おもしろコラム通信6月号 2012.6.01 No.098

 

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相互作用の可能性に注意

 

 俗にウナギと梅干しは食べ合わせが悪いなどと言われますが、食品同士の食べ合わせは迷信であることが多いようです。しかし、医薬品同士では、「相互作用」と呼ばれる互いの作用を強化したり、減弱する場合があることが知られており、注意が必要です。そして、この相互作用は、医薬品と食品の間でも起こることがあります。有名なものをいくつか挙げてみます。

 

1)納豆、青汁、クロレラなどと抗凝固剤(ワルファリンカリウム:商品名ワーファリン等)

納豆、青汁、クロレラなどはいずれもビタミンKを多く含む食品です。ビタミンKは止血に関わるビタミンです。一方、ワルファリンカリウムなどの抗凝固剤は心臓手術などの後で血液が固まりやすくなって血栓ができるのを防ぐための薬です。これらの薬は、体内でビタミンKの働きを阻害することによって、血液が固まるのを防いでいます。したがって、これらのお薬を飲用している方が、ビタミンKを多く含む食品を摂取すると薬の効果が弱くなる恐れがあるので、それらの食品は避けるべきとされています。

 

2)グレープフルーツジュースと高血圧薬(ニフェジピン:商品名アダラート等)

グレープフルーツジュースに含まれる成分にはニフェジピンの分解を抑制する働きがあります。薬の分解が抑制されると結果的に薬の効果が強く出過ぎることになります。薬の効果が強化され血圧が下がり過ぎますと、立ちくらみや、ひどい場合には失神するなどの症状を起こし、危険な状態になる可能性があります。

 

3)マグロ、カツオなどの赤身の魚と結核薬(イソニアジド:商品名イスコチン等)

イソニアジドという結核の薬はヒスタミンの分解を抑制します。マグロ、カツオなどの赤身の魚にはヒスタミンやヒスタミンの基になるヒスチジンが多く含まれるので、イソニアジドを服用している方がヒスタミンの多いこれらの魚を食べたときに、ヒスタミンの作用が強く発揮され、顔が赤くなったり、頭痛や発熱、気持ち悪くなったりするなどの症状が出ることがあります。

 

4)牛乳と真菌症治療薬(グリセオフルビン:商品名グセルビンFP等)

難溶性薬剤であるグリセオフルビンは牛乳によって溶解性が増加し、この薬剤の吸収率がよくなります。本来吸収される量よりも吸収され過ぎると薬の作用が過剰に現れ、頭痛・嘔吐・下痢などの副作用を起こすことがあります。

 

これらの他にも飲み合わせのよくない医薬品と食品の組み合わせが多数知られていますが、通常、医師または薬剤師から服薬上の注意がなされます。健康食品の中には、効率よく食品由来の特定成分を摂取できるように精製あるいは濃縮されたようなものもありますので医薬品との相互作用も強く出る可能性があります。何か健康食品をお召しがりの方は、念のために医薬品との相互作用の可能性はないか医師または薬剤師に相談することをお勧めします。

(医学博士 食品保健指導士 中本屋幸永/絵:吉田たつちか)

 

 

割り箸にみる穢れの思想

 

 「割り箸」は、日本独特といってもいい食文化の一つです。

最近になってこそエコブームとかで、大衆食堂などで割り箸ではなく塗り箸を出す店が多くなりましたが、いまでも日本料理店にいくと割り箸が基本です。

 日本人には、箸や茶碗を神聖視する宗教心が潜在的にあるらしく、割り箸のような過去だれも使ったことのない食器を“清いもの”と感じる心があるようなのです。

 そして一度使用した箸には霊が宿ると感じ、その箸を誰かが使ったり、そのまま捨てて動物のおもちゃになどならぬように折ってしまうという習慣もあります。

 みなさんの中にも、お弁当の割り箸をなんとなく折る人もいることでしょう。なぜと言われても困ると思うのですが、日本人に古くから伝わる箸への信仰心の名残りなのです。

箸信仰は日本の全国にあり、ストーリーは次のようなものです。

 旅人が峠を越える前に食事をした。当時、箸はその場にあった木の枝などを削って作るため、食事が終わると捨ててしまうものだが、一度使った箸は霊が宿るためそのままにしておくと禍(わざわい)が自分に来るかも知れないと考え、神に納めて禍を防いでもらおうと考えた。

