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木星と土星のおかげ

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2014-02-3 先日、また、インドでテロがあった・・・というニュースが流れました。また、パキスタンが絡んでいるようですが、これを聞いて私は、以前から日本の安全保障について思っていたことを改めて強く感じております。
それすなわち、「一つの脅威の消滅は新たな脅威の登場にほかならない」ということです。
唐突ですが、太陽系において、地球が巨大隕石の衝突などが比較的、少なくて済んでいるのはなぜかご存じでしょうか。
それは、地球の外側に、木星と土星という巨大惑星が存在していてくれるからです。
つまり、太陽系の外から飛来した巨大隕石などは確率的に、地球に衝突する前に木星か土星に衝突してしまう可能性が高く、地球なら壊れてしまったかもしれないような巨大隕石でも、木星や土星だと生態系(?)に影響はあったとしても、星自体が大きいから衝撃は充分に吸収できてしまうわけで・・・。
なぜ、私がそんなことを言うとかというと、常々、日本や東アジアに置けるインド、中国というのは、まさしく、地球に置ける木星と土星なのではないか・・・と思っていたからです。
昨今、安易に、「大国はけしからん!」などという人がいますが、中国とインドという巨大な人口を擁する巨大国家の存在は、確かに、周辺諸国に圧迫感を与えながらも、一方で、西方からの狂信的過激派などからの防波堤の役割も果たしているという一面もあるわけです。
すなわち、安易に中国を取り除くと、今度はソ連崩壊後、イスラム教徒の攻勢にさらされているアメリカのように、もっと、やっかいな敵に遭遇してしまうことも考えられるわけです。
(ロシアも含め、中国やインドは国家として存在してますから、まだ、和平の道も探れますが、統率なしに襲来してくる蛮族の襲来というものがどれほど厄介なものなのかは古代ローマの歴史が如実に示してくれていると思います。)

このことは、かつて、ヒトラーは第二次大戦の最終局面で、「アメリカはこれ以上、私を排除しないはずだ。共産主義の台頭を考えたら・・・」と言い、メッテルニヒも「ナポレオンを取り除くことは革命運動者の台頭を許すことになるので歓迎しない」と言ったという言葉に表されているように思います。
事実、その後の彼らの警鐘が現実の物となったことを見ると、今の敵を取り除くことは、もっと厄介な敵の台頭を許すことに繋がりかねない・・・、つまり、「一つの脅威の消滅は新たな脅威の登場にほかならない」ということが見て取れるような気がします。
それが、私には「ディプロマチックセンス(外交感覚)なき国民は滅びる」という、故吉田 茂元総理(某元総理のお祖父ちゃん)の言葉が思い出されてならぬ所以です。
(小説家 池田平太郎/絵:そねたあゆみ )2014-02

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