おもしろコラム通信 6月号 2006.6.8 No.026

 

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寒さの犯人は「女の子」!?

2005年冬から2006年春にかけて日本では、近年みられない低温が続きました。気象庁ではこれを「ラ・ニーニャ」のせいだと報道発表しています。(この現象は夏には終息する予測も出されています)

「ラ・ニーニャ」とは、赤道上空を吹く偏東風が強まるために南米ベルー沖赤道太平洋の海水温が例年より2℃〜5℃低くなることをいいます。

そのせいで、赤道海域の高温域は例年より西に寄って、偏東風が直接吹き付けている地域だけでなく、世界中に異常気象をもたらすものです。

 この逆の現象が、比較的よく知られている「エル・ニーニョ」です。これは偏東風が弱まるためにペルー沖の海底からの冷水の湧き出しが少なくなり、赤道海域の高温域が例年より東によって、やはり世界中に異常気象をもたらします。

ところで。「エル・ニーニョ」とはスペイン語で「男の子」のいう意味です。実はこの現

象は十二月ごろに始まり、そのおかげでペルー沖のアンチョビ漁が豊漁になります。それがちょうどクリスマスのころに近いので、地元の人々はこれを神さまの恵み、「神の子」つまり「エル・ニーニョ」と呼ぶようになったり、逆の現象を「ラ・ニーニャ」つまり

「女の子」と呼ぶようになったのです。

これらの現象は、昔から数年ごとに繰り返されてきた自然のサイクルなので、異常気象と言っても昨今の人為的なものとは種類が異なります。

それに、この現象が研究の対象とされ始めたのはまだここ数十年の話です。だから「エル・ニーニョだから今年は絶対に暑い」などと断言できる人はまだ一人もいないのが実情です。

地球も生き物です。熱が上がったり下がったりするときもあるのです。そう思って暖かく見守ろうではありませんか。

(文:気象予報士 チャーリー/絵:吉田たつちか)

 

 

徳川家光の人事手腕

 

「天下のご意見番」として、映画やドラマの題材になっていた人物に大久保彦左衛門という人が居ます。

この人物は、実在の人物なのですが、実際には、天下のご意見番というよりは、窓際族だったそうです。

生粋の三河武士であったにも関わらず・・・です。

で、当然、憤懣やるかたなく、そこいらの鬱憤を書きためたのが、家康の立志伝とでも言うべき、「三河物語」であり、それは、当時、彦左衛門同様に待遇に不満を持っていた武功派武士たちから支持され、一大ベストセラーとなったのです。

では、なぜ、彼が「天下のご意見番」などと言われるようになったのかと言えば、三河物語の評判と共に、彦左衛門の憤懣を知った、時の三代将軍家光が彼を抜擢したからです。

家光という人は、人事面においての、その手腕には見るべきものがあったと思います。

家光の人事上の特徴、それは現在、不遇にある人材を抜擢することです。

冷遇されている人や、自分のバックアップあっての家臣のような者を積極的に抜擢しています。

家光の腹違いの弟に保科正盛と言う人がいます。一方で、家光は両親が弟(実弟、大納言忠長)ばかりを可愛がって自分を廃嫡しようとまでした経緯があったこともあり、この弟を自害に追い込んでいます。

でも、そうは言っても、身内に頼れる奴がやっぱり欲しくて・・・、で、そんなときに自分にもう一人、弟がいることを知り、しかも異母兄弟だし、一度、家臣の家に養子にいっているから、自分の後を狙う心配もない・・・で抜擢するわけです。

この保科正盛も嬉しかったんでしょう。父秀忠は奥さんが怖くて認知さえしなかったそうですから・・・。

(ちなみに秀忠の妻で家光の母というのは、あの淀の方の妹で、お市の方の娘、つまり、あの「鳴かぬなら 殺してしまえ!」の信長の姪にあたるわけです。いやー、聞いただけで気が強そう・・・。)

それまで徳川家の血を引くことは知っていても、父は会ってさえくれない天涯孤独だったわけで、そこへ、兄から「これでもか!」というばかりに頼りにされ、次々に抜擢される・・。最後は失明してまで、文字通り、命を削って働いたそうです。    

(文:小説家  池田平太郎/絵:吉田たつちか)

 

 

 

生ゴミのリサイクル

 

日本に限らず世界が抱える問題ですが、台湾台北市では「ゴミ捨て」に関して徹底したルールを2001年に設けて、早くも大きな成果をあげています。

ゴミは「一般ゴミ」「資源ゴミ」「生ゴミ」に分別しなければなりませんが「一般ゴミ」を捨てる時には指定のゴミ専用袋を購入しなければなりません。袋の大きさは選べますが、当然大きい袋は値段も高くなります。

これは、「ゴミを出す人が自分のゴミ処理に対してお金を払う」という概念からきているものです。これまで国民の税金で賄われてきたゴミ処理ですが、これでは不公平だという声が多くあがったことが始まりでした。

