おもしろコラム通信3月号 2012.3.01 No.095

 

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過ぎたるは及ばざるが如し

 

 「過ぎたるは及ばざるが如し」という格言がありますが、健康食品もまさにこの格言どおり、過ぎると毒になることがあります。健康食品を摂取する上で是非気をつけていただきだい過剰摂取の問題について取り上げてみたいと思います。

 医薬品を過剰摂取すると毒になるというのは容易に想像がつくと思いますが、通常の食品でさえ過剰に摂取すると毒になることがあります。例えば、お酒の飲みすぎによるアルコール性肝障害、塩分の過剰摂取による高血圧や胃がん、糖分や脂肪分の取りすぎによる糖尿病や動脈硬化など、言われてみればなるほどと思っていただけることも多いのではないでしょうか。

 全ての食品は薬になることもあれば、量の多寡によっては毒にもなるので注意が必要です。ただし医薬品と食品を比べると薬から毒に変わるまでの量、いわば安全域の広さが圧倒的に違います。医薬品と食品の中間に位置する健康食品は、この安全域の広さも中間に位置していると考えられます。医薬品ほど毒性は出にくいですが一般の食品よりも過剰摂取の害は出やすくなっています。

 健康食品の中で、各種のビタミンやミネラル類は「サプリメント」などと呼ばれて利用されていますが、それらは濃縮や精製が行われることが多く少量でも有用性を発揮しますが、その分過剰摂取に陥る可能性も高くなっています。

 サプリメントの中でも特に注意を要するのは脂溶性のビタミン類です。脂溶性とは、水よりも油に溶け易いということです。具体的には、ビタミンA、D、E、Kが脂溶性ビタミンです。脂溶性のビタミンは、肝臓など体内に蓄積され易く過剰症になりやすいのです。

 一方、油よりも水に溶けやすいのが、水溶性ビタミンのB1、B2、ナイアシン、B6、葉酸、B12、パントテン酸、ビオチン(以上はB群と総称される)とビタミンCです。これらは尿として排泄され易いので脂溶性のビタミンほどは過剰症になり難いといわれています。

 脂溶性ビタミンの過剰症には、以下のようなものがあります。

1)ビタミンA過剰症=食欲不振、皮膚落屑、脱毛、皮膚乾燥、骨・関節痛、肝脾腫、皮膚色素沈着、脳圧亢進など。また、妊娠初期の過剰摂取は奇形児出産のリスクを高めます。

2)ビタミンD過剰症=筋緊張低下、吐き気、食欲不振易刺激性、腹痛、脱水、便秘、下痢、多飲・多尿、かゆみ、腎石灰化症、異所性石灰化、腎不全、尿路結石、高血圧症の悪化など。

3)ビタミンE過剰症=脂溶性のビタミンの中では、比較的過剰症を起こし難いといわれていますが、出血の危険性を高めたり、筋力低下、疲労、吐き気、下痢を起こすことがあります。

4)ビタミンK過剰症=ビタミンKも比較的過剰症を起こし難いのですが、貧血、血圧低下、吐き気、呼吸困難発疹、胃腸障害などを起こすことがあります。

また、水溶性ビタミンであっても、過剰症が全くないということではありません。ナイアシンと葉酸は水溶性ビタミンの中でも比較的過剰症になりやすいといわれていますので、注意したほうがよいでしょう。いずれにせよ商品に記載されている目安量を守ることが重要です。

病気の方や何か気になる症状をお持ちの方は、藁(ワラ)にもすがる思いで、あるいは早くよくなりたい一心で、つい多めに摂取するという傾向があるようです。ビタミンだけを例に取り上げましたが、どのような食品でも過剰に摂取すると健康危害が発生する可能性があるということを知っておいて欲しいと思います。是非、「過ぎたるは及ばざるが如し」ということを肝に銘じて、健康食品をご利用の際には、各商品の目安量を確認し安易に多めに摂取するようなことは避けていただきたいと思います。

(医学博士 食品保健指導士 中本屋 幸永)

 

 

季節野菜の効用

 

 皆さんは、季節のお野菜を食べていますか?

