おもしろコラム通信3月号 2010.3.01  No.071

 

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「一諾を守る」の持つ信用力   

 一諾を守る・・・ということ、それは、いくら最終決定権を持つ権力者とは言え、そう簡単な事ではありません。一諾とは、一面、実行力という面も持っているからです。

 あるいは、「決定権者になりさえすれば、そんなの簡単だ・・・。」と言われるかもしれませんが、前回申し上げました大久保利通にしても、田中角栄にしても、権力の座に着く前から一諾を守ってきたがゆえに、権力の座についてからは権力と信用というものが相乗効果を得て、それが誰にも打倒することが出来なかったという点では、まさに、運命的にまで強い「権威」というものを持ち得ることに繋がったのだろうと思います。「今日から、決定権者になったから、約束を守るよ!」と宣言しても、信用という物は一朝一夕につくものではないからです。

 一方で、そうは言いながらも、歴史上の英雄と言われた人たちを見てみると、どなたも、多かれ少なかれ梟雄的なところが有るようです。必要と有れば、約束など破るのに、それほどの躊躇は持たない。あるいは、約束など破っても、自分が強くなれば、相手は付いてこざるを得ない・・・という判断があったのかもしれません。

 それらの古今東西、英雄と呼ばれる人の中で、一人だけ、信用という点で、異彩を放っている人物がいます。それこそが、偉大なる大ハーン、チンギス・ハーンです。チンギス・ハーンについては、今更、言うこともないでしょうが、彼の創設したモンゴル帝国は、旧ソ連に次ぐと言われる、空前の版図を獲得したことでも知られてます。晩年、幽閉中のナポレオンをして、「余の為したる事は、彼の偉業の前には児戯に等しいものであった・・・。」と言わしめたとか。

 もっとも、モンゴル帝国の版図が最大になったのは、彼の死後であり、また、そのときには、事実上、帝国は分裂しており、厳密な意味での彼の帝国は、もっと、小さかったとは思いますが・・・。

 で、そのチンギス・ハーンですが、彼だけは、どういうわけか、どのような苦境にあっても、どれほどに被害が大きくなっても、まさに、綸言汗の如し・・・で、一度、口にした言葉は絶対に実行したと言います。

 「この城を落とす!」と宣言した後、攻城戦がうまくいかなかったときも、どれほどの犠牲を出してでも攻略したと言いますし、彼が「許す」と言った人間は絶対に「許された」と言います。

 さらに、この人物の尋常成らざるところは、自分もそれほどに一諾を守るものの、同時に、他人にも、その一諾を強制したことです。

1221年、バーミヤン攻略の折、ハーンの可愛がっていた孫が戦死したことで、激怒したハーンは、「この都市のすべての生き物を抹殺せよ!」と将軍に命令したと言います。その将軍は、命令通り、住民はおろか馬も犬も皆殺しにした後で、ハーンの入城を待って復命しているときに、その足許をネズミが一匹、駆け抜けていったことで、「命令違反」として殺されたか・・・。

 また、逆に、戦いに敗れて帰ってきた将軍が、「今回は、装備が不十分で、雪と寒さに負けたのであって・・・。」と弁明しようとすると、ハーンは、「わかった。では、次回は春になって出撃しろ。」と言って、前回より多い兵を付けて送り出したとか・・・。その将軍は、もう、死にものぐるいで戦ったそうです。

 それはそうでしょう。彼の主君は、自ら、どれほどのことがあっても、一諾を守るということを見せつけている人間なのですから・・・。これで、負けて帰ったら、彼は「約束を守らなかった人間」ということになり、その後に、何が自分を待っているかは、火を見るよりも明らかだったでしょう。

 自らが、一旦、口にしたことは、どんなことでも守る代わりに、部下にも、それを遵守することを要求する・・・。モンゴル軍が強かったはずです。自分のところの大将が、戦争前に、「撤退しない」と言ったのであれば、この戦いには、「撤退」はないわけですから・・・。

(文:小説家 池田平太郎/絵:吉田たつちか)

 

肺の老化  

 肺がくたびれるとどんなことが起こるでしょうか?

