おもしろコラム通信8月号 2011.0802 No.088

 

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夜空を彩る大輪の花

 夏の夜空を彩る大輪の花…と言えば、打ち上げ花火です。大小さまざまな色の丸い花火が次々に舞いあがります。最近では丸だけではなく、UFO形やハート形、子供に人気のキャラクターの形まであり、毎年多くの人が花火大会を楽しんでいます。

 花火を発明したのは中国です。六世紀頃、戦争の際に遠くにいる人へ情報を伝える為に用いられました。敵地に投げ込み危害を与える用途もあったようです。

 観賞用に変わったのは、十四世紀後半のイタリアのフィレンツェにて。王侯貴族が催す会などで華やかに火の粉を舞い上がらせました。その派手な音と豪快さは人目を引きつけたので、たちまちヨーロッパじゅうに広まり各国の祝典で使われるようになりました。

 その後、花火は日本にも伝来しました。十六世紀に鉄砲と共にやって来たのです。あの徳川家康が駿府城で、伊達正宗が米沢城で観賞したという文献が残っています。八代将軍徳川吉宗の時代には、飢饉や病気で沢山の人が亡くなりました。その慰霊と悪霊退散を願い、吉宗は隅田川で水神祭りを開催して花火を打ち上げました。これが隅田川の花火大会の起源と言われています。

 当時、幕府は隅田川でのみ花火を打ち上げることを許可していました。花火職人はきれいな花火を咲かせようと技術を競い合いました。そして江戸には『玉屋』と『鍵屋』という二大花火屋が誕生しました。川の上流では玉屋が花火を上げ、下流では鍵屋が花火を上げていました。しかし玉屋のほうが格別に美しかったようで、人々は玉屋が花火を上げるたびに「玉屋だ、玉屋、玉屋!」と歓喜の声も上げたのです。今でも花火が夜空にバンと広がると「た~まや~」と言ってしまうのは、そういった江戸の風習のなごりなのです。

 夏の風物詩である花火。いつの時代にも人々の心を掴み、感動させ、元気づける不思議な力を持っています。今年も豪華絢爛な打ち上げ花火が私達を励ましてくれることを期待します。

 (小説家 華山 姜純/絵:吉田あゆみ)

 

 

中暑~大暑までの養生法  

 中暑は、臨床症状により、次の3つのタイプがあり、それぞれ養生の仕方が違います。

1、暑熱邪盛=夏の炎天下で長時間労働し、体に熱がこもって熱中症の心配があるもの

・症状=発熱、顔赤、口渇、冷たい物が飲みたい、心煩(胸苦しい、息苦しい、動悸)息切れ、不眠

・対処法=酸味+甘味+しおから味を満たしたドリンクを速やかに服用します。例えば、梅干し+しょうゆ+黒砂糖少々+番茶、はちみつレモン水に少量の塩も入れるなど涼しいところに体を移して、首回りをぬれタオルや保冷剤で冷やしま★発熱とともに汗が出て止まらない、目がかすんでくる、手足が震える等は急を要する危険な状態です!ミネラルバランスが悪いと、このような発作が起こりやすいですので、この季節は”しほよもぎ”を補給して、熱中症対策してください。

スイカや瓜もお勧めの食材です。日頃から冷房の かけすぎと睡眠不足に気をつけることも大切です

2、暑湿侵入=冷たい物をとりすぎて胃腸を傷めるもの

・症状=微熱、体がだるく重い、倦怠感、食欲不振、悪心、嘔吐、下痢、軟便

・対処法=下痢や軟便の時は、タンポポ茶に梅干しと醤油を小さじ1加えて飲みます 。吐き気が強ければ、タンポポ茶に大根おろし、スプーン1の醤油、生姜汁を加えて飲みます。

