おもしろコラム通信1月号 2014.01.01 No.117

 

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内戦と寛容

 

「我が胸の 燃ゆる想いに 比ぶれば

            煙は薄し 桜島山」

 郷土、筑前福岡藩が生んだ数少ない勤王の志士、平野国臣の句です。聞いただけで勇壮な気分になるような、まさに名句と言っていい一句ではないでしょうか。

 さて、以前、福島県の友人と一緒に鹿児島へ行った折、「おまえら薩長は敵じゃないのか?」とからかったところ、彼ら曰く、「いや、薩摩はまだいいんだ。会津の恨みが激しいのは長州に対してなんだ」とのこと。

 これは私には少し意外で、「長州は最初から敵だったからまだいいけど、薩摩こそ途中から裏切った怨敵」と聞いておりましたので。その旨を言ったところ、「戊辰戦争における会津の恨み」というのは、戦争その物よりも、戦後、勝者である長州軍が、会津側戦死者の遺体を埋葬させなかったからだそうで、これこそは、即ち、戊辰戦争というものが「内戦」という意識が当事者間にカケラもなかった戦争だったと言うことだったと思います。

 内戦というものを戦う上では、忘れてはならない、一つの重要なキーワードがあります。それこそが、「寛容」というものです。

 これは、何も内戦に限ったことではなく、戦後も、そこを自国の領土として併合する意図がある場合などでも同じです。

 この点は、数々の内戦を繰り広げてきた古代ローマ人の戦いにこそもっとも、顕著に表れていると思います。

 即ち、異民族、蛮族など、自分たちに同化しようとはしない外敵には、見せしめというものが必要ですから、皆殺しなどの残酷な措置が必要ですが、同胞には、どのような抵抗があろうとも、「寛容」というものを忘れてはならず、ローマ人の歴史は、内戦においての寛容というものの重要性を、見事なまでに我々に教えてくれています。

 ローマ時代における最大のスーパー・スター、ユリウス・カエサル(シーザー)は、どれほどに抵抗が激しかろうと、戦後はすべてを忘れたかのように、敗者に対して恐ろしいまでに寛容でした。

 それは、ある意味、当然のことで、内戦が終わったら、元の通り、皆、同じローマ人として暮らしていかねばならないわけですから、自分が戦後、国をまとめていく立場に立つことを考えたならば、妙な遺恨を残してしまっては、逆に統治の妨げになるわけで・・・。

 となれば、寛容というものが、内戦を戦い抜く上においては、結果的には、もっとも有効にして、もっとも効果的、もっとも安上がりな政策となってくるわけです。

 この点では、現代の旧ユーゴスラビア紛争の指導者の一人であったミロシェビッチ氏が、元々、分離独立を許さないと言うことで内戦をスタートさせたはずなのにエスニック・クレンジング(民族浄化)などという一番愚かな手段を用いてしまったことを思えば一番わかりやすいでしょうか。

 ローマに話を戻しますと、ローマ帝国末期、帝国は四人の皇帝が分割統治する時代を迎えますが、ここで、さらに四人のうちに入れなかった先代皇帝の息子が一人、本来の本国であるイタリア半島で勝手に即位宣言したことから、時代は分割統治から群雄割拠の色合いを強くしていきます。

 即ち、誰がこの、「帝位を僭称した皇帝」を討つか・・・ということになり、最初に攻め込んだ皇帝は、諸都市の固い叛意の前に、逆に敗死・・・。次に攻め込んだ皇帝は、抵抗する城塞都市を殲滅し、見せしめとすることを選択しますが、逆にその情報はいち早く、イタリア半島全体に伝わり、他の都市を死に物狂いにしただけとなり、その皇帝は撤退を余儀なくされた・・・と。

 そして、最後に攻め込んだ皇帝は、叛乱に立ち上がった諸都市に対し、「罪は問わない」と宣言し、激しく抵抗した都市も撃破した後は誰一人、罪を問われなかったそうで、その結果、これが伝わるや、諸都市は戦わずして城門を開き、覇業に大きく前進したわけで、この皇帝こそが、後に大帝と呼ばれるコンスタンティヌスであった。