@声が小さくなる、しゃべるのがおっくうになるA少し動いても息切れがするB風邪をひきやすいC便秘しやすいD肌に艶が無くなる・・・・・などです。

 肺は乾燥に弱い臓器です。冬場〜春先にかけて乾燥すると、肺が潤いを失い、声がれを起こします。肺につながる器官として、鼻粘膜や喉がありますが、粘膜が十分に潤っていないと、感染症を起こしやすくなります。また、全身の皮膚は、肺と同じように外敵からの侵入を抑えたり、毛穴を閉じたり開いたりして体温調節を行っています。

 中医学では屏風のような皮膚のバリアーを衛気(えき)といいます。衛気は体を温め、邪気の侵入を防いでいますが、この力が弱まると、容易に邪気の侵入を許してしまいます。

 そしてまた、肺と裏表の関係にあるのは、大腸です。肺の力が弱まると、大腸に影響して便秘を起こし、肌荒れも起こしやすくなります。

 プッチンプリンをお皿に出すときに、上のつまみを折って穴をあけると、自然にプリンが 落ちてきますよね? これと同じで、肺の気を通じさせる事が、大腸の滞りを通す事になります。

 慢性的な便秘で悩んでおられる方は、大腸の働きばかりでなく、肺が弱っている可能性もありますョ。

(文:薬剤師、薬食同源アドバイザー 高田理恵/絵:吉田たつちか)

 

ワカメの色の神秘  

 陸上植物のほとんどが緑色をしているのに対し、海藻類は生息している海の深さによって、浅いところから順に緑色、褐色、紅色のものが分布しており、それぞれ、緑藻類、褐藻類、紅藻類と呼ばれています。これは、海中では水深によって届くことのできる光の波長が限られているので、その水深に届く光を効率よく利用するために環境に体色が適応しているからだと考えられています。

 ワカメは食卓で見かけるときは緑色をしていますが、褐藻類に属していて本来は褐色をしています。ワカメの褐色は、緑色をした葉緑素クロロフィルと黄色のフコキサンチン(カロテンの仲間)という補助色素の二つの色が混じり合って出来ています。クロロフィルの緑色が比較的に安定なのに対し、フコキサンチンは熱に弱く、調理や保存中に容易に分解されて退色します。したがって、普段私達がワカメを目にするときには、フコキサンチンがすでに失われてしまって緑色をしているという訳です。

 フコキサンチンは単なる色素ではなく、優れた健康効果を持っています。他のカロテノイドと同様に抗酸化作用を持っている他、脂肪の燃焼を促進するダイエット効果、がん細胞を自殺に追い込むアポトーシスという作用をもっていることなどが知られています。

 優れた効能をもつフコキサンチンですが、残念ながらワカメに含まれるフコキサンチンは微量であり、また分解しやすいので、有効な量を日常の食事から摂取することはなかなか難しいようです。

フコキサンチンの摂取源としてはまだ課題の残るワカメですが、栄養学的には優れたものがあります。ワカメにはカルシウムやヨウ素などのミネラル類、カロテンやビタミンKな どのビタミン類が豊富に含まれています。

諸外国では欠乏症になることも多いヨウ素ですが、日本人がヨウ素欠乏症にならないのはワカメを始めとする海藻類を ふんだんに摂取しているお陰だといわれています。また、ワカメは食物繊維のアルギン酸やフコイダンといった機能性のある食物繊維を含んでいます。それらの食物繊維は、血圧やコレステロールを低下させる働きを持つことが知られています。さらに、フコイダンは抗がん作用もあるのではないかということで近年急速に研究が進んでいます。

(文:医学博士 食品保健指導士 中本屋幸永/絵:吉田たつちか)

 

巨大かにと怪物へびの友情

   春の夜、小さくぼんやりと光の雲のように輝く星雲があります。中国では「死体から立ち上る妖気」とも呼ばれるような不思議な夜空の白い星雲。これを中央に置いた星座がお誕生日の星座にもなっているかに座です。このかにはギリシア神話では、有名なヘラクレスと関わりがあると伝えられています。

