おもしろコラム通信8月号 2013.08.01 No.112

 

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兵と卒との違いに知る因果応報の軍人・宇垣一成の実像

 

宇垣一成という人物をご存じでしょうか?

 慶応4年(1868年)、備前国(現岡山県)にて農家の5人兄弟の末子として誕生、陸軍士官学校、陸軍大学校を経て、何度も総理大臣候補に推された人物・・・という経歴からは、頭がカミソリのように切れ、血も涙もないようなエリート軍人・・・だというふうに想像しがちですが、実際には、若い頃は決して出世が早いほうではなく「鈍垣」などとあだ名されるほどであったとか。

 実際、彼が頭角を現したのは戦闘や作戦などの軍人にとっての花形部門ではなく、「軍政」においてだったといいます。

 私も、この宇垣一成という人物に対しては、陸軍省課長時代の大正2年(1913年)、第一次山本権兵衛内閣において軍部大臣現役制廃止・・・、つまり、「内閣の陸海軍大臣は現役武官でなければならない」となっていた物を「予備役」・・・つまり、「OBまでOKよ」としようとしたときに怪文書までばらまいて強行にこれに反対しておきながら、その後、昭和12年(1937年)に自身に組閣の大命が下ったときは、今度は、その手腕をおそれた現役中堅軍人らによって、その「軍部大臣現役武官制」を盾にとられ、逆に組閣を断念させられたという因果応報というべき失態から、決して、いい評価は持ってませんでした。

 先日、たまたまある古書を読んでいて、この人物についてのことが出てきたのですが、この人は、明治の終わりにドイツ留学に行った際には、「単に軍務だけにとどまらず、国家全体のことについて勉強したい」と言い、さらに、当時の書簡には、軍の軍法会議の閉鎖性などについての批判を始め、なかなかに、先進的な考えが見て取れるます。

 中でも、印象に残ったのが第1次若槻禮次郎内閣の陸軍大臣時代、それまで、志願してきた人を上等兵以上の「兵」とし、徴兵された人たちを一等卒、二等卒などの「卒」としていたのを、全部、一等兵、二等兵などの兵に改めたということでした。

(つまり、「兵」というのは文字通り兵士だが、「卒」というのは、言うならば、従僕、下僕でしかなく、待遇面でも劣悪だったとか。)

 これは、働き手を戦争に取られた上にたばこ代まで仕送りさせられているという庶民の実態に対し、大いに違和感をもったからだといいますが、こう考えると、この人物は、開明的なのか保守的なのか、軍人なのか政治家なのか、切れ者なのか愚鈍なのか、非情なのか恩情なのか・・・、何ともとらえどころがない人物のようで、私も簡単に評価を下すことができないように思います。

 ただ、その意味では、こういう人物でないと、あの太平洋戦争の破局へ突き進もうとしていた時代の舵取りは出来なかったのではないかと。

 そして、それがわかっていたからこそ、彼が総理の座に着くことに「脅威」と感じた人たちがいたと。

 誰がやっても無理だったのだろうとは思いますが、わずかでも可能性があったとしたならば、宇垣だけだったような気がします。

(小説家 池田平太郎/絵:そねたあゆみ)

 

 

 

夏野菜の解毒スープ

 

 パプリカ、ピーマン、ズッキーニ、ナス、トマト、キュウリ、トウガンなどの夏野菜は、体の火照りや熱をとり、体を潤す働きがあります。

   夏場はたくさん汗をかきますし、皮膚呼吸からもかなり津液が失われています。夏野菜にはカリウムが多いので、体液のバランスを崩さないためにも、塩味で調味されるのがよいです。

 体の熱を冷まし、体液を補う夏野菜ですが、熱を加えて調理すると解毒と利水作用が高まります。

 クーラーの効いた部屋で過ごしている方や、冷え性の方は、夏野菜を加熱調理して召し上がると、水分代謝を促進し、むくみや疲れを防止してくれますよ。

 今日は、夏野菜を用いた解毒スープをご紹介しましょう!

