を作る為、今年も晴れますように。

(コラムニスト 朝比奈うろこ /絵:吉田たつちか)

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