おもしろコラム通信12月号 2012.12.01 No.104

 

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世界史に重大な影響を与えたジャガイモ

 

 ジャガイモは南米のアンデス山脈あたりが原産地といわれていて、中南米を侵略したスペインからヨーロッパへ伝わったと言われています。

 ただし、ヨーロッパに伝わった当初は、あまり良く思われていなかったらしく、ヨーロッパで食用として定着したのは18世紀になってからでした。

 その理由は、ジャガイモの姿がそれまでのヨーロッパにはない醜いものと映ったためとも、ジャガイモの芽には毒があるため、あるいは聖書に出ていない食べ物だからとも言われています。

 日本にも17世紀には日本に入ってきており、食べられてはいましたが、それほど定着はせず、日本人の食卓に当たり前のように出るようになったのは明治以後のことです。

 そんなジャガイモですが、なんといっても芋の切れ端を「種芋」として土に埋めておくだけで、荒地でも育ってくれるものですからありがたいもの。トウモロコシと同じように「貧民の食べ物」として、ヨーロッパに広がっていきます。

 なんといってもジャガイモは、栄養豊富。カンタンに栽培できる。地面の中で育つので鳥についばまれる被害もない。

 ジャガイモはヨーロッパ人を飢餓から救い、また、ジャガイモを食べることで、ヨーロッパ人は飢え死にせず次々と繁殖することができるようになりました。

 と、どうなるか?飢え死にせずに、ジャガイモを食べて、たくさん子作りをすると人が増えた分だけ、それだけ食料がいる。また、ジャガイモを栽培して食べる。子作りをして人が増える。と、いうことで、ヨーロッパ人は飢饉がきても、生き残る人が増えていきます。貧乏人の子沢山は世界共通。人口が爆発的に増えていきます。

 これまで、地中で育っていたジャガイモは、鳥に狙われることもなく、ありがたいものであったのですが、19世紀に植物の伝染病が、ジャガイモ疫病が、ジャガイモを襲ったのです。しかし、ジャガイモ疫病はヨーロッパの人々にとって初めての体験であり、なすすべがまったくわかりません。こんなとき、原産国である南米のアンデス山脈の人々は、疫病がきてもいいように、いろいろな種類のジャガイモを植えていました。たとえ、疫病が流行っても、その病気に強い種類は収穫することができるからです。そのような知恵もまだ、ヨーロッパ人は知りませんでした。

 全ヨーロッパにジャガイモ疫病による飢饉が起こります。

特にイギリスに支配されていたアイルランドは悲惨で、領主はイギリスに住んでいるため、悲劇的な事情をまったく知らず、アイルランドの人々から搾取を続けます。アイルランドでも、ジャガイモの恩恵を多く受けていてジャガイモが定着するとアイルランドの人口は急激に伸びて行き、ジャガイモが定着していなかった17世紀のアイルランド人口は約100万人程度だったのですが、ジャガイモが入ってくると急速に人口爆発が起こり、19世紀半ばには800万人を越えるほどの人口となりました。

 アイルランドは貧しい国でしたから、いかにジャガイモが貧しい人々の命を救い人口増加に貢献したかがわかります。

しかし1845年から1849年にかけてヨーロッパでジャガイモ疫病が大発生し、ジャガイモが壊滅状態になってしまいます。

 これは、食料の多くをジャガイモに依存していたアイルランドの人々にとって、餓死を意味することでした。アイルランド人たちは、バタバタと同朋が餓死していく中、搾取のみをしてなんの保護もしないイギリスに対して大きな憎悪を抱き、それがいまだに残っているアイルランド紛争にも繋がっているといわれています。

 アイルランドにおけるジャガイモ飢饉では、100万~150万人が餓死もしくはそれに繋がることで死亡し、約150万~400万人が北米大陸やオーストラリアなどに移民を余儀なくされました。

 当時の総人口が800万人以上いた当時のアイルランドの人口を考えるとこれがいかに異常なことであったかがわかるでしょう。

 そのためアイルランドの人口は激減し、いまでも19世紀より前の人口に戻っておらず、現在のアイルランド人口は450万人ほどとなっています。アイルランドにおきたジャガイモ飢饉によって、アメリカに渡った人たちには、アメリカ大統領となったケネディやレーガンのひいおじいさんもいました。ジャガイモはまさに世界の歴史に重大な影響を与えた食べ物でした。

(食文化研究家 巨椋修/絵:そねたあゆみ)

 

 

 

冬の天気

 