 次に、「内戦と寛容」というものについてですが、日本の戊辰戦争の時に、誰もその理屈に気づかなかったのかというと、そんなこともないわけで、西郷隆盛は賊軍でありながら、最後まで官軍相手に勝ち続けていた庄内藩の戦後処理に寛容を持って臨んだと言います。

(この藩だけは、結局、最後まで負けないままだったそうで、哀しいかな局地戦であったがゆえに、賊軍の本丸である、会津と仙台が降伏したことを知り、もはやこれまで!ということで、やむなく降伏したと。ちなみに、このとき、庄内藩に負け続けたのが新政府側に付いた秋田藩で、救援に向かいながら一緒に敗走を重ねたのが我が筑前福岡藩だったという・・・。)

 庄内藩士は、西郷のその温情に感謝し、その後、西南戦争勃発の時には、北の果てよりはるばる南の果ての南九州まで駆けつけ、西郷軍に合力したとか・・・。

 逆に、会津戦線では、新政府軍は、寛容を持って臨まなかったがゆえに、西南戦争の折り、旧会津藩士が多数、新政府軍として参戦したと言います。(5.15事件で暗殺される後の総理大臣・犬養毅は、このとき、従軍記者としてその胆力を大いに発揮し、両軍の前線兵士から多くのインタビューをとってきたとそうですが、その中に、ある会津出身の新政府軍兵士の言葉として、「会津人の剣、疾きか鈍きか!薩摩人に聞かん!」というのがあったと言います。)

 もっとも、古代ローマにても、必ずしも、カエサルやコンスタンティヌス大帝のように内戦というものの定義を理解した戦い方をした人物ばかりだったわけではなく、初代皇帝・アウグストゥスよりの皇統が途絶えた後に起こった内戦においては、勝った方の方面軍が破れた方の方面軍を辱めたそうで、となれば、次の内戦が勃発した際には、会津人の西南戦争参戦よろしく、負けた側の方面軍は勇んで参戦し、結果、勝者と敗者が逆転し、そしてまた、敗者に同じような辱めを与えてしまったとか・・・。

 内戦とは、外敵を撃退することよりもデリケートなものだということなのでしょう・・・。(小説家 池田平太郎/絵:そねたあゆみ)

 

 

 

 

 

 

おかゆの復権

 

 正月の風習も年々変わってきている。はねつき、こままわし、すごろく、ふくわらいなどもとんと見なくなった。

 コンビニなど正月3ガ日でも、お店は開いているから、主婦の労働

を正月くらい休みにしてやろうという目的のおせち料理を作る家庭もほとんどなくなった。スーパーやデパートで売っているおせち料理を買ってきても、孫達はほとんど手を出さない。かくて、おせち料理も風前のともしびだ。

 そんな中でも、残したい風習に「七草粥」がある。古代より日本で

は、年初に雪の間から芽を出した草を摘む「若菜摘み」という風習

があり、これが七草の原点とされる。セリ、ナズナ、ゴギョウ、ハ

コベラ、ホトケノザ、スズナ、スズシロの「七草」を入れて7日の

朝に粥を炊き食べて、1年の無病息災を祈る。正月にご馳走を食べ

すぎて疲れた胃を整える意味もある。

 七草のうち、スズシロ(大根)、スズナ(カブ)、セリは日常的

に食べるが、ほかのものは野草として見かけることがあるが、日常的

は食べない。ナズナは、市民農園仲間の中国人夫婦が、わざわざ種をまいて作っていた。中国では普通の野菜として食べているようだ。ハコベラは柔らかそうだが、ゴギョウ(ははこぐさ)、ホトケノザは食べる気がおきない。

高齢化社会が進む日本では、お年寄り食としても「おかゆ」が日常

 

的に見直されて良いかと思う。「七草粥」を契機に朝食はおかゆを

 

メインにしようかしら?(コラムニスト 古屋麻耶/絵:そねたあゆみ)

 

 

 

うま味調味料が中華料理を世界に広めた

 