指定の袋は結構な値段なので、自然とゴミの量が減っていく、という二重の効果があります。

「一般ゴミ」と「資源ゴミ」は週5日、ほぼ決った時間

帯にゴミ収集車が回収しに来るのですが、市民は直接ゴミを収集車まで持っていかなくてはなりません。台北市内には、ネズミなどにゴミを荒らされるのを防ぐ等、衛生面の理由からゴミ捨て場が廃止されているのです。

ゴミ収集車は「エリーゼのために」などのオルゴール音楽を大きな音で鳴らして「回収しているサイン」を地域住民におくります。一般ゴミは資源ゴミなどが混ざっていないかチェックされ、その場で分けさせられることもあるのです。

「生ゴミ」は、環境省と提携した民間業者が収集。この7割は養豚場の残飯に、3割は堆肥の原料として全てリサイクルされます。得に、この「生ゴミ」処理は世界が参考出来るリサイクル法ではないでしょうか。少なくとも、ただただ燃やして処理している日本よりかは素晴らしい方法だと思いませんか?

(文:JULIE/絵:吉田たつちか)

 

 

照る照る坊主の由来

 

しとしとと天から水が滴り落ちる、梅雨がやってくる。カビも生えやすく、じめっとして嫌な季節だ。恵みの雨とも言うけれども、やはり何事も過ぎたるは及ばざるが如し、あまり長雨になると農作物の発育にも良くはない。そこで、太陽に顔を出してもらえるよう、軒先に吊るされたのが、照る照る坊主だ。

照る照る坊主は、照る坊主とも言われ、白い布や紙に丸い芯を入れ、根元で縛ったものを吊るす。バトミントンや羽つきの玉のような形だ。最初は顔を描き入れないでおき、見事晴れることが叶ったならば、目を入れ、神酒をかけた後に川に流すという。今ではこの風習は薄れ、最初から可愛らしい顔を描くようになっている。楽しい行事の前に吊るすことが多くなったからか、気分を盛り上げる為の小道具の一つのようだ。

しかし、昔はもっと切羽詰って吊るしていた。雨が続くことにより、生活が圧迫されてしまう。何とか雨を止ませてもらえるよう、人柱を立てることもあったぐらいだ。神への奉げものとして人間を差し出す代わりに、照る照る坊主を吊ったのではないかとも言われている。最終的に川に流すことが、人柱を彷彿させる。

何やらおどろおどろしい感もあるが、元々は中国で生まれた照る照る坊主は、最初は紙切れを人型に切ったものを、川に流していたようだ。これは人柱という意味ではなく、人型もホウキを持った少女の形で、彼女の持つホウキで、空の雲を掃きだしてしまおうというものだ。とても微笑ましい。今ある照る照る坊主も、もしかしたら、ホウキの形を模ったものかも知れない。その方が太陽も、すっきり顔を出してくれるように思われる。

(文:講談師 旭堂花鱗/絵:吉田たつちか)

 

 

 

鮎漁の解禁

 

全国の多くの河川で「鮎漁-あゆりょう-」が解禁となり、味覚の上でも夏の気配が色濃くなる時節となりました。

秋に孵化した鮎の稚魚は川を下って海で冬を越し、翌年の春再び川を遡って姿を現します。春に川に上る鮎を「若鮎-わかあゆ-」、秋の産卵期に腹子を抱えたメスの鮎を「子持ち鮎」といって日本料理において特に珍重され、季節感を強く感じさせてくれる味覚の代表格です。

鮎の稚魚は主に動物性の物を餌としますが、成長するに従い水底のケイソウ、ランソウ等の石苔を食べるようになるので鮎特有の香気が強くなり、別名「香魚-こうぎょ-」とも呼ばれています。

最近は魚肉などを加えた配合飼料を与えた養殖鮎も多く生産されていますが、やはり香気に乏しく天然物には及びません。

鮎は秋の産卵を終えると再び川を下り、海に出てその一生を終えます。一年しか生きないといわれるところから「年魚-ねんぎょ-」とも呼ばれています。

夏の風物詩として有名な岐阜県・長良川の「鵜飼-うかい-」は、「古事記」や「日本書紀」にも記述がある鮎の古典漁法で、織田信長、徳川家康など時の権力者たちの保護を受け今に続いています。

暗闇に包まれた川面に、燃え盛る篝火が映る幻想的な雰囲気の中、烏帽子をかぶり腰蓑をつけて鵜舟に乗りこんだ鵜匠が現れます。縄で繋いだ10〜12羽の鵜を水中へ追い、鵜が鮎を飲み込んで捕らえると鵜を手繰り寄せて吐き出させ、再び水中へと追い立てます。代々世襲制である鵜匠は常日頃から鵜と一緒に生活していて、その手縄さばきは見事の一言。

目の前で繰り広げられる歴史絵巻は現実離れした勇壮な風景ですが、どこか侘しさが漂い、俳聖・松尾芭蕉も

「面白ろうて やがて悲しき 鵜舟かな」

という有名な一句を残しています。

「年魚」と呼ばれる鮎のはかなさや、短い季節の移り変わりまでが感じられるような名句ではないでしょうか。

(文:現庵/絵:吉田たつちか)

 

 

 

 

 

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