 いよいよ十二月ですね。師走、お坊さんも走る月になりました。十二月は暦も、慌ただしく一気に冬めいてきます。

 まず初めの二十四節気は、七日、大雪(たいせつ)です。 これは「暖かい地方でも雪が降り始める時期」という意味です。それを細かく区切った七十二候も、初候「天地の気が塞がって冬となる」、次候「熊が冬眠のために穴にこもる」、末候「鮭が群がり川を上る」と進んでいきます。

 次に二十一日、冬至(とうじ)です。これは「北半球では昼間の時間が最も短くなる日」です。西洋では大昔、冬至とクリスマスを同じと扱ってお祭りなどをしていたようです。この七十二候は、初候「夏枯草が芽を出す」、次候「大鹿が角を落とす」、末候「雪の下で麦が芽を出す」と進みます。真冬にありながら、自然が成長していく様子が窺えるなぁと感じます。

 さて、太平洋側では冷え込んで乾燥した日が続きやすい季節ですが日本海側は全くお話が違います。日本の日本海側は、世界でも有数の豪雪地帯です。みなさんはテレビの天気予報で「筋状(すじじょう)の雲」というのをご覧になったことがあると思います。あの正体は、実は積乱雲、つまり入道雲の列なのです。日本海側では、一つの積乱雲が通ると雨や雪が降り、数十分かけてそれが通り過ぎると晴れて、またしばらくすると雨や雪が降って……、ということを繰り返し、次第に雪が降り積もっていくということになります。

 ではなぜ太平洋側は乾燥しているのかと言うと、これも天気予報でおなじみのことば「フェーン現象」が起きるからです。フェーン現象というのは、暖かく湿った空気が、本州を東西に区切る脊梁(せきりょう)山脈を上りながら雪を降らせて湿度を下げ、それを太平洋側へ向けて下りる時には乾燥した空気になっているのです。

 そして太平洋側の冬のお天気で注意が必要なのは、午後から曇りやすいということです。これはなぜかと言うと、朝からの陽射しで地上の空気が暖まると、その空気は上昇していきます。しかし上空の気温は地上の気温よりも低いため、その温度差を調節するために雲が発生するのです。

 この雲は時々、太平洋側にも雪を降らせることがあります。正に「大雪」の時期、というわけですので、気を付けましょう。

(気象予報士 チャーリー/絵:そねたあゆみ)

 

 

知って得する!柿の効用

 

 今年は柿が小粒で甘味が強く美味しいですね。柿は寒性で体を冷やす働きがあり、特に、肺、大腸、心に作用してその部分の熱を冷まします。

 中医学の言葉に天人相応というものがあり、人も自然界の一部であり、自然の原理と人間の原理は相応していることを示します。このことから、柿が美味しく沢山実る年は、熱を冷まさなくてはならないような疾患が多いことが予測されます。

 この予測どおり、今年の夏は暑さが長く厳しかったために体の中に熱が籠もり、炎症を起こしやすい状態にある方が増えています。

 さらに、空気が乾燥してきたことにより、咽頭痛やイガイガ感、空咳、咳嗽、血痰、口渇、口内炎、便秘などの症状がここのところ増えてきています。

 柿は、肺と大腸を潤し、清熱する働きがあるので、これらの症状の方には救世主となる食材です。

 このように、柿は体に熱が籠もった方に適した食材ですので、冷え性の方は多食なさらないでください。

 冷え性の方が柿をどうしても召し上がりたい場合は、お日様が出ている昼食後に、2切れまでです。空腹時や、夜に食べれば、胃を冷やして傷め、体の芯から冷えてゆきますし、熱性体質の方もカニと一緒に召し上がってはいけません。(腹痛と下痢が起こります)その他の食べ合わせとして、柿とさつまいもを同時に摂ると、結石を作りやすいので注意が必要です。

 もう一つの柿の作用に利尿と解毒の働きがあります。二日酔いの解毒には酵素を含んだ熟し柿がお勧めです。血圧が高い方も熟し柿がお勧め♪

 さらに、今度は干し柿の効能ですが、干し柿の場合は天日に当てて、陽の力を引き込むので、柿の冷やす作用は弱まります。干し柿は、肺を潤し、止血作用を持ち、しつこい痰を切ったり、咳を止める働きをもち、慢性の肺疾患の方の体力を増強します。

 柿のヘタは、別にとっておき、しゃっくりが止まらないときに煎じます。干し柿のヘタ5~10個をカップ4の水で半量になるまで煮詰めて、1回150CC程度を1日2~3回服用します。これで、ツライしゃっくり(タンニンが横隔膜の痙攣をとる)や、心臓の弱りからくる、手足のむくみを和らげてくれますよ。

(薬剤師、薬食同源アドバイザー 高田理恵/絵:そねたあゆみ)

 

