おもしろコラム通信1月号 2013.01.01 No.105

 

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10のものを10発揮する努力

 

 いつもの手前勝手な持論を言わせて頂くなら、「私の拙い経験の中での話で恐縮だが、企業の中で、10の力を10発揮しているところは少ない。多くが、10のうち7くらいの力しか出し切れていないように思う。であれば、10のものを12にしようと努力するよりも、7のものを9にしようとする努力の方が、よほど、実現が用意なのではないだろうか・・・」というものがあります。

 平たく言えば、「10のうち、7しか力を発揮してない組織に9の力を発揮させようとする努力」だと言えるでしょうが、そういうと、「じゃあ、具体的にどういうことを言うんだ!」とお叱りを頂戴するかも知れません。

 具体的に、その一例として挙げるのが、元帝国陸軍大本営参謀から、伊藤忠商事最高顧問に転身し、土光臨調の参謀長にまで登り詰めた瀬島龍三という人がいますよね。

 この人を「偶像化」したのが、山崎豊子氏の小説『不毛地帯』で、その主人公のモデルに擬されたことだと、保阪正康著 「瀬島龍三―参謀の昭和史」などでは言われています。

 この人は、伊藤忠入社後、帝国陸軍の参謀本部を模した「瀬島機関」と呼ばれる部署を作り、自ら、それを率いて伊藤忠を総合商社に育て上げていったことは周知の通りでしょうが、一方で、私が学生時代に大いに影響を受けた元陸軍参謀で兵法評論家として知られる大橋武夫氏は、当然ながら、氏とも交流があり、「不毛地帯」で描かれたところの第三次中東戦争における情勢分析について、その圧巻として述べておられました。

曰く、「①イスラエルが勝つ ②短期間で終わる ③スエズ運河は閉鎖される」と。

 当時、大方の予想は、すべて、その逆であったにも関わらず、瀬島氏はこれをすべて的中させたそうですが、中でも特に人々を驚かせたのが、③を的中させたことだったそうです。①と②は、ある程度、軍事的な知識を持った人なら、まあ、わからないでもないと言いますが、③は、さすがに、誰も予測出来なかったとか・・・。

 瀬島氏に、それが予測出来た秘密こそこの稿の本旨なのですが、それはむしろ、「人の気持ちなどわからない」と言う観があるエリート参謀の出で、伊藤忠入社後も、企業内参謀本部を作った男の発想とは思えない着眼点でした。

 氏は、伊藤忠商事に入ってすぐに、トントン拍子で出世していったわけですが、副社長になったとき、彼は、自ら世界中の伊藤忠の支店、営業所を廻ったのだそうです。

 中には、アフリカなど、あまりに辺鄙な場所で、存在自体、忘れられたかのような営業所などもあったそうですが瀬島氏は、ちゃんと、そこの駐在員を訪ねて廻ったと言います。

 でも、訪ねて来られた方としては、突然、そんなところへ、本社のお偉いさんが訪ねてくるなんて、「何かあるんじゃないのか!」と、当初、疑心暗鬼になって、これを迎えたそうですが、粗末な駐在所で共に夜を徹して話し込み日本から持ってきた酒を酌み交わすうち、段々と、皆、心を開くようになったとか。

 彼らにしてみれば、一番、耐えられないのが、「自分は忘れ去られている」と思えることだったでしょう。本社にどんな情報を送っても本社からは何も言っては来ないし、来るはずの交代要員も来ない・・・。

これでは、「俺は忘れられて居るんじゃないか・・・」という気持ちにもなろうというもので、それは即ち、商社にとって命綱とも言うべき情報の末端神経が機能不全を起こすことを意味するわけです。

 瀬島氏は、彼らに、「何を言ってるんだ!会社は、おまえを頼りにしているんだぞ!」と言い、あるいは、「心配するな!本社に、この瀬島が居る限りは・・・。」みたいなことも言ったでしょう。

 これで、奮い立った、これらの営業所から送られてきた情報を基に、瀬島氏は第三次中東戦争を分析し、伊藤忠に莫大な利益をもたらしたわけです。

 10のものを10発揮させる努力・・・、おわかり頂けたでしょうか。(小説家 池田平太郎/絵:そねたあゆみ)

 

 

 

1月の天気

 

 さて新しい一年の始まりです。俳句の世界では、「新年」という季節があり、それに合わせた季語があります。

「初詣で」「初日の出」「鏡餅」などなど。にぎやかでおめでたいことばがたくさん並んでいます。ほかの季節と同じくらいの数の季語が「新年」という季節にあるんですよ!