『チャイニーズ・レストラン・シンドローム』という言葉をご存知でしょうか? 日本語に直せば『中華料理店症候群』別名を『グルタミン酸ナトリウム症候群』

 これが何かと申しますと「グルタミン酸ナトリウム」すなわち『うま味調味料』の大量摂取によって、頭痛や体のシビレなどを感じる症状が出るということだそうです。

 かくいうわたし自身も高校時代、学食でラーメンを食べたとき舌が痺れるような、歯が浮くような感じがいつもしていて、ある日その学食でラーメンを作っているところを見たら、大匙4杯分ほどのうま味調味料が投与されていたということがあります。そりゃあそんなに大量に入れたら舌もシビレルわさ。

 うま味調味料は大量に摂取すると神経毒として作用するかも知れないという説もあるのですが、この説は科学的には証明されておらず、適量だとまったく問題ないそうな。

 うま味調味料はその前に『化学調味料』とか言われていたわけですけど、化学調味料なんて、いかにもケミカルで体に悪そうなイメージがありますものね。中には「化学調味料が入っている食品が美味いなんていう人は舌がバカになっているんだ」なんていう人もいますけどそういう人って、ちょっと美食メディアの迷信や健康食品神話に影響され過ぎているような気もします。

 なぜならばほとんどの中国料理には、この化学調味料なるものがふんだんに使われていて、中国料理が世界に広まったのはこの化学調味料のおかげであり、一流店でも当たり前のようにこの調味料、つまりは『うま味調味料』を使っていて、世界の美食家が美味であると認めているのですから。でも、多くの美食家はその料理の美味のヒミツがうま味調味料であることは知らないのかも知れませんが……(苦笑)

 「ある若い日本人が、中国料理の修業に本場中国のあるお店に住みこんでいた。そこの亭主の料理はたいそう美味しかったのであるが、日本人の若者がいかに努力してもその味にはかなわなかった。

 おそらく秘伝のタレなり味付けがあるのだろうと思っていたが、亭主は教えてくれない。そこでそれとなく亭主の調理姿を盗み観ていたところ、ある調味料をサッと入れているのを見つけた。若者は亭主の味を盗んでやろうと、後でこっそりその調味料を探すとあったのだ。

その店秘伝の調味料『うま味調味料』が……」

 という話しが作られるくらい、中国ではうま味調味料が多用されています。もっと言えば「中国料理が世界に広まったのはうま味調味料があったおかで美味しくなったから」という話しが伝わっているくらいです。

 世界人口の5人に1人が中国人であるという巨大国である中国は世界中に移民がたくさんいて、あらゆる国に中華街がありましたがチャイナタウンで食事をする地元の人は少なかったのが、うま味調味料を一振りするだけでアラ不思議。たちまち外国人をも満足させる味に変身するではありませんか! 中国系の料理人たちは大量にうま味調味料を使用するようになり、やがてあまりに大量に使うので『チャイニーズ・レストラン・シンドローム』などというありがたくない名称までもらうことになります。

 大量に使うようになったのは中国だけではありません。東南アジアなどもうま味調味料出現によって、ずいぶんとその国の料理が美味しくなったという話しはよく聞きます。

(食文化研究家 巨椋修<おぐらおさむ>/絵:そねたあゆみ)

 

 

 

 

 

タコの吸盤がロボットを進化させる?

 

 関西大学が研究開発したタコの吸盤を模した真空グリッパが話題になっている。

 海に潜ってタコを捕まえたのはいいが、手に巻きついて離すのに往生したことがある。また、韓国釜山の魚市場で、買ったばかりの小さいタコをその場で調理してもらい、生で食べたことがあったが、その時も口の中でタコの足が吸い付いて食べづらかった思い出がある。

 タコの吸盤機構は吸盤と漏斗部とで構成されており、まず漏斗部の筋肉を使い漏斗部が対象物に張り付き、密閉した空間ができたところで吸盤の筋肉を使い吸盤内部の空間を広げ負圧を発生させ、外部との大きな差圧により高い吸着力を実現していているのだという。