 

<材料>

 生姜、ピーマン、玉ネギ、ナス、トマト、高野豆腐、パセリ、トマトジュース、塩、カレー粉、サラダ油

 

<作り方>

1,生姜を皮ごとすりおろし、他の野菜は食べやすい大きさに切る

2,フライパンに少量の油をしき、生姜、ピーマン、玉ネギ、ナス、トマトを炒め、カレー粉を軽くからめる

3,別の鍋に、高野豆腐をもどし、汁ごと2と合わせる

4,トマトジュースを入れて、一煮立ちさせ、塩で調味する

5,みじん切りのパセリを振りかけて盛りつける

 ♪冷え性の方は高野豆腐を、暑がりの方はとうふ、油抜きした厚揚げ、別ゆでした春雨にスープをかけてもOKです。

 ♪解毒をかけるために、朝・・・おかゆ、昼・・・日本蕎麦、夜・・・夏野菜の解毒スープにすると効果的、3日間続けると体がスッキリ軽くなりますヨ!!

 

(薬剤師、薬食同源アドバイザー 高田理恵/絵:そねたあゆみ) 

 

 

 

江戸時代からあった1人鍋

 

最近では、男性女性を問わず、1人暮らしの独身者がたった1人で鍋を食べる“1人鍋”が、よく食されていると聞きます。

 と、いってもこれは別に新しいことではなく、江戸時代から“1人鍋”は、独身者に愛用されていたのです。

 地方から参勤交代で江戸に単身赴任してきた武士たちは、毎回外食ができるほど裕福な人は少なく、自炊をしていました。

 そのときに味方になってくれたのが鍋料理。

 なんといっても鍋料理は、昆布やカツオ節などでダシをとりながら野菜や魚をぶった切って鍋に放り込めば、それでOK。

 味は味噌、醤油などで味を調えるもよし。ポン酢醤油などで食べるもよしの超カンタン料理であったりします。

 よって、江戸時代では、武士も庶民も独身者・単身者は鍋をつついていたのです。

 武士の場合、高級武士であれば下男などがいて炊事をしてくれましたが、下男下女がいなかったり、雇えない者は自炊。下級武士となれば数人で相部屋でしたので、炊事当番を決めて料理をしていたようです。

 こういった仲間を「同じ釜の飯を食った仲間」というのでしょうが同時に「同じ鍋をつついた仲間」と言ってもいいのでしょうね。

 時代が現代になり、火鉢や七輪が使われなくなってからも、ガスコンロ、電気コンロ、近年にいたってはカセットコンロが普及しており鍋料理は日本人に愛され、いまでは1人鍋用の調理器具まで販売されるようになっています。

 っていうか、筆者であるわたしも1人用の「小型グリル鍋」を愛用して「一人鍋」を楽しんでるし。

 夜1人で1人鍋をしていてもさみしくないし。全然さみしくないし・・・・・・・。

 

(食文化研究家 巨椋修/絵:そねたあゆみ)

 

 

 

 

 

 

ホスピタリティというサービス理念

 

 夏の行楽シーズンをどのようにお過ごしですか?

 旅先のホテルやレストラン、観光施設などを訪れて感じるのはホスピタリティではないでしょうか。ホスピタリティとは「思いやり、心遣い、親切心、誠実な心、おもてなし」です。ホスピタリティを感じれば、旅の印象はぐっと高まり、思い出に深く刻まれます。

 サービスを提供する側も、上質なホスピタリティを学び、そして心掛けています。

 このホスピタリティというサービス理念は、キリスト教徒のエルサレム巡礼が基となっています。交通手段が発達していなかった昔、ヨーロッパ各地からエルサレムへたどり着くまでかなりの月日を要しました。

例えばハンブルグからだと二年もかかったとか。そうなると必要となってくるのが宿泊施設と病院です。長旅の道中では突然の怪我や病気も起こりますからね。

 そこで、設けられたのがホスペス(hospes)という施設。ラテン語で客人の保護者という意味です。ホスペスでは無料で巡礼者を泊めさせ、無料で治療もしていました。なぜならイエス・キリストの前では、みな平等。困っている人がいれば助け合い、病気の人がいれば面倒をみるのが当たり前という考え方だったからで