 一月の二十四節気は、まず五日、「小寒(しょうかん)」から始まります。いわゆる「寒の入り」ですね。初候「芹(せり)がよく育つ」次候「地中で凍った水が動き始める」、末候「雉(きじ)が鳴き始める。

 芹と言うと春の七草の筆頭ですね。「七草粥(ななくさがゆ)」ももちろん新年の季語ですよ。

 次に二十日、「大寒(たいかん)」。「一年で最も寒い時期」という意味です。現代とは少しズレがあるかもしれません。二月が一番寒いですよね。でも大寒は初候「ふきとうがつぼみを出す」、次候「沢の水が厚く凍る」、末候「鶏が卵を産み始める」と進みます。もうお正月ムードはなくなっていますね。

 ちなみに。大寒に入る前の一月十七日は冬の土用の入りです。土用は夏だけでなく、暦の上での季節が変わる前には必ずある「季節」です。冬の土用も、およそ十五日ほどあって、それが過ぎると二月四日は立春。暦の上では春を迎えることになります。

 この時期、太平洋側の朝はものすごく気温が下がりますよね。天気予報で「放射冷却」ということばをよく耳にする季節だと思います。これは、よく晴れた夜のあいだ、地面の熱が全て空に放出されて、朝の気温が上がらないことを言います。だから逆に、曇った朝の方が気温は比較的高いはずです。雲がお布団の役目をしているのだ、とよくたとえられます。晴れた朝というのはお布団を掛けずに眠っているようなものなのですね。

 そんな朝は霜も発達するので、農作物には注意が必要ですし、お車を運転される方は路面の凍結にも充分にお気を付けて下さいね。昔は運動場のグラウンドなどで霜柱(しもばしら)をジャリジャリと踏み付けて遊んでいましたが、今でもできるのでしょうか? あんまり温暖化して欲しくないなぁと思います。

 

(気象予報士 チャーリー/絵:そねたあゆみ)

 

 

朝の便り

 

 皆さんは、朝一番の排便を眺めてみられる習慣がありますか?

便とは、その名前の通り体からのお便りなんですね。昨日までの食べ物が、間違っていなかったか、体の中で正しく栄養になったり、解毒されているか・・・等全て、朝の便りから把握することができます。

 体調が万全な時の排便は

1,便がコロコロしたり、細かったりせず、しっかりとつながっていること

2,色が濃い黄土色で、単一(よくこなれていて、まだらな感じがない)

3,悪臭がない

4,トイレの滞在時間が短く、排便後に残便感がない等です。

1,便が気持ちよくつながらず、切れたり軟便気味である方は、食事につなぎとなる繊維質が足りないためです。パンや麺類などの小麦粉食は、腸のヒダに詰まりやすいので、玄米や雑穀を主食に切り替えてください。慣れない方は白米に混ぜるところから始めましょう。

2,便が黒っぽかったり、よくこなれていない方は、とにかくよく噛むことを心がけてください。そして毎回腹一杯食べないように!腹6分食を心がけると、腸の負担が減少します。

3,便に悪臭がある方は、動物性食品(肉、牛乳、卵、魚)を消化酵素の割合以上に摂りすぎている可能性があります。真夏にお肉を放置すれば、すぐに腐るように、日本人の腸は長く、腸内でのお肉の滞在時間が長いために、摂りすぎればどうしても腸内で腐敗しやすくなります。このような状態では、腸内の免疫が正しく働きません。

4,トイレの滞在時間が長く残便感がある方・・・冷たい物を摂りすぎて腸が冷えていたり、ストレスや時間に追われた食事により、腸がリラックスできていない状態にあります。ながら食いや、イライラしながらの食事は絶対に避けてください。

 いかがでしたか?これからは、朝の便りから体からの信号を受け取り、体をいたわってあげてくださいね!

 

(薬剤師、薬食同源アドバイザー 高田理恵/絵:そねたあゆみ)

 

 

 

「飲むサラダ」マテ茶

 

 世界三大飲料というと、どの飲み物を思い浮かべますか?日本人になじみのお茶、そして世界中で飲まれるコーヒーと共に挙げられるのが南米のマテ茶です。

 ブラジル、アルゼンチンやパラグアイを中心に生産されるマテの葉や茎を乾燥させて湯で浸出した飲み物、マテ茶。鉄分とカルシウムが多く含まれ、ビタミンではAとBが豊富です。肉料理が頻繁に食べられ、野菜の栽培が難しい南米において、マテ茶は「飲むサラダ」と言われ、南米の人々の食生活の均衡を保つのに役立っています。中性脂肪やコレステロールを抑える働きがあり、現代人の気になるメタボ対策にも取り入れたいお茶です。

