おもしろコラム通信12月号 2013.12.01 No.116

 

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ジャガイモと飢饉の歴史

 

 トウモロコシと同じく、歴史を変えた食材として『ジャガイモ』があります。ジャガイモは南米のアンデス山脈あたりが原産地といわれていて、中南米を侵略したスペインからヨーロッパへ伝わったと言われています。

 トウモロコシが世界「三大」穀物と言われていますが、さらにジャガイモも加えて世界「四大」穀物とも言われているくらい全世界で食べられるようになりました。

 ただし、ヨーロッパに伝わった当初は、あまり良く思われていなかったらしく、ヨーロッパで食用として定着したのは18世紀になってからでした。

 その理由は、ジャガイモの姿がそれまでのヨーロッパにはない醜いものと映ったためとも、ジャガイモの芽には毒があるため、あるいは聖書に出ていない食べ物だからとも言われています。

 日本にも17世紀には日本に入ってきており、食べられてはいましたが、それほど定着はせず、日本人の食卓に当たり前のように出るようになったのは明治以後のことです。

 そんなジャガイモですが、なんといっても芋の切れ箸を「種芋」として土に埋めておくだけで、荒地でも育ってくれるものですからありがたいもの。トウモロコシと同じように「貧民の食べ物」として、ヨーロッパに広がっていきます。

 なんといってもジャガイモは、栄養豊富。カンタンに栽培できる。地面の中で育つので、鳥についばまれる被害もない。

 ジャガイモはヨーロッパ人を飢餓から救い、また、ジャガイモを食べることで、ヨーロッパ人は飢え死にせず、次々と繁殖することができるようになりました。

 と、どうなるか?

 飢え死にせずに、ジャガイモを食べて、たくさん子作りをすると人が増えた分だけ、それだけ食料がいる。また、ジャガイモを栽培して食べる。子作りをして人が増える。

 と、いうことで、ヨーロッパ人は飢饉がきても、生き残る人が増えていきます。

 貧乏人の子沢山は世界共通。人口が爆発的に増えていきます。

ジャガイモのおかげで、貧しい人たちは飢饉がきても、死に絶えることなく、何とか生きながらえ、人口を増やし続けていきました。人口が増え続けても、貧しいながらも何とか食べていけたのも、ジャガイモのおかげです。

 しかし、あるとき悲劇が起こります。19世紀に植物の伝染病が、ジャガイモ疫病が、ジャガイモを襲ったのです。しかし、ジャガイモ疫病はヨーロッパの人々にとって、初めての体験であり、なすすべがまったくわかりません。こんなとき、原産国である南米のアンデス山脈の人々は、疫病がきてもいいように、いろいろな種類のジャガイモを植えていました。たとえ、疫病が流行っても、その病気に強い種類は収穫することができるからです。そのような知恵もまだ、ヨーロッパ人は知りませんでした。

 全ヨーロッパにジャガイモ疫病による飢饉が起こります。特にイギリスに支配されていたアイルランドは悲惨で、領主はイギリスに住んでいるため、悲劇的な事情をまったく知らず、アイルランドの人々から搾取を続けます。

 アイルランドでも、ジャガイモの恩恵を多く受けていてジャガイモが定着するとアイルランドの人口は急激に伸びて行き、ジャガイモが定着していなかった17世紀のアイルランド人口は約100万人程度だったのですが、ジャガイモが入ってくると急速に人口爆発が起こり19世紀半ばには800万人を越えるほどの人口となりました。

 アイルランドは貧しい国でしたから、いかにジャガイモが貧しい人々の命を救い、人口増加に貢献したかがわかります。

 しかし1845年から1849年にかけてヨーロッパでジャガイモ疫病が大発生し、ジャガイモが壊滅状態になってしまいます。これは食料の多くをジャガイモに依存していたアイルランドの人々にとって餓死を意味することでした。

 アイルランド人たちは、バタバタと同朋が餓死していく中、搾取のみをしてなんの保護もしないイギリスに対して大きな憎悪を抱き、それがいまだに残っているアイルランド紛争にも繋がっているといわれています。

 アイルランドにおけるジャガイモ飢饉では、100万~150万人が餓死もしくはそれに繋がることで死亡し、約150万~400万人が北米大陸やオーストラリアなどに移民を余儀なくされました。

 当時の総人口が800万人以上いた当時のアイルランドの人口を考えるとこれがいかに異常なことであったかがわかるでしょう。

 そのためアイルランドの人口は激減し、いまでも19世紀より前の人口に戻っておらず、現在のアイルランド人口は450万人ほどとなっています。

 アイルランドにおきたジャガイモ飢饉によって、アメリカに渡った人たちには、アメリカ大統領となったケネディやレーガンのひいおじいさんもいました。ジャガイモはまさに世界の歴史に重大な影響を与えた食べ物でした。

(食文化研究家 巨椋修(おぐらおさむ)/絵:そねたあゆみ)

 

 

 

 

ネバネバ食品の効用

 