★体に湿が有り余るとこのような症状が起きやすいです。穿山薯預や升降丹で、消化管を除湿しましょう。ハトムギ、緑豆、小豆、紫蘇、香りの強い香草もお勧めの食材です。

冷たい物と水分の一気のみを避けて、お腹をよく温めます。体を動かす方が治りやすいです。

3、気陰両虚=汗をかきすぎて体が疲れるもの

・ 症状=疲労倦怠感、痩せる、じっとしていても汗が出る、寝汗をかく、動悸、息切れ、胸苦しさ、声が出しづらい、しゃべる元気がない

・対処法=りんごとハチミツを煮詰めて、ビンにストックしておき、小さじ1杯をお湯に溶かして、豆乳を加えて飲みます。プルーンのハチミツワイン煮をプレーンヨーグルトにかけてもよいですね。

★ピリ辛のものや揚げ物は御法度です。心陰を補う生脈紅景天を補いましょう。更年期の方は、婦宝三膠や亀齢寿で体液と血液をしっかり補うことも大切です。山芋、豆腐、湯葉、うなぎ、あなごなどもお勧めです。足の裏の湧泉に温灸しましょう。

(薬剤師、薬食同源アドバイザー 高田理恵/絵:吉田あゆみ)

 

消毒法の確立とうがい薬

 医療ドラマなどで手術シーンを見ることがあるでしょう。医師らは大抵の場合、清潔な手術衣に身を包み、手先が汚染されないようにあの独特のポーズをとっています。看護師から医師に手渡されるメスなどの手術用具が完全に消毒されていることは、今や常識として誰もが知っています。しかし、消毒という概念が生まれたのは、実際にはたった二百年前のことなのです。

消毒法を確立したのはジョゼフ・リスターというイギリスの外科医でした。リスターは「手術後の傷の化膿の原因は細菌による汚染である」と考え、手術部位や手術用具をアルコールの一種であるフェノールで消毒することにしました。また、部下の医師に手の消毒や手袋の着用を命じたのもリスターの発案です。消毒の元に手術を受けた患者は化膿しにくく、なおかつ治癒も早いことをリスターは示しました。

同時代のイギリスではあのナイチンゲールが新鮮な空気や清潔な環境の重要性を説いていましたが、当時の医学界では手術後の化膿は回復の過程だと考えられていました。患者を殺したのが医師の手(に付着した細菌)という説は他の医師にとっては受け入れがたく、リスター自身も外科の大家に散々にこき下ろされると言う有様だったのです。リスターの功績は時と共に後日ようやく認められたといいます。

その名声は国王が虫垂炎の手術にあたりリスターを指名するほどでした。ジョゼフはその手術の成功により男爵位を受けます。実はうがい薬のリステリンも、リスターを記念しての商標であることをご存知でしょうか。実際にはリスター自身がこれらには一切関わっていないとはいえ、リスターが現在でもたくさんの人の命を救っている名医であることは疑いのない事実でしょう。

(現役医大生 朽木誠一郎/絵:吉田あゆみ)

 

 

ミョウガの効用

 連日うだるような暑さが続いていますね。これだけ酷暑が続くと夏バテに陥ってしまったという方も多いのではないでしょうか。そこで、今回は、夏バテ防止食材のミョウガについて紹介いたします。

ミョウガは、ショウガ科ショウガ属に属していて、ショウガとはとても近い関係にあります。名前の由来は、大陸からショウガとともに持ち込まれた際、香りの強いほうを「兄香(せのか)」、弱いほうを「妹香(めのか)」と呼んだことから、これがのちにショウガ・ミョウガに転訛したという説が有力視されています。

ミョウガは特筆するほどの栄養成分はありませんが、香り成分のαピネン類には食欲や消化促進する働き、覚醒作用、解熱、解毒などの効果があるとされています。

俗に、ミョウガを食べると物忘れがひどくなるなどといわれていますが、むしろ、脳が活性化され、記憶力や集中力を高める効果があったという結果も報告されています。

ショウガを用いた料理のレパートリーが広いのに対し、ミョウガはそばや素麺の薬味などに用途が限られています。これは、ショウガの香り成分が熱をかけても揮発し難いのに対し、ミョウガの香り成分は、揮発し易いため、加熱を伴う料理では大切な香り成分が失われてしまうからです。しかし、この特徴は、冷奴や素麺などの冷たい料理が好まれるこの時期には余りマイナスになることはありません。

