おもしろコラム通信2月号 2013.02.01 No.106

 

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うどんを食べると凶暴になる!?

 

 粉食の歴史は古く、小麦の栽培はいまから1万年前に中央アジアではじまったとされ、紀元前7千年のメソポタミアでは遺跡から、石臼が発見されていることを見れば、小麦など穀物をすり潰して粉にし、せんべいのように焼いたり、団子にして食べていたようです。

 やはり中国でも紀元前7000年あたりに小麦の栽培が始まっていたようです。中国で小麦が本格的に栽培されるようになったのは漢の時代(紀元前206年~220年)のときであったと言われています。

 そして、どうもこの時代に麺というものが誕生したらしいのです。麺とは穀物を粉にしたものを、水に溶いて伸ばすなり、切って細長くしたもの。うどん、ソバ、スパゲティなどなどのことを差しますが、この中国で生まれた麺が日本にやってきてうどんやソバになり、シルクロードを通ってイタリアのスパゲティになったと言われています。

 たったいま、麺は、シルクロードを通ってイタリアのパスタになったと書いたばかりなんですが、わたしはこれを“絶対”とは考えていないんです。

 当時のイタリア、つまりはローマ帝国の時代なんですがローマなどヨーロッパの人々は、小麦粉を使った料理、おそらく発酵させていない硬いパンを主に食べていたか、団子にしたりせんべい状にしたりして食べていたと考えられ

るのです。

 そのとき、誰かがその団子状になったものを、細長くしてみようとか、せんべい状になったものを細長く切ってやろうとか思ったとしても不思議ではない。

 一般に、スパゲティはマルコポーロが中国で麺をみて伝え、それがスパゲティになったという説が通説となっていますが、どうやら紀元前4世紀にはすでにイタリアでは麺状になったものを食べていたようですしね。また他にスパゲティの起源説として、アラブから伝わったというものあります。マルコポーロは11~12世紀の人ですから、驚異的に昔ということもなさそうです。

 スパゲティが多くのイタリア人に食べられるようになったのは、中世から近世にかけてと考えられ、しかも中世には、新大陸からトマトが入ってきたおかげで、いまのトマトソースのスパゲティが誕生したのです。

  では当時の人々はどのようにスパゲティを食べていたのかというと、パスタに粉チーズをふりかけて、あるいはトマトソースからめて手づかみで食べていたんです。

 スパゲティは庶民の食べ物で、ヨーロッパの庶民が食事のときにナイフやフォークを使うようになったのは、18世紀くらいから。そのときまで、スパゲティのようなものも手でつかんで、なが~いスパゲティを頭の上まで持ち上げて、口の中に入れていたみたいです。

 粉食と粒食に関しては、以前から薄々気になっていることがあるのです。粒食、つまりお米を主に食べている国は粉食、パンなどを食べている国に比べて殺人発生率が少ないのではないか? という疑問です。これには民族性や宗教の関係などもあって、ハッキリ言ってかなりの暴言となるのですが、粉食を主に食べているヨーロッパ諸国や中南北アメリカ諸国、アフリカ諸国と比べると、ごはんを食べている国々というのは、殺人発生率が低い傾向にあるのはどうも事実のようなのです。

 そこでふと思ったこと。日本ではどうなのか?

ここ何年かの都道府県別による殺人発生率を調べてみると大阪、沖縄が1位2位を競っていることが多く、香川が2位3位に入っていることが多いのです。大阪といえば、うどん、お好み焼き、たこ焼きと粉食大国。香川県は、県民

が1日に1食はうどんを食べるといううどん王国。沖縄は……そう!  沖縄そばは、そば粉を一切使わないむしろ「うどん」に近い食べ物!

 するとうどんを多食するようになると、人間は凶暴化するのか?それとも、小麦粉を多食すると凶暴化するのか?

お米を多食すると、おとなしくなるのか?

