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空き家解体の是非

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(絵:そねたあゆみ)

 ベランダの下の壁が落ちているとの連絡が、近所の友だちからあった。久しぶりに帰ってみると、たしか確かに剥げ落ちている。子どもたちに相談すると、修繕する費用と壊す費用は同じくらいなので、壊したほうが良いとの意見。特に、長女からは、空き家のままだと火事が一番心配だし、家が建ったままお父さんに死なれても、壊し代がかかるので、かえって迷惑だという。そんなわけで、家を壊し、跡地はコイン駐車場にすることにした。長女の旦那がリフォーム業を行っている関係で、彼に全て委任することにした。駐車場と自動販売機のあがりからその費用を減額していくことにした。駐車料等の上がりが自分のところに振り込まれるには10年はかかる予定だ。長生きする新たな目標が出来たようだ。
 亡き妻に初めて買ってあげた鏡台も、妻の和服が入っていた大きな和ダンスも娘達はいらないという。冷蔵庫と洗濯機、一部のクーラーは今自分が使っているものより機種が新しいので発送してもらおうと思ったが、これも、運賃と設置料の関係、電気製品は10年以上経たものが価値がないとの理由で却下された。ゴミ処理に関しては、リサイクルに叶うとして家庭ゴミは細分類しているが、家屋の解体をみると、クソミソ一緒にトラックに載せて焼却処理しているようだ。
 自動車リサイクル法の施行に際しても、公害の元凶となるおそれがあるARS(自動車シュレッダーダスト /Automobile Shredder Residue)の処理方に関して、2つのグループに分けて実施されている。トヨタ、ホンダ(THグループ)は使用済み自動車を精緻解体(銅含有部品を徹底除去)・プレス加工し、製鋼原料として1台を全部溶解することから全部再資源化(通称・全部利用)している。具体的には鉄鋼メーカーの製鋼工程において、解体自動車の鉄の部分は鉄鋼製品となり、シートや内装(廃プラスチック)等の非金属部分は燃料代替として活用され、ガラス等は製鋼スラグと一緒に回収されるため、ASRを発生させることなく効率的にほぼ100%リサイクルできるというもの。
 これに対して日産など残りの12社のグループは自動車破砕残さリサイクル促進チーム「ART(Automobile shredder residue Recycling promotion Team、呼称:エイ・アール・ティー)」を発足させ、シュレッダーダストを電力・燃料等のエネルギーとスラグ等のマテリアルの活用(リサイクル)を適正、円滑かつ効率的に実施するシステムを構築して処理している。
 全国的に空き家が増えているという。空き家でも家が建っている方が税金が安いというのも問題だ。一戸建てはもとより、大規模マンションや、リゾートマンションの大規模修繕工事も大きな問題となっている。持ち家が資産にならず負産になりかねない時代が来ているようだ。 (ジャーナリスト 井上勝彦)2017-04

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