夏バテで食欲を失ったという方は、是非、料理の薬味にミョウガを使ってみてはいかがでしょうか。

(医学博士 食品保健指導士 中本屋 幸永/絵:吉田あゆみ)

 

 

九州とんこつ物語

 博多・・・と言えば、どうしても「ラーメン」と思い浮かべる方も多いとは思いますが、実は私が初めて店でラーメンを食べたのは昭和50年頃、中学生の時の話で、それまでは店で食べてたのはコシがないことで知られる博多の「うどん」でした。

(ちなみに、博多はうどん発祥の地でもあります。もっとも、最初、手打ちうどんを食べたときには心底、「美味い!」と思いましたけどね(笑)。)

最近では、街中、すっかりラーメン屋ばかりになり、うどん屋は探さないといけないくらいに影が薄くなった観がある博多の街角風景ですが、では、その博多ラーメンはどこから来たか・・・と言えば、久留米ラーメンからの流れである・・・ということを唱える人がいます。

ところが、実際には博多ラーメンの代名詞でもある「長浜ラーメン」の創業者というのは名古屋の方だそうで、戦後、台湾に引き上げていく中国人の友人からトンコツラーメンの製法を習ったという話を聞きました。(博多に来て、長浜の魚市場の前で屋台を出したところ、あの濃い味が市場の労働者の口にあったのだそうで、忙しく働く彼らにはお替りをする余裕が無いから、替え玉というのが出来たのだとか。)

ということで、どうやら、久留米ラーメン分派説は違うようですが、ただ、長浜にラーメンが出来たのは戦後のことですから、戦前からあると言われる久留米ラーメンが先なのは間違いないようです。

では、久留米ラーメンがとんこつラーメンの元祖かと言えば、こちらもどうやら、そうでも無いようで、とんこつ風味の長崎のちゃんぽんは戦前とか戦後とかそういうレベルではなく、100年くらい前からあるそうですから、日本のとんこつ元祖と言えばこちらなのでしょう。

つまり、長崎ちゃんぽん、久留米ラーメン、長浜ラーメンの順なのでしょうが、それぞれ、別個に派生したというところが面白い現象だと思います。

その意味では、生まれるべくして生まれた味だと言えるのかもしれませんね。

ちなみに、博多ではラーメンを扱っている定食屋に入ると、普通にちゃんぽんも扱っていますから、私は日本中、ラーメンとちゃんぽんは普通にどこにでもあるもんだとばかり思っていました。

もっとも、長崎にはとんこつ風味のちゃんぽんと海鮮風味のちゃんぽんがありますけどね。

ついでに言うと、長崎の人に、「どこのちゃんぽんが一番美味い?」と聞くと、「リンガーハット」と答えるというのも事実ですが・・・(笑)。

(小説家 池田平太郎/絵:吉田あゆみ)

 

<編集後記>

・先月の投稿総数=19本

・ブログ=http://blog.goo.ne.jp/tebra/

CATEGORY=おもしろコラム

 

 

<読後通信簿

*今月から担当イラストレーターが吉田たつちか先生から吉田あゆみ先生に代わりました。吉田あゆみ先生は吉田たつちか先生のお嬢様で、長い間吉田たつちか先生のアシスタントを務めていましたが、このほどプロデビューしました。吉田たつちか先生ご夫婦の才能を受け継いだ新進気鋭のイラストレーターです。4つのタッチを自由に使い分ける吉田たつちか先生の境地には及びませんが、女性ならではのほのぼの感が魅力です。

 

*今月採用された方(上記挿絵入りのコラム)には掲載ニュースレターと稿料として5千円分のクオカードを8月15日に発送しますのでお受け取りください。

*投稿いただいたコラムが,編集部の都合により、後日採用になる場合があります。この場合の稿料は採用月に支払われます。

月号の原稿締め切りは8月15日です。

*特に季節を織り込んだコラムについては、翌月を想定して投稿ください。

*新聞タイプ(楽しい暮らし8月号はこちらから閲覧ください。

*電子ブック(8月)はこちらからご覧ください。

 

★個人情報保護の見地から、コラムニスト紹介のページはHPから削除しました。

 

 

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