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ご先祖様のおかげで

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1311-2 三重県伊勢市にある伊勢神宮。二〇一三年十月には二十年に一度の式年遷宮が行われました。式年遷宮とは、神様のお社の引っ越し。新しくなった正殿にお参りに行こうと更に多くの参拝客が見込まれています。

 伊勢神宮は外宮と内宮からなります。先に外宮からお参りし、内宮に向かうのが正式な順序ですが、時間に余裕のない場合は内宮だけをお参りする傾向が強いようです。なぜなら内宮の前には「おはらい町」があり、そこで伊勢の名物を味わうことができたり、お土産を購入することができるからです。よって、いつも多くの人でにぎわっています。

 おはらい町のなかに「おかげ横丁」があります。伊勢神宮のおかげという感謝の気持ちをこめて開業されたそうです。横丁の一角に「おかげ座 神話の館」があり、伊勢神宮とおかげ横丁の歴史を学ぶことができます。そこでの話によると、江戸時代には遠方からお参りに来た人々へのおもてなしの意をこめて、全ての店で食べ物や薬などを無料で配布していたとか。その心意気は現代にも引き継がれ、おかげ横丁やおはらい町では試食や試飲をすすめて参拝客をもてなしています。よって、伊勢では試食や試飲を遠慮なくいただくのが礼儀と言えるでしょう。

 ところで、「おかげ」という言葉は、もとおもとはご先祖様に対して使われていたそうです。

「ご先祖様がいつも見守っていてくれるおかげで健康でいられる」「ご先祖様のおかげで今年も豊作になった」と言ううちに、「ご先祖様のおかげで」が省略されて「おかげ様で」になったそうです。

 私たちの生活は神様やご先祖様に見守られ、繁栄しているのです。伊勢神宮のおかげ横丁同様に、「おかげ様」という言葉を口にする時は感謝の気持ちを忘れないようにしないといけませんね。

(コラムニスト 愛川いつき)

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