同じ食物でも、季節によってその効用が変化するのはとても面白いです。

例えばネギを例にあげてみますと・・・。

一般的に、ネギといえば辛温解表類に属し、体を温めて発汗を促し、風邪を追い出したり、肺を強める働きを持ちます。

この辛温解表成分が最も多いのは、晩秋~冬にかけてのネギです。

この時期の白ネギの部分は、特に辛味が強く、風寒の邪を散じて解表し、体内では陽気を通じるので、腹痛や下痢にも有用とされます。

寒の内のネギは、霜や雪に当たり、甘味がとても増しますね。

すき焼きに最も適したネギは大寒の入り前後です。

甘味により、脾胃を補い、冬を乗り切る体力をつけてくれるのです。

立春を過ぎると、次第にネギは苦味を増してゆきます。

春先は、花粉症や扁桃炎、インフルエンザ等、体の上半身に熱が籠もることによる病気が増えるので、苦味のもので清熱する必要があります。

春にふきのとう、菜の花などの苦味野菜が増えてくるのも、このような理にかなった自然の働きなのですね。

皆さんもハウスものの野菜ではなく、季節の露地物野菜を召し上がって、体調を整えてくださいね。

(薬剤師、薬食同源アドバイザー 高田理恵)

     

             

 

 

 

 

 

1万円出しても惜しくない握り飯

 

 先日、拙宅の夕食のおかずに、鶏肉に卵と野菜を炒めた物が並んでいたところ、少し余ったので、家内がガキどもに、「ご飯にこれを掛けて、親子丼にしてあげようか?」と言っていました。その翌夕、家内がガキが書いた小作文に目を通しながら、子供に、「あんた、いつ、ウナギ丼など食べたとね?」と言っている・・・。

「もしかして、親子丼じゃないの?」・・・と。

後で、そのプリントを見てみたら、うちのガキは、「昨日は、うなぎどんを食べたよ。せんせいは、なにをたべた?」などと書いてある・・・。

先生も、「うなぎ丼なんて食べたの?いいなー」などと返事がありました・・・。

何だか、うちが、毎夕、そんな豪華な物ばかり食べているような誤解を与えたような・・・(汗)。

「お前が食べたのは、親子丼だ!」と・・・(笑)。

 島田洋七の「佐賀のがばいばあちゃん」の中で、洋七のばあちゃんが、「別に、値段が高い物が美味いわけではない。品数が少ないから値段が高いだけだ」と言っていたのを聞いて、ある意味、「ほー!」っと思いました。

 これって、立派なインフレーションの原理でしょうし、確かに、言われてみれば、その通りなんですが、それを普通に田舎の老婆が理解していた・・・ということに新鮮に驚きましたよ。

 よくあるのが、「昨日5万円もするステーキを食ったんだぜ!」などというやつ・・・。

5万円と聞いただけで、何だか、もの凄く有り難い気がするのですが、でも、その5万円の中には、場所代も、運送代も入っての5万円なわけなのですから、それが、そのまま、美味さの等価ではないはずなんですよね・・・。(第一、人によっても、美味いまずいは違うわけで・・・。私に言わせれば、あんなに美味い「雑煮」ってやつを嫌いなやつなんて居るはずがない!と思っていたところ・・・、すぐに居ました(笑)。

 そう言えば、名古屋人である織田信長の味覚は、かなり、濃い味で、京都の貴族たちが食べる高級な食い物というのは、「どえりゃあ、まずうてかんわ」だったようです(笑)。)

ただ、普通、多くの人が美味いと思うから、皆が欲しがる。→皆が欲しがるから、品数が少なくなる。→品数が少なくなるから、値段が高くなる・・・ってことなのでしょうが、でも、皆、その理屈を疑おうともせず、盲信しているキライがありますよね。

しかし、確かに言われてみれば、高い物が必ずしも美味いとは限らないんですよ。

以前、テレビで、東京銀座の一流寿司店の特集で、その店の店主は、直接、産地の漁場に買い付けに行ったときの映像がありました。

その店主は、市場に行くだけではなく、自ら漁に同行し、船の上で、釣れた魚をその場で捌いて、味見をしていました。

で、一言、「釣ったその場で食べる、漁師飯というのが一番美味い。これに敵う物はない」と。

そして、続けて、「どうしても、東京に、持って行く間に鮮度が落ちてしまう。あとは、如何に、その鮮度を落とさないように調理するかが、料理人の腕」というような意味の事を言ってました。

鮮度をできるだけ落とさないで調理する技術という意味では、確かに、東京や大阪などの一流店には、そういう人材が揃っているのでしょうから、その意味では、高額な食い物というのは、「産地まで行かなくても食べられる」という利点にお金を払っているとも言えるでしょう。

であれば、逆に言えば、「産地まで行って食べられる人」、もっと言えば、「産地に住んでる人」にとっては、必ずしも、この理屈は通らないわけですから、必ずしも、「高額な物が美味い」というわけでもないと・・・。

私が敬愛する大橋武夫という人がこういうことを言ってました。

「私はひとつの握り飯に1万円出しても惜しくないと思ったことがある。それは、糖尿病になって、食事制限されたときだ」と。

結局、これが、「食」という物に対する人間の本来のあり方なんでしょうね。

(小説家 池田平太郎)