ええ、この仮説にもなっていないお話しは、もちろんいい加減な思いつきです。すみません。

実際に、粉食で人間が凶暴化するかどうかなんて調査結果はありません。ただ、粉食を多く食べている地域では、どうも殺人率が高い……ような気がしただけのことでございます。

(食文化研究家 巨椋修/絵:そねたあゆみ)

 

 

 

2月の風

 

 二月の二十四節気には、まず、二月四日、立春があります。暦の上では春になりますが、日本ではこの時期こそ冬本番を迎えることが多いです。そしてご存じのように、その前日、三日が、「鬼は外、福は内」の節分です。

 立春を三つに分けた七十二候は、初候「東風が厚い氷を解かし始める」、次候「うぐいすが山里で鳴き始める」、末候「割れた氷の間から魚が飛び出る」と変わっていきます。

 次の二十四節気には、二月十八日、雨水があります。これは、雪が雨に変わる頃、という意味ですが、ここ数年、この時期に寒波がやって来たことが多い気がしますので、まだまだ油断は禁物です。

 雨水の七十二候は初候「雨が降って土が湿り気を含む」、次候「霞(かすみ)がたなびき始める」、末候「草木が芽吹き始める」と進みます。いかにも春を思わせることばが並んでいます。

 話は戻りますが、立春の末候の始まる少し前、二月十日、暦の上では一月一日、新しい一年が始まります。今の感覚で捉えると、一年で一番寒さの厳しい時期に新しい年が始まることになるんですね。

 歳時記で七十二候のことばを探すと、「霞」「東風(こち)」がいずれも春の季語になっています。特に東風は、「早春に東から吹くやや荒く寒い感じの風。春吹く風の中で最も早い時期のもの。春を告げる風である」とされています。

 日本では、普段は西寄りの風が吹いています。東風が吹くのはどんな時かと言いますと、低気圧が近付いている時です。空を流れる雲が東から西へ流れていたり、工場の煙突から出る煙が東からたなびいていたりしたら、低気圧が近付いているサインです。お天気が崩れるかもしれないと、心の準備をして下さい! これはこの時期だけではな

く、一年を通して言えることなので、覚えておくと便利ですよ。

 寒い冬はもちろん必要なのですが、みなさま充分にお体と、車の運転にはお気を付けて、お元気で、安全な冬をお過ごし下さい。そうしてあたたかい春をお迎え下さいませ。

(気象予報士 チャーリー/絵:そねたあゆみ)

 

 

 

季節の別れ目

 

 二月三日は節分ですね。節分のもともとの意味は季節の別れ目。昔の暦は二十四節季が使われ、『立春』『立夏』『立秋』『立冬』の前日を節分と呼んでいました。一年の始まりは『立春』からで、その前にあたる二月三日頃が大晦日だったのです。

 日本人は大晦日を重んじるため、いつしか立春の前の日だけを節分と言うようになりました。そして平安時代、七〇六年の文武天皇の時初めて節分の日に宮中で豆がまかれたのです。これは中国の風習にならったもので、豆は『魔滅(まめ)』に通じると考えられ、鬼を追い払って一年の無病息災を祈願しました。

 現在、スーパーなどで豆と一緒に鬼の面が売られているのは、このような理由からです。

 豆まきをした後、年の数だけ豆を食べるのも楽しみのひとつ。食べれば病気にならず、健康でいられると言われています。また、鬼を退治したという意味も込められています。子供の頃は年の数だけでは物足りなかったのに、年を重ねるにつれ、多すぎて食べられなくなってしまったのが残念ですが。

 もうひとつ、節分の日には楽しみがあります。それは『恵方巻き』を食べること。恵方巻きは太巻き寿司のことで、一本丸ごと切らずに食べます。ただかぶりつくのではなく、その年の恵方を向き、目を閉じて願い事を頭に浮かべ、黙って食べきれば願いが叶うそうです。包丁で切らずに食べるので「縁を切らない」、海苔で巻いていることから「福を巻きこむ」、縁起のいい食べ物とされています。江戸末期に大坂の船場で商売繁盛を願って始まったと言われていますが、明治中期には途絶えてしまいました。それを、昭和末期に大阪海苔問屋協同組合が復活させました。しばらく関西地方中心に食べられていましたが、願い事が叶うという面白さをマスコミが取り上げると、全国に恵方巻きが広まっていきました。

 二〇一三年の恵方は南南東です。皆様はどんなことを願うのでしょう。是非、叶いますように。

(コラムニスト 愛川いつき/絵:そねたあゆみ)

 

 

 

食べ過ぎ後の風邪

 

 一年のうちで、最も風邪に罹りやすい季節です。年末年始のお疲れ+ご馳走の食べ過ぎにより、体力と免疫力が低下しているうえに、乾燥の度合い、気温の低下という外からの環境要因(ウイルスにとって快適)も加わるためです。

   皆様は、脂っこいものや、味の濃い料理、そして旅行先でめいっぱい食べた直後や、コース料理を食べた後などに体調を崩された記憶はありませんか?