す。ホスペスを利用した巡礼者は「ありがとう」と礼を言い、そしてエルサレムへ旅立つのでした。

 ホスペスは、やがて宿泊を専門としたホテル(hotel)と病院

(hospital)に別れます。良く見ると、英語のつづりが似ているのに気がつきませんか? hotelもhospitalもhospesからできた言葉なのです。

 それを知ると、今まで自分がお世話になったホテルや病院で、どうしてあんなに親切だったのか解かるような気がします。今やホスピタリティの心意気は、あらゆる業種に広まっています。そして、ホスピタリティを受ける私達が「ありがとう」と言うことが、最上の礼儀であることには今も昔も何ら変わりないようで

す。

(フードアナリスト 愛川いつき/絵:そねたあゆみ)

 

 

小商いのススメ

 

 歳をとってから始める商売は小商いがいい、商売に失敗して再起するには八百屋がいいと昔からいわれています。どちらも小資本で始められ、リスクが少ないからです。

 定年退職者が大量に生れています。慣れない商売に手を出して大切な退職金を失ってしまったという話をよく聞きます。特に大手企業に勤めていた人にその傾向が強いようです。

 実は、組織の中にいたからこそ人が動いていたのに、自分の実力で動かしていたと錯覚しがちです。また、街の商店主や町工場の経営者は、それほど、能力も頭もないのに、そこそこの商売をやっている。自分のキャリヤや頭の良さをもってすれば、もっと上手くやれるはずだというのも、大きな勘違いです。そんな能力が本当にある人は、ヘッドハンティングされているハズです。

 そんなわけで、老後を気軽に過ごす「小商いのススメ」です。

パソコンが使え、インターネットが使えれば、ほとんど無資本で誰でもお店がネット上に開くことが出来る時代になりました。

 ネット社会はものすごい速度で進歩し、変化しています。少し前までは店を開くには、楽天市場とかヤフーショッピングなど、それなりの投資が不可欠でした。せっかく開店までこぎつけても思ったようには売れないというボヤキもよく聞きました。

 でも、人が集まっているこれら大手のショッピングモールに出店をしなければ、成功がおぼつかなかったのも確かです。

 しかし、最近は、様子が少しずつ変わってきています。というのは、検索エンジンの性能が格段に向上しているので、お客様はショッピングモール経由でなく、直接、求める商品を検索して探すようになってきたからです。すなわち、必ずしも人が集まっているショッピングモール内に出店しなくてもよくなりつつあります。

 第二の変化は、facebookやtwitterが普及し、これが、個人認証システムとして利用できることになったため、ただ(無料)か、ただ同然の安い費用で、ネット上に簡単にお店を開くことが出来るようになったのです。

 たとえば、XCREAM、BASE、minneなどがおすすめ。でも、老後の小商いですし、リスクゼロなのですから儲けは二の次と考えましょう。まず、身の回りの自前のものをお店に並べてみましょう。絵が趣味なら、自分が書き溜めた絵を出すのもいいし、陶芸が趣味なら、置き場がなくて家人に文句をいわれている自分の作品を出すのもいいでしょう。売れなくても、自分のギャラリーがただ同然で持てたと思えば気が楽です。もし、売れたら、今日は家呑みでなく、街にくりだしましょう。ちなみに小生は「お宝!BOX」、「dbook販売」、「手作り野菜ネット通販」などのお店を出しています。昨年は、象の置物(陶器)が9万円で売れたのが唯一ビックな取引でした。隣の家の象の置物の鼻を欠いてしまって弁償しなければならず、検索してやっと探しあてたのだそうで、喜んでいただきました。

あぶく銭なので、すぐに飲んで無くなってしまいましたが・・・・。

 

(コラムニスト 井上勝彦/絵:そねたあゆみ)

 

 

 

<編集後記>

・先月の投稿総数=11本

・ブログ=http://blog.goo.ne.jp/tebra/

CATEGORY=おもしろコラム

 

 

 

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*9月号の原稿締め切りは810日です。

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