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養殖は世界を救う!

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2014-02-1この前、テレビでいろいろな養殖を特集してたんですよ。その中で、魚の養殖業を営んでいるオジサンがおもしろいことを言っておりました。
「松坂牛も神戸牛も、薩摩の黒ブタも、言ってみればみんな養殖じゃないですか! 魚介類だって、そのうち養殖のほうがブランドになりますよ」
したり名言!!
確かに、野牛よりも人間が食用に育てた牛のほうがウマイに違いありません。
ところが、日本では魚に限り養殖より天然のほうが美味しいと言われていて、一種の”天然もの信仰”があります。ところが養殖の技術が進み、いまでは天然ものと養殖とでは、味に差がないどころかむしろ養殖の方が美味しいさえ言われています。
先日も近畿大学がマグロの完全養殖に成功したというニュースがありました。いま日本人が好むマグロは脂の乗った大トロ・中トロ。ところが天然もののマグロでは、大トロや中トロが取れる部位は20%程度と少ないのですが、養殖だと40%が中トロ。30%が大トロ。残りが赤身と、高級な部位が多く含まれています。
また、いま天然マグロは水銀の含有量が多いため、妊婦さんは食べるのに注意が必要とされています。これは天然マグロが餌にしている小魚を大量に食べるためですが、養殖の場合、天然マグロほどの運動をしないため、それほど多くの小魚を食べる必要がありません。
またマグロは長く生きれば生きるほど、体内に水銀を溜め込むことになるのですが、養殖の場合、大型化する前に出荷するため、水銀はあまり溜め込みません。
さらに水銀は赤身といわれる筋肉部分に多く溜まるのですが、前述したように、養殖マグロは体のほとんどが大トロ中トロですから、これもまた水銀が溜まりにくい理由となっています。
つまり、養殖マグロは美味しい上に安全。
さらに安定して供給されるために安価。
これはマグロに限らず養殖マダイ、養殖ハマチなどにも当てはまります。
考えて見れば、お米や野菜、果物も、野生種よりも品種改良したもののほうが美味しく安価なのは道理。
ウシやブタ、ニワトリなども野生より畜産されたものの方が美味しくて安価。
後は農薬とか餌に注意をすれば、食の安心安全に食べられます。
それに、近代になって急激に膨れ上がった世界人口の生命を維持するためには、農業や畜産、養殖の技術を上げなくては、いま以上の大量飢餓が人類に襲い掛かってきます。まさに「養殖は世界を救う!」ですね。
いまやマグロ類は乱獲の結果、マグロ類8種のうち3種が絶滅の危機にあるか、ほとんど絶滅状態だそうで、自然保護のためにも養殖は必要。これはニホンウナギもそうで、ウナギもいつ絶滅してもおかしくない状態なのです。ウナギを絶滅から救うためには、世界の人たちがウナギを食べるのをやめるか、養殖の技術を高めて安価で安定供給するしかないというわけ。
幸いウナギの完全養殖に成功しており、後は実用化の開発が待たれます。
思えば現代人だって、いわば養殖されているようなもの。
人間だって、とかアフリカとかで野生に近い状態で住んでいる人より、先進国に住んでいる人の方が長生きだし、医療や教育も発達しているから健康で長生きしています。
ただしわたしに関しては野生! いえ! 野生というより野獣! 野獣と書いて「ノケモノ」と読む! なんか泣けてきました。とほほ……
(食文化研究家 巨椋修/絵:そねたあゆみ)2014-02

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