 山芋、長芋、里芋、オクラ、海草、納豆、モロヘイヤなどのネバネバ食品にはムチンがたくさん含まれています。

 ムチンは、皮膚、関節、目の水晶体などに多く、保湿、潤滑、免疫力の強化などに大切な働きをしています。

 これらは中医学でいう津液の働きで、特に加齢に伴い不足してきます。

 また、寝不足や過労でも津液は消耗し、粘膜が乾いてくると、免疫力が低下して、アレルギー、粘膜の荒れ、潰瘍、発ガン等の炎症につながるので注意が必要です。

 このような傾向がある方に、ネバネバ食品は優れた働きをもっています。

 またこれらの食品は、肝臓でグルクロン酸を作る働きがあります。

グルクロン酸は、肝臓の働きを助けて、解毒機能を強化し、疲労回復に役立ちます。

 ネバネバ食品に化痰の働き(痰を溶かしたり、痰湿という病理産物を処理する働き)があるのはこのためです。

  里芋などは、外用でパスタとして使用すると(里芋湿布)病理産物を吸着して、痛みや腫れを引かせる働きがあります。

 この場合は、里芋粉を使用したり、生の里芋をすり下ろして、生姜汁と併せて、ネルの生地に伸ばして使いますが、その前に生姜罨法等で患部の血行をよくしておくと、さらに効果があがります。

 ネバネバの食品は、正しい津液を補いつつ、悪い病理産物である痰湿を処理してくれる、両刀使いの優れた食品です。

(薬剤師、薬食同源アドバイザー 高田理恵/絵:そねたあゆみ)

 

 

 

千年一昔 太宰府天満宮

 

 先日、九州国立博物館に行った折に、久しぶりにちょっとだけ、太宰府天満宮に行ってきました。

 大宰府といえば、学問の神様で有名ですよね。(ここの宮司の子どもは絶対に名門進学校に通る・・・という伝説があります。まあ、ここの子が落ちるということは神社にとっては死活問題なんでしょうね。実際、通ってるらしいですけど、それはそれで子供には余計なプレッシャー以外のなにものでもないわけで・・・。)

 ここ、当然、発祥は菅原道真に始まるのでしょうが、菅公のお墓はどこにあるか御存知ですか?

 はい、ご賢察の通り、天満宮本殿の真下にあるんです。つまり、太宰府天満宮は日本でも珍しい、人の「遺体」がある神社なんですね。

(通常、神社は遺体どころか、葬儀でさえも不浄として嫌いますからねえ。でも、私はこれで良いと思うんですよ。神仏混淆こそが、日本の歴史の中で紡ぎだされてきた、あるべき姿なのだと思ってますから・・・。)

 ちなみに、「太宰府」と「大宰府」の違いはおわかりでしょうか。

天満宮が太宰府で、政庁跡が大宰府。地域に馴染みがない方には少しわかりにくいかもしれませんが、元々、朝廷の出先機関である「大宰府政庁」があり、形の上では菅公は一応、ここに左遷されてきたわけです。そして、亡くなった後に・・・、まあ、少し曲折はあったようですが、政庁から少し離れた所にあったお墓の上に神社が造られ、「太宰府天満宮」となった・・・と。

 菅公こと、菅原道真は一般に大宰府に「左遷」されたといわれてますが、実際には「左遷」なんて生易しいものではなく、「流罪」そのものだったそうです。つまり、大宰府政庁に出仕していたわけではなく、軟禁状態に置かれ、かなり過酷な環境で事実上の死刑判決に等しい措置だった・・・と。

で、道真配流から千年の後、再び貴人がここに不遇をかこつことになります。三条実美ら五卿です。(長州への「七卿落ち」として有名ですが、長州征伐後、福岡藩お預かりとなって太宰府天満宮に収容された時には5人になってたわけですね。)

 ところが、3年間の太宰府軟禁時代、福岡藩黒田家は徳川幕府から、「扱いが寛容すぎる!」とのお叱りを受けたことから、その処遇を酷薄なものとしたところ、直後に明治維新となってしまった・・・と。

で、すべてが裏目に出てしまい、これが福岡藩を「廃藩置県前の新政府による唯一のお取り潰し藩」という形での終焉へと導くことになるわけですね。

その一方で、太宰府天満宮だけは籍奉還の際、日本全国の社寺も昔からの社領、寺領を返還する中、その後も付属領600石、約20ヘクタールの「領土」をそのまま持ち続けることが出来た・・・と。

これは、三条卿が福岡藩から迫害された時に、天満宮の宮司が色々と懇意にしてくれたことの恩義に報いんと特例を認めたからだとか。

もっとも、その領土も戦後の農地改革で失い、残っているのは境内の一部という名目で接収をまぬかれた約5アールの水田だけだそうです。

ちなみに、太宰府には、もう一人、如水こと黒田官兵衛孝高も住んでました(↑)。

言うまでもなく、福岡藩黒田家始祖にして、来年の大河ドラマの主人公ですね。

関ヶ原合戦後、息子長政が太宰府がある筑前の国主となったことから、隠居所としてここに庵を建てたとか。

この辺は、今も東京の文化人が古都・鎌倉に住みたがるのと同じ感覚だったでしょうか(笑)。

(小説家 池田平太郎/絵:そねたあゆみ)

 

 

 

 

ポパイも知らなかったホウレンソウの健康パワー!?