 この原理を真似て、薄膜状の吸盤をもつグリッパを作った。吸盤内部は真空ポンプへとつながっており,吸盤内部の圧力を下げることができる。そのため、吸盤を把持対象物に密着させ吸盤内部の圧力を下げると,大気圧との圧力差により対象物を把持できるというもの。

 これの何がすごいかというと、一般的な真空吸着と異なり吸盤内部の排気系と大気が膜によって遮断されているためリーク(漏れ)がないので、吸盤が対象物に接触していなくても、全ての吸盤内部の圧力を下げることができるので、凹凸のある対象物を把持できる。さらに吸脱着の制御が 1 つの真空計と 1 つのバルブの切り替えだけで済むので装置の設計が簡単。しかも、排気系が大気とつながっていないので,ごみが排気系に詰まることによる吸着力低下も無いのだという。

ハンドをシリコーンゴムなどの柔軟なもので作製することにより①凹凸があっても吸着で

きる②対象物が球面であっても、球面に沿って吸着できる③対象物が傾いていても吸着で

きるので、どんな形状のものでも吸着~移動出来ることになる。

この、グリッパを使えば、ロボットアームにより人間に近い働きをさせることが可能になり、

オートメーション装置が飛躍的に進歩することが期待できる。

鳥を真似て飛行機を創り、蜘蛛糸や絹糸を研究してナイロンを発明するなど、人間は自然

界に学んで、科学を進歩させてきた。すなわち、科学が進歩すれば進歩するほど神に近づ

いてきたといえる。

近年、電子顕微鏡の性能が飛躍的に進歩したおかげで、動物や植物を研究してその不思議

な能力を真似して発明品につなげようとする研究が盛んになっている。そんなことを思い

ながら、野山に出て、植物や動物を慈しみながらの散策は楽しい。

(ジャーナリスト 井上勝彦/絵:そねたあゆみ)

 

 

 

現代病の食養生 主食に玄米をとりいれる

 

主食に玄米を取り入れる意義は4つあります。

1,血流改善・・・手足がポカポカに!

 玄米は食物繊維を多く含み、腸管を刺激します。それにより、副交感神経が目覚め、交感神経の過緊張を和らげます。

 リラックスして体がポカポカと温かくなり、十分な血液が流れる体は、免疫パトロールの力を高めますし、十分な酸素と温かい体温の状況下ではガン細胞は生きづらくなります。

2,血糖値を下げる・・・ガン細胞に兵糧攻め

 玄米は血糖値の上がりにくい低GI食品です。白米に比べて血糖がゆるやかに上昇するため、インスリンの過激な分泌を抑えます。

インスリンが多量に分泌されると、血中の糖分は脂肪に変えられます。

 糖尿病の方や中性脂肪が高い方では、発ガンのリスクが高まります。ガン細胞は糖と脂肪が大好きです。

3,解毒排泄を高める・・・腸がスッキリ!!!

 玄米は、胚芽に含まれるフィチン酸の働きで、添加物、農薬、未消化のタンパク等を吸着して排泄する働きがあります。腸管の汚れが取り除かれて腸管免疫力をアップさせます。

4,抗酸化力をアップ・・体の炎症、老化を防ぐ玄米は抗酸化酵素(SOD)を多く含む食品です。活性酸素による酸化、遺伝子の損傷ガン細胞の分裂等の反応を抑制してゆく働きがあります。

 また、メラニン色素の合成を抑制する酵素も含まれ、シミ、ソバカス、しわも薄くなります。

 ★玄米を主食に取り入れる方の注意事項として、ミネラルを十分に摂っていただくことをお勧めします。普通にお肉や魚類も食べておられる方は、大丈夫ですが、厳重なる玄米菜食を長期間続けておられる方は、吸収のよい動物性のヘム鉄を摂らないため、フィチン酸のミネラル排泄作用と相まって、貧血傾向になることが多々あります。厳重なる玄米菜食を続けておられる方は、食事に海のミネラル・・しほよもぎを取り入れてください。

 (薬剤師、薬食同源アドバイザー 高田理恵/絵:そねたあゆみ) 

 

 

 

<編集後記>

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