 あるいは山で削って作った箸は魂が宿るので、そのまま捨てると後で動物たちがその箸で遊んだりしたら自分に禍がやってくるおそれがあるため、遊べないように折って捨てた。

 などという話しがあります。他にも割り箸を使用後に折るのは自分の霊が宿った箸をそのままにしておくと他人に使われたとき自分の魂が穢(けが)れることをおそれての行為と思われます。

 箸と同様に自分の口をつける茶碗なども家族でそれぞれ自分用のものがあるのですが、これも同様の理由で他人が口をつけると穢れるという隠れた信仰心から出たものなのでしょう。

 日本人は無宗教と思われがちですが、こんなところに宗教心があるとは、ほとんど気が付いていないのでしょうね。(笑)

 割り箸は江戸時代後期に出てきたものですが、まだ誰も使っていない清潔な箸を、使い捨てにするというものが、日本人の“穢れ”の信仰心と合致して広まっていったのでしょう。

(食文化研究家 巨椋修<おぐらおさむ>/絵:吉田たつちか)

 

 

「孫子と人民の狂騒は一ヶ月で終わる」は不朽の理と見つけたり

 

 かつて、大分県の平松守彦氏が県知事に就任ししたときに、助役か誰かに、「大分は海と山しかない、何もないところですから・・・。」と言われ、「それは違う。大分には海と山があるんだ。」と言ったといいます。

平松元知事は、この後、全国的に広まる「町おこし」の元祖となる「一村一品運動」などに代表されるように、この言葉の通り、大分県の存在感を向上させるのに大いに腕を振るわれたとか。

 その関係があるかどうかわかりませんが、私は「日本で一番、食い物が美味い」のは、博多でも札幌でも東京でも大阪でもなく「大分」だと思っております。海の幸、山の幸・・・。本当に絶品ですよ。)

 その意味で、よく、「うちは何もない田舎だから。」と言われる方がいらっしゃいますが、こういうのは得てして、中にいる人間よりは、外から来た人間の方が価値がわかる事が多いようで、私がよく言うのは、自分たちの街から、半径何km、何十km、何百kmといった具合に円を描いてみて、まず、その円の中に何があるかを把握し、その後に、内側をもっと掘り下げるか、外から持ってくるなどの方策を検討する必要があるのではないかと。

 これとは少し違うかもしれませんが、かつて、「田中角栄さんは、新潟を中心とする環日本海経済圏構想を残した。それに対し竹下 登さんは、島根に公共工事しか残さなかった・・・。」という話を聞いたことがあります。

 これなども、確かに、東京から見れば、辺境の新潟も、環日本海という視点では、まさしく、中心に位置するわけです。福岡市は日本地図で見れば辺境でしょうが、視点を東アジアに置けば、1,000kmで東京、上海、ソウル、平壌、1,500kmで台北、北京と、5つの首都と4つの一千万都市が円内に入るという・・・。 でも、こういった、「己を知らない」ことは、何も地方に限ったことではなく、大都市でも往々にして見られることです。

一例を挙げるなら、東京でも、地元の人が、はとバスに乗って、初めて、そういう物が有ることを知る・・・ということも聞きます。

 現に、私も行きましたが、吉田松陰、橋本左内が斬られ、解体新書が書かれ、2.26事件の時の青年将校とねずみ小僧 次郞吉が

一緒に眠る南千住の回向院は、殆どの観光ガイドには出ておらずやっとみつけた紹介記事では、ゲテモノ扱いに近い、怪奇スポット扱いでしたよ。

 東京はあらゆる意味で観光で飯を食っていないですから、こういう物の価値がまるでわからないのでしょうね・・・。

萩や京都にあったら、今頃は、一大観光名所ですよ。

(小説家 池田平太郎/絵:吉田たつちか)

     

 

 

意外に知られていない低体温の症状

 