 

 ホウレンソウは、スーパーに行けば年中手に入る食材で、季節感の失われた野菜の代表格の一つですが、実は、気温の下がってくる秋から冬にかけて旬を迎えます。ホウレンソウは元々冷涼な環境が適している植物で、この時期のホウレンソウは、栄養価も高く美味しいという特長を持っています。

 栄養学的には、カロテンや葉酸、ビタミンB1、B2、C、鉄分などを多く含む食材ですが、注目したいのは、ルテインという成分を含んでいることです。ルテインは緑黄色野菜に多いカロテンの仲間の成分で、β-カロテンのように体内でビタミンAに変換されることはないのですが、加齢黄斑変性や白内障などの眼病予防に役立つといわれています。これらの眼病はどちらも高齢者特有の病気で、社会の高齢化にしたがって近年増加してきており、問題となっています。

 ホウレンソウのルテイン含量は、ルテインを含むといわれる緑黄色野菜のなかでも突出して多く含んでいます。

 有用成分を多く含むホウレンソウですが、一つ気をつけたいのは、シュウ酸を多く含んでいるということです。シュウ酸はホウレンソウ特有のえぐみの原因物質であり、体内に吸収されるとカルシウムと結びついて不溶性の塩を形成しますので、多食すると腎臓結石や尿路結石の原因となります。

 シュウ酸を取り除くには、大量の水で茹でこぼすと抜くことができますが、そうすると同時にビタミンCまで失われてしまいますので、むしろ、ちりめんなどカルシウムの多い食品とあわせて食べることをお勧めします。そうすると腸内でシュウ酸がカルシウムと結びついてそのまま体外に排泄することができます。

 漫画「ポパイ」で主人公がホウレンソウを食べると超人的な力を発揮するという設定は、野菜嫌いの子供に野菜を食べさせるための全米ベジタリアン協会の策略だったそうです。漫画は大ヒットし一時的にはホウレンソウの消費も増えたそうですが、残念ながら全米ベジタリアン協会の意図した菜食主義の浸透・定着にまでは至らなかったようです。

(医学博士 食品保健指導士 中本屋幸永/絵:そねたあゆみ)

 

 

 

 

世界のクリスマスケーキ

 

 ジングルベルの音楽が街にこだまするこの季節。皆様は何を待ち望んでいますか?

 華やかなイルミネーションやクリスマスツリーの飾りつけ、またはクリスマスプレゼントなど、この季節は心をワクワクさせます事がたくさんあります。なかにはクリスマスケーキを待ち望んでいる方もいらっしゃるのではないでしょうか。

 クリスマスケーキはクリスマスに欠かせない食べ物。これを食べないとクリスマスを過ごした気になりません。スポンジケーキをおおう真っ白い生クリーム、その上に乗せられた赤い苺、ヒイラギの飾りつけやチョコレートでできた煙突のある家、そして口ひげをはやしたサンタクロース人形もクリスマスケーキにはなくてはならないものです。

 このような飾りつけのケーキが日本で食べられるようになったのは大正十一年頃から。菓子メーカーの不二家が販売したのが始まりだそうです。このスタイルのケーキは日本だけのもので、海外では全く違うケーキを食べてクリスマスを祝っています。

 フランスではブッシュ・ド・ノエルと呼ばれる木の切り株に見立てたケーキを食べます。チョコレートクリームをまんべんなくロールケーキに塗り、筋をつけて木目を作ります。

 イタリアではパネトーネというパンを食べます。パネトーネ菌を使って発酵させた円筒型のパンで、レーズンやドライフルーツがたっぷりと入っています。

 ドイツではシュトーレンというお菓子をいただきます。シュトーレンとは棒という意味で、ドライフルーツやナッツが入った生地を長方形に伸ばして二つ折りにし、山型にして焼いたあと粉糖をまぶします。クリスマスの四週間前の日曜日から一切れずつカットして食べるそうです。

 

 イギリスではブランデーやラム酒にドライフルーツを漬け込んだクリスマスプディングを食べ、フィンランドではヨウルトルットゥという星形のパイ菓子を食べます。

 

 このように各国それぞれクリスマスに食べる物は違いますが、スイーツを食べることに変わりはありません。

 

 やはり特別な日には、甘い物で祝いたくなるのでしょう。

賓客たちに評判となりその名が広まっていき、また、北京の料理店もこの豊沢園飯庄の料理を真似して広まっていったといいます。

 

 

 (フードアナリスト 愛川いつき/絵:そねたあゆみ)

 

 

 

 

<編集後記>

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