 詳しく想い起こしてみると、食べ過ぎの後にインフルエンザや流行病、そして風邪を拾ったというケースが大変に多いことに気付かされます。

 どうして食べ過ぎが?と思われるかもしれませんが、ものを体に入れるという行為は、体を栄養する前に、大変に体に負担をかける行為だということを認識しておく必要があります。

 食べ物が体内に入ると、体の免疫システムが働いて必要なものと不必要なものがチェックされ、体にとって負担がかかるものは解毒処理されてゆきます。

 のべつまくなしに、大量の食物が入ってこれば、体は五臓をフル稼働させて、この解毒システムを働かせねばなりません。当然五臓は過労の状態に陥っています。

 そのような状況で、ウイルス等が入ってきても、もはや処理するシステムがオーバーワーク状態なのですから、片手落ちとなり発病するわけです。

 ご馳走が続いた後は、野菜のスープや、大根料理、お粥、タンポポ茶等で解毒をはかり、ぐっと少食にしてみると、免疫力が回復し、風邪を寄せ付けなくなります。

 そして、風邪をひいたら、当然ご馳走を止めて、胃腸に負担がかからないお粥を少量にとどめて、いち早く眠ることを心がけてくださいね。

(薬剤師、薬食同源アドバイザー 高田理恵/絵:そねたあゆみ)

 

 

 

 

親父が偉いのとおまえとは関係ない!

 

 以前、飛行機に乗った際、前方にあるビジネスクラスの座席に、ちょこんと小さな女の子が座っているのが目に付きました。

シートが大きい分、その女の子の小ささが余計、目に付いたのですが、当然ながら、その子の隣には母親と思しき女性の姿がありました。まあ、それは、その方が自分の収入の中からされておられることですから、別に他人がどうこう言うことではないのですが、この点で印象に残る話を思い出しました。

 河野洋平という政治家がいらっしゃいますよね。総理大臣になれなかった自民党総裁・・・としてご記憶の方もいらっしゃるかもしれませんが、彼の父、河野一郎氏は、佐藤栄作、池田勇人といった人たちと総理の座を争った政界の大物にして、泣く子も黙るソ連の独裁者・フルシチョフを向こうに回し、大立ち回りを演じたほどの強気の政治家であり、吉田茂をして、「嫌いな物はスカルノと河野一郎」と言わしめたほどの豪腕政治家にして戦後政界の大実力者でした。

 それだけに、父は生前、多忙で、洋平氏と旅行などしたことはなかったそうですが、それが、あるとき、何かの関係で二人で同じ列車に乗り込むことになったそうです。その時、父は、自分だけさっさとグリーン車に乗り込み、学生服姿の洋平青年には「親父が偉いのと、おまえとは何の関係もない!」と言って、独り普通席に座らせたそうです。普通、日頃、一緒にいることが少ない父親がたまの旅行の時に別々の席に座りますか?

 付けるべきケジメはきちんと付ける。子供への愛情などに流されることはない。多忙な父の、息子への精一杯の訓導・・・。

厳父・・・。河野一郎と言う人物の、ただ傲慢なだけではない一面を見せつけられたような気がしました。

 同様のことは明治の厳父と呼ばれた人たちには散見されるようで、もっと凄いのが東武鉄道の創始者、根津嘉一郎翁。東京から北海道まで列車で息子と移動することになった際、自分は二等車に乗って、息子は三等車に乗せたのだとか。・・・当然、大金持ちですよ。

それに、北海道までって言ったって、今みたいに新幹線ですぐって時代ではありませんから、おそらく、24時間で着けば良い方だったのではないでしょうか。

当時の二等車、三等車という物がどれくらい差があったのかは知りませんが、たぶん、三等車は寝る時も座ったままだったでしょう。

甘やかすことなく、そこへ平然と座らせることが出来る・・・、これが真の教育でしょう。

まあ、私は交通費と宿泊費には金をかけない方針ですので、それ以前にグリーン車に乗ることはないでしょうけどね。

 

(小説家 池田平太郎/絵:そねたあゆみ)

 

 

 

<編集後記>

・先月の投稿総数=13本

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CATEGORY=おもしろコラム

 

 

 

 

 

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