 低体温になると、以下のようないろいろな症状が現れます。

1,あまり食べていなくても太りやすい

 低体温になると、全身の代謝力が低下します。体温が1度下がると基礎代謝量は12%も低下するため、一日に200~500キロカロリーのエネルギー消費が低下することになり、同じカロリーを摂取しても1ヶ月で体重が1~2㎏増加する計算になります。水を飲んでも太る、体がむくみやすいなどの症状は、体が冷えて代謝力が低下しているために起こります。

 このように、体に余分な水気が増えると、水は冷やす性質があり内臓を冷やしますので、発ガンの格好のチャンスを作ることになります。

2,疲れがとれない

 摂った食物を血肉に変えて体は毎日生まれ変わっていますが、このときに代謝産物として老廃物が生まれます。この老廃物や、体にとって有害な物は解毒されて排泄されてゆきます。

 この一連の反応は、酵素反応と腸内細菌の働きによってとりおこなわれていますが、体温が1度低下しただけで、体内の酵素の働きは半分近くになってしまうと言われています。これは何を意味するかというと、体が新しく生まれ変わる力が低下する・・・ということです。

 有害な毒素や老廃物が体に残れば当然、疲れがとれず体はだるくなりますし、皮膚や筋肉、骨なども萎えて元気を失います。

3,抵抗力が落ちる

 すぐに風邪をひく、風邪をひいたらなかなか治らない、傷などがなおりにくい体温が低いと、免疫細胞の活性も低下して、治癒力が低下します。

(薬剤師、薬食同源アドバイザー 高田理恵/絵:吉田たつちか)

 

 

6月のこよみ

 

 6月1日は気象記念日です! 1875(明治8)年のこの日、日本で初めて国の機関が、気象や地震の観測を始めたことにちなんでいるそうです。

 6月の二十四節気には芒種(ぼうしゅ)と夏至(げし)とがあります。芒種は、読んで字のごとく、「そろそろ種をまく時期ですよー」という意味。今年は5日から芒種の時期に入ります。これをさらに細かく分けた七十二候の初候は、「蟷螂生 かまきりしょうずカマキリが生まれる」、次候「腐草為蛍 かれたくさがほたるとなる 腐った草が蛍になる」、末候「梅子黄 うめのみきなり 梅の実が黄色くなる(熟す)」となります。

 夏至は結構おなじみなんじゃないでしょうか? 一年のうちで、北半球では一番昼間の時間が長くなる日です。北極圏ではこの時期1日24時間太陽が沈まない「白夜(びゃくや)」が続きます。南半球では逆、ということになります。今年は21日から夏至になるのですが、雑節の「入梅(にゅうばい)」が10日になるので、もしかしたら夏至の日にはお日さまは見えないかもしれません。日本の夏至の時期は大体梅雨に当たるので、ほとんどの年は曇りや雨の日が多いようです。

 夏至の七十二候は、初候「乃東枯なつくさかるる夏草が枯れる」次候「菖蒲華 あやめのはなさく あやめの花が咲く」、末候「半夏生 はんげしょうず ハンゲ(別名「カラスビシャク」)が生える」。

 この「半夏生(はんげしょう)」(夏の季語)は、雑節にも取り上げられています。この「ハンゲ」というのは植物で、強い毒を持っているそうです。この時期はそれの根が生えるころ。理由はわかりませんが、このころにその年の農作物がよくできるかどうかを、昔の人は占ったりした重要な日だったそうです。今年は7月1日が

それにあたります。

 夏至の次候に「あやめ」と出てきますよね。私はあやめと菖蒲とかきつばた(全て夏の季語)の区別がよくわからない不届き者です。でも昔から、「いずれがあやめかかきつばた」と、美人のたとえにも使われてきたように、凛(りん)としていながらしなやかな姿は大好きです。

 いよいよ暦に梅雨のことばが出てくる時期になりましたね。雨は降らなくてはならないのです。それでも。今年はひどい災害が起きませんように。

(気象予報士 チャーリー/絵:吉田たつちか)

 

 

<編集後記>

・先月の投稿総数=12本

・ブログ=http://blog.goo.ne.jp/tebra/

CATEGORY=おもしろコラム

 

 

 

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*5月号の原稿締め切りは6月12日です。

*特に季節を織り込んだコラムについては、翌月を想定して投稿ください。

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