 ティーバッグやサプリメントの形で手に入りやすくなっているマテ茶ですが、面白いのが伝統的なマテ茶の飲み方。ひょうたん型の容器に専用のストローを差し込んで飲むのです。ストローから細かい茶葉は濾されずに口に入ることになり、茶葉を少量食べることでさらに栄養を吸収できるという発想が元になっているそうです。

 熱湯を注ぐと、ストローで飲むのが困難なため、沸騰した湯を80℃以下に冷ますのがポイント。夏の暑い時には水だしで飲んでもおいしいです。

  マテ茶の含有カフェイン量はコーヒーの四分の一、緑茶の二分の一程度。対して、ポリフェノールは豊富で抗酸化作用が期待でき、動脈硬化や高血圧などにも効くと言われています。通常、疲労回復や健康維持の目的のため、南米の人々はマテ茶器片手に一日中を過ごすそうです。

 マテ茶はストレートでも飲めますが、お砂糖やはちみつなどの風味を加えれば飽きがきません。アルゼンチンではマテ茶に混ぜるものによって意味が変わります。例えば、シナモン風味のマテ茶は「愛してる」を意味し、男性がシナモン入りマテ茶を女性に手渡すことで愛の告白ができます。また、はちみつを入れるとプロポーズを意味するマテ茶になるんだとか。ロマンチックな恋人たちを盛り上げてくれる道

具としても効果ある飲み物なのです。(コラムニスト びねくにこ/絵:そねたあゆみ)

 

 

 

 

関西人の体はでんぷんとソースでできている

 

 穀物や雑穀の食べ方は大きく分けて2種類あります。ひとつは臼(うす)などで粉にして食べる『粉食』もうひとつが粒にして食べる『粒食』です。

 粉食は、穀物を粉にしたものを水で練って焼く、煮る、蒸すなどしたもの。いわゆるパン、団子、麺類などなど。粒にして食べるのは、米や麦を焼く、煮る、蒸すなどして食べるもの。

 どちらが主流であるかいうのは、それぞれの文化によるのですが、日本の主流は粒食です。

 その代表がごはん。

 麦なんかも麦ごはんにして粒のまま食べる。ヒエ、アワのような雑穀も粒のまま食べることが多いのです。

 ヨーロッパでは粉食が多くなります。小麦粉などでパンを焼いたりする。

 日本の粉食では、米や小麦を粉にして団子にしたり、ソバ、うどん、そうめんなどがあります。

 日本を東西に分けるとすると、関東よりも関西が粉食好きのようです。そもそも関西は、江戸ができる以前から京都大阪と日本の中心で、伝統が古いのに、なぜか「小麦粉」とか「ソース」が好きなんですねえ。

 かつて「関西人の体は“でんぷん”でできている」と喝破したのは、やはり関西出身の作家中島らも氏ですが、確かに関西人はでんぷん……、というか炭水化物が大好きで、うどんにお好み焼き、たこ焼きと、粉食がとても多いのです。

 おまけに大阪には「うどん定食」「お好み焼き定食」とうどんやお好み焼きをおかずにごはんを食べるということもしてのける地域で、さらに神戸で誕生した食べ物として「焼きそば」プラス「ごはん」の「そばめし」があったりもするのです。

 でもこれって、ごはんのおかずにパン……、みたいなものじゃないですか!

 わたし自身関西出身ですが、さすがに「どんだけ、炭水化物が好きやねん!」と、飛びツッコミのひとつもしたくなります。

 もっとも東京にもラーメンライスがあるし、スパゲティにガーリックトーストという食べ方もある。

 そう考えれば、日本人は欧米人よりも「ごはん」という炭水化物を大量に摂取し、その日本人の中でも関西人は炭水化物が大好きということになるのかなあ……? まあわたしも平気でお好み焼きとごはんを食べますけど。

 おまけに関西人はお好み焼きやたこ焼きに見られるようにソース大好きだし。

 生のトマトや天ぷらにソースをかけて食べる食習慣の人もたくさんいるし。

 まあ、それらをオーバーに言って

「関西人の体はでんぷんとソースでできている!」

 と言ったところでバチ当たらないでしょう。

(食文化研究家 巨椋修/絵:そねたあゆみ)

 

 

 

<編集後記>

・先月の投稿総数=15本

・ブログ=http://blog.goo.ne.jp/tebra/

CATEGORY=おもしろコラム

 

 

 

 

 

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