ヘラクレスは浮気者の大神ゼウスと、人間の女性アルクメネのあいだにできた、生まれつき怪力を持った男性です。ゼウスの妻ヘラは嫉妬深くて有名な女神です。ヘラはもちろんヘラクレスにもいやがらせをしました。

そのうちの一つでヘラクレスは、アルゴスという国を荒らしているヒュドラという怪物の退治を命じられました。ヒュドラというのは九つの頭を持ち、真ん中の一つが不死の頭と言われています。それ以外の頭は、いくら殺しても次々とすぐに生き返ってくるのです。

ヘラクレスはヒュドラが住んでいると言われている枯れた井戸の底深くに潜り込みました。いざ、ヘラクレスがヒュドラに襲いかかろうとすると、ヒュドラと親しくしていた体の大きなかにが、ヒュドラをヘラクレスから守るために姿を現しました。このかにはただ大きなだけで、ヒュドラのように特別な生命力を持っているわけではありません。しかし友人のために命をなげうってヘラクレスの前に立ちはだかったのです。しかしヘラクレスの強さは圧倒的で、かにになすすべはありません。戦いとも呼べないうちにかには命を落としてしまいました。それを天から見ていた女神ヘラはこのかにを哀れに思い星座の列につらねたということです。

また一説では、このかには、そもそもヘラクレスの邪魔をするために女神ヘラが差し向けたのだとも言われています。そしてこのヒュドラは、全天で一番大きな星座うみへび座として空に輝いています。(ヘラクレスが星座になったヘルクレス座は五番目に大きな星座です)

(文:気象予報士・小説家 チャーリー/絵:吉田たつちか)

 

朝食定番メニューに豆乳

  私の好きな豆乳。台湾では「豆漿(ドージャン)」と言い「豆漿と焼きたてのパン」が朝食の定番メニューの一つらしい。豆漿専門店も多数あるという。友人と台湾に行くことになった私は、ぜひ豆漿専門店とやらで台湾の豆乳を味わいたいと思っていた。

 しかし台湾滞在初日、私は豆漿専門店に行く前に豆漿に出会った。ホテルに到着した頃には夜も更けていたが、好奇心抑えきれない友人と周辺散策のついでにコンビニに寄ってみた。すると豆乳飲料がかなりの数並んでいたのだった。日本人にも馴染みのある豆乳であるが、日本のスーパーに並んでいる数と比べて圧倒的に多い。無調性、調整、砂糖を加えたものなどがズラリ。それに加え、日本で手軽に変えるコンビニに置いてあるのはたいてい紀○の小さい豆乳だが、台湾では500ml、1000mlの豆乳が当たり前に置いてあった。私は興奮した。滞在中は毎晩豆漿を買った。

 日本に帰国後、私は以前にも増して豆乳好きになった。特に寒い夜あたためて飲む幸せは極上。ふわっと口の中に広がる大豆の優しい香りと、まろやかさといったら……。実は私が豆乳をあたためて飲むようになったのは台湾旅行後からである。台湾滞在最終日の朝、希望通り豆漿専門店に行きあたたかい豆乳を堪能した。その味が忘れられなかったのだ。今となっては、ホット豆乳なしで冬は越せない、とすら思っている……。

 豆乳は美味しいだけではない。栄養成分を調べてみると、実にバランスよくミネラル、ビタミン、タンパク質、が含まれている。鉄分や最近注目されてきた女性の強い味方のイソフラボンまで!私はもっと豆乳を飲もう、と思った。夜だけでなく台湾人を見習って朝食として「飲む」のも非常に良いことではないか。腹もちはよく忙しい朝も特別調理は不要。さらに栄養満点!さらに焼きたてのトーストがあれば言うことなしだ。忙しいあなた、朝は食欲が湧かないというあなた、試してみてはいかが?      

(文:コラムニスト 若松真美/絵:吉田たつちか)

 

<編集後記>

・先月の投稿総数=12本

・ブログ=http://blog.goo.ne.jp/tebra/

CATEGORY=おもしろコラム

 

 

 

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