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川中島の決戦を動かした霧

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2008.02-3武田信玄と上杉謙信が幾度にもわたって死闘を繰り広げた川中島。その中で、霧が、「動かざること山の ごとし」と言われた武田信玄を動かしたいくさがある そうですが、さて、霧とは一体なんでしょう?
「霧」と似たものに「靄(もや)」があります。その 違いを気象庁では、「1km未満のものが見えなくなる (=視程1km未満になる)現象を「霧」、それ以上な らば「靄」と定義しています。  一般的に霧は、その発生する要因によって6種類に分けて考えられています。
まずは「放射霧」。「放射冷却」といって、風のない夜間から明け方にかけて、地表の熱が放射していく ことにより、地表の気温が下がって発生するものです。
次に「移流霧」。これは、温度の低い地面や海面 に、暖かく湿った空気が流れ込んでできるものです。普通、「海霧」と呼んでいるものはこれに当たります。
そして「蒸気霧」。これは「移流霧」の逆です。暖かい水面に冷たい空気が流れ込んだときに、水面から水蒸気が蒸発し霧になるものです。「川霧」がこれにあたり、川中島の決戦を動かした霧も、これではないかと思われます。
さらに「前線霧」。特に温暖前線にともなって発生するものをいいます。温暖前線付近では上層には暖気、下層には寒気があります。それらが前線面で蒸発や凝結を繰り返し、霧を発生させるのです。
そして、前線とまではいかなくても、気温の異なる湿った空気のかたまりがぶつかり合うときにも霧は発生し、それを「混合霧」と呼びます。  最後に、「滑昇(上昇)霧」。湿った空気が山の斜面や温暖前線面をはい上がるときに発生するもので、 「山霧」がこれにあたります。
(気象予報士 チャーリー/絵:吉田たつちか)
2008.02

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