 

 

ビュッシュ・ド・ノエル

 

 ヨーロッパのクリスマス時期は、家族が集うことで生まれる幸福感が漂っています。欧米人はクリスマスに恋人とロマンチックな夜を過ごすことはありません。年に一度、家族だけで厳かに祝う日なのです。逆に正月は友達や恋人とパーティを開く人が多く、日本とは逆な年末の過ごし方です。

 クリスマスイブには、フォアグラ、生牡蠣、オマール海老、七面鳥などのごちそうがテーブルを豪華に飾ります。欧米人が食事の中でも愛してやまないのがデザート。特にビュッシュ・ド・ノエルというケーキを食べるのが定番です。日本でも最近ではオシャレなケーキ屋さんで見かける、丸太が横たわったような形のケーキです。

 このケーキは、古くはクリスマスイブにその次の年の豊作を祈って太くて固い薪を火にかけた習慣に由来します。薪はじっくりと時間をかけて暖炉の中で燃え続け、年が明ける元旦まで、大勢の家族でにぎわう居間を夜通し暖めたそうです。長い時間燃えれば燃えるほど、翌年は豊作になると信じられていたのです。燃やす前の薪は家長によってワインや塩で清められました。ワインは翌年のブドウの豊作を願って、塩は邪悪なものから身を守るため、という意味があります。薪の準備は日が昇るまでに済ませなければいけない、残った灰は豊作を祈って肥料として畑に蒔く、など様々な言い伝えがあり、ヨーロッパ人の迷信深さが伺えます。

 しかし戦後、日常使いのできる暖炉のある家は、少なくなりました。その代わりに登場したのがビュッシュ・ド・ノエル。薪を燃やす代わりに薪型のビュッシュ・ド・ノエルを食べることで、来年の幸運を願うのです。

 薄いスポンジ生地をロールケーキ状に巻いて、チョコレート色のバタークリームでデコレーションするのが、ビュッシュ・ド・ノエルの基本レシピ。しかし最近では、アイスクリームをスポンジ生地で包んだ冷たいビュッシュ・ド・ノエルの方が人気があります。こってりした食事のあとにも、ぺろりと食べられるというのがその理由。12月になると、ケーキ屋さんやスーパーのお菓子コーナーだけでなく、冷凍食品コーナーもビュッシュ・ド・ノエル一色になってクリスマス気分がさらに盛り上がります。

(コラムニスト びねくにこ/絵:そねたあゆみ)

 

 

 

 

フードマイレージ

 

 『マイルをためる』ことは、すっかり私達の生活に定着してきました。マイルとは、距離を表す単位のこと。アメリカの航空会社が乗客の飛行マイルによって、さまざまなサービスを展開しようと始めたことに端を発しています。そのサービスは、あっという間に顧客の心をつかみ、マイレージプログラムに加入する人が増えました。今や、マイレージプログラムは航空会社だけのものではなく、鉄道やETC、銀行など、さまざまな業種で活用されています。

 しかし、ためて欲しくないマイレージがあります。それは『フードマイレージ』。食糧を他国から輸送し、私達の食卓へ届く距離を示したものです。

 フードマイレージは、重さ×輸送距離で数値化されます。農林水産省によると、日本のフードマイレージは五千二憶トン・キロメートル。これは、韓国やアメリカに比べて約三倍も多い数値で日本の食糧自給率の低さがうかがえます。

 フードマイレージが多いと、どうなるのでしょうか。まず、輸送コストがその分余計にかかります。そして、そのために使われる石油エネルギーが二酸化炭素となって排出され、地球温暖化の原因になります。

 では、フードマイレージを減らすにはどうしたらいいのでしょうか。輸入に頼らず食糧自給率を上げることは難しい問題です。身近な対策に目をむけると、忘れてはならないのが、地元で産出したものを地元で消費する『地産地消』の精神。現在、スーパーの店頭には北海道から沖縄までのありとあらゆる産地の食材が並び、インターネットでは日本各地の名産を簡単に取り寄せることができるようになりました。しかし、地元でとれた新鮮な食材を口に運ぶことが、一番フードマイレージを少なくします。そして地球環境にも役立ちます。

 近頃では地元の食材にこだわったレストランも増えています。この機会に地産地消を心掛け、フードマイレージが少なくなるよう意識してみてはいかがでしょうか。

(コラムニスト 愛川いつき/絵:そねたあゆみ)

 

 

 

 

<編集後記>

・先月の投稿総数=12本

・ブログ=http://blog.goo.ne.jp/tebra/

CATEGORY=おもしろコラム

 

 

 

 

 

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1月号の原稿締め切りは12月10日です。

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