 

 

女の子のお祭り

 

 三月三日は雛祭り。女の子のお祭りです。雛人形を飾ったり菜の花や桃の花を飾って祝います。別名「桃の節句」とも言われる由縁は、桃がこの時期に咲く花であり、又、昔は桃が邪気を払うと信じられていたので女児の成長を願ってそう名付けられました。

 雛祭りがいつから行なわれていたのか、はっきりとは解っていませんが、平安時代に「流し雛」という風習がありました。医者や薬の少なかったその時代、子供の死亡率は高いものでした。人々は紙で人形を作り、それを川に流して厄を追い払ったのです。人形に災いを持ち去ってもらい、健康でいられるようにと祈りました。現在でもその風習は引き継がれ日本各地で流し雛は行なわれています。

 今日見られるような雛人形が飾られるようになったのは江戸時代から。人形は平安時代の貴族を表しています。初期の頃の雛人形はお雛様とお内裏様が立った姿の立雛でした。その後、お雛様は十二単を着るようになり、背後に金屏風が置かれました。江戸時代後期には女官である三人官女と笛や太鼓などを持つ五人ばやしも飾られるようになり、更に左大臣や右大臣も加わると、雛段の数も増えてにぎやかになりました。下段に家具などの小物も飾られ、子供達は平安時代の貴族の暮らしを頭の中で想像し、いろいろと人形を動かして楽しんだことでしょう。

 しかし、あまりにも豪華で大きな雛人形を飾ることが流行ってしまい、質素倹約が要求された享保の時代には大型の雛人形が禁止されてしまいました。その当時、大きな物では等身大のお雛様もあったとか。夜中に見たらゾッとしそうですね。

 さて、今では雛人形と共に雛祭りの定番となっているのが雛あられ。このお菓子は関東と関西では味も形も違うのをご存知でしたでしょうか。関東の雛あられは、米粒のようで砂糖で味付けされた甘いお菓子です。それに対し、関西の雛あられは直径一センチ程の丸い粒で、醤油や塩で味付けされているので甘くないのです。

 お住まいの地域では、どちらの雛あられを食べてらっしゃいますか? 両方食べてみたくなっちゃいますね。

(小説家 華山 姜純)

 

 

 

 

 

 

スコットランド式シャワー

 

 暦の上では春を迎え、明るいイメージのある3月。しかし実際は季節の変わり目で、移り変わりの激しい天候同様に気分も体調も不安定になりがちです。また、別れの季節でもあるため、なんとなく憂鬱さを感じる人も多いのでは?心身の活力を高めるには、時間をかけずに家庭で簡単にできるハイドロセラピーがお勧めです。

 ハイドロセラピーとは水を使って病気や痛みをケアすることで、広義では温泉や半身浴なども含まれます。日本の場合は特に熱い湯につかって体の疲れをとることが重視されていますが、気分の浮き沈みが激しく調子が出ない場合には、湯と冷水を交互に使うスコットランド式シャワーがいいでしょう。

 ぬるめの水から水温を40℃まで徐々に上げて、シャワーヘッドで円を描くように全身をシャワーした後、また徐々に水温を20℃程度まで下げて同様に全身に水を浴びます。15分間にこの行程を2~3回繰り返すと、温水で拡張した血管が冷水によって収縮し、血液の流れが活性化して全身に活力が湧いてきます。

 また、温水だけでシャワーを浴びると、血液が身体の表面を向かって流れて熱を放出しようとするので、実はその後に体がすぐに冷えてしまいます。しかし、最後に冷水を浴びると血液が内臓などの器官に移動して、体の内側に熱を温存することができます。冷え性やむくみが改善されて体が軽くなれば自然と心も明るくなるはず。そして冷たい水により脳や身体が刺激されて覚醒し、行動するパワーも漲ります。

北欧フィンランドなど寒い地域に暮らす人たちが、サウナの後に冷たい湖に飛び込むのも同じ原理から。熱気の後に冷たい水で身も心も引き締め、厳しい気候に負けずに丈夫な身体をキープして活動的に暮らすためにできた習慣なのです。

架空の人物ですが、ジェームズ・ボンドもこのスコットランド式シャワーを実践していたという記述があります。国際的スパイは常に頭をフル回転させてエネルギッシュに行動しなきゃいけませんから、このシャワー方法が適していたのでしょう。

(コラムニスト ベルギー在住 びねくにこ)

 

 

 

 

 

 

 

 

<編集後記>

・先月の投稿総数=19本

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4月号の原稿締め切りは3月12日です。

*特に季節を織り込んだコラムについては、翌月を想定して投稿ください。

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