UA-77435066-1

『古事記』の神々(その2)

 | 

(絵:そねたあゆみ) 

 その1では「造化の三神」と呼ばれる、性別もなく、人間に姿を現わすこともない三柱の神さまについて紹介しました。三柱の神さまが姿を隠されたあと、高天原には水に浮かぶ油のような、くらげのようにさまよう状態で「国」がありました。そんな中、激しく燃え上がるものから生まれた神さまを「宇摩志阿斯訶備比古遲神(うましあしかびひこじのかみ)」と「天之常立神(あめのとこたちのかみ)」といいました。宇摩志阿斯訶備比古遲神は葦の芽を神格化したものと解釈され、たくましく成長することへの願いが込められた男性の神さまとされています。一方の天之常立神は、天の根本神とも呼ばれています。この二柱の神さまも、両性具有、結婚をせず、人間の前に姿を見せることなく隠れてしまいました。
 その1で紹介した「造化の三神」とこの二柱とを合わせた五柱の神さまを、「別天(ことあま)つ神」、つまり、天の神様の中でも特別な神さまだとされています。
 続いては七柱の神さまが現われます。まずは「國之常立神(くにのとこたちのかみ)」。この神さまは、国土の根本になる神さまと言われています。そして「豊雲野神(とよくものかみ)」。この二柱もこれまでの神さまと同じように独身で、身を隠しました。
 次に、「宇比地邇神(うひぢこのかみ)」「妹須比智邇神(いもすひじこのかみ)」。この二柱は泥や砂を神格化したと言われています。さらに「角杙神(つのぐひのかみ」、「妹活杙神(いもいくぐひのかみ)」。「意富斗能地神(おほとのじのかみ)」、「妹大斗乃辨神(いもおほとのべのかみ)」。これら四柱は、何の神格化かがよくわからないようです。「於母陀流神(おもだるのかみ)」、「妹阿夜訶志古泥神(いもあやかしとぬのかみ)」。この二柱は人間の体が完成したことと、人間が意識を得たことを神格化しているとされています。
 そしておなじみ、「伊邪那岐神(いざなきのかみ)」、「妹伊邪那美神(いもいざなみのかみ)」が現われます。この二神は、「互いに誘い合った男女の神さま」という意味を持ち、『古事記』の中でも夫婦として描かれていきます。
 ここまでは難しい名前の神さまが出てくるばかりでしたが、いよいよ次回から「イザナキ」と「イザナミ」の物語に入ります。お楽しみに。
(コラムニスト 気象予報士 CHARLIE)2017-05

コメントを残す