おもしろコラム通信4月号 2014.04.01 No.120

 

おもしろコラム通信は、おもしろコラムに登録済みのコラムニストが登録時に記したメールアドレスに無料で配信しています。

おもしろコラム通信発行月の前月によせられたコラムの内、採用されたものを絵入りで掲載しています。

当該コラムの内容を無断で他に使用・転用することを禁じます。

 

 

知識は深いが視野は狭いプロほど歴史に学ぶべし

 

 最近、よく、長年、不振に苦しんできたプロスポー

ツ選手などが復活勝利し、インタビューの最中に、感極まり、男泣きしているようなシーンを見かけますよね。

 確かに、どれだけ練習しても結果がついてこない、それでも練習だけを信じてやってきたことがようやく報われた・・・、また、この間、いろいろな人に支えられてきた・・・という苦しい日々に対する万感の思いがあるのでしょうが、私としてはこういう話を聞くにつけ、少し違う感慨を持っています。

 これは、最近のプロ野球選手など若いアスリートたち全般に共通することのように思うのですが、彼らは自らが努力する為の環境は、もう、「これでもか!」というくらい整ってますから、当然、一流のアスリートになればなるほど、鍛錬された肉体と、その為の知識や理解など、もう、ゴルゴ13顔負けの素晴らしいものを持っているようですね。

 ところが、その一方で、デジタル化時代ですから、囲碁や将棋の若い棋士ら然りで、パソコンなどで得た情報を発展的に検証することには慣れているものの、どうも自分の成績に直接繋がらない技術論やデータ以外のことにはあまり興味があるようには思えないんですよ。でも、専門知識だけで結果が出ているときは良いのですが、行き詰まった場合、逆に知識が深すぎるがゆえに迷宮に入ってしまって出て来れなくなるようなこともあるわけで、そんな時は、いっそ、固定観念に囚われていない素人に出口を気付かされることがあるようです。(かつて、打撃の神様と言われた川上哲治選手は極度の不振に喘いだ時、歌舞伎の名人の踊りを見て開眼したと言いますし、ミスタープロ野球・長嶋茂雄選手は同じく、ファンの少年の、「最近はスイングした後に背番号がこちら側に見えないよ」という一言で不振の原因に気づいた・・・という話も伝わっています。)

 その意味では、ビスマルクの言と伝えられる「愚者は経験から学び、賢者は歴史から学ぶ」然りで、最近のアスリートたちはもう少し、過去の名優、名選手、名力士と呼ばれた人たちの回顧録などにも目を通すべきだと思うんですよ。(同じ業界の名選手については勉強している・・・と言われるかもしれませんが、最近の若い選手たちの過去の名選手たちに対する無知無理解を見ていると到底、そうは思えないんですが。せいぜい、自分たちが子供の頃の名選手・・・までで・・・。)

 この点を、かって、智将・三原脩監督は、選手に「移動中の時間を無為に過ごすくらいなら、何でもいいから本を読みなさい」と選手に言ったといいますが、その意味では復活した選手らも練習を信じる一方で、もう少し日頃から視野を広げておいても良かったんじゃないかと。

 つまり、専門家とはとかく、知識は深いが視野は狭いものなわけで・・・。

(小説家 池田平太郎/絵:そねたあゆみ

 

 

 

 

 

 お寿司のあれこれ

 

いまや日本を代表する料理であるお寿司。ひとくちにお寿司といっても、いろいろと種類がありますが、おそらく多くの人が「お寿司」と聞いてイメージするのは、江戸前ずし、つまり握りずしではないでしょうか?

 他にイメージするとしたら、太巻きや稲荷寿司、五目ちらし寿司といったところが一般的といってもいいでしょう。

 そんなお寿司ですが、原型は「なれずし」といって、飯の乳酸発酵を利用したもので、代表格としては琵琶湖に伝わる「鮒ずし」これはなかなか個性的な臭気がして、はじめての人はなかなか食べるのに勇気がいる品物。このままでは、世界の人気料理になることは難しかったことでしょう。「なれずし」は臭気が個性的というだけではなく、作るのに数週間から場合によっては数年もかかるのですから。

 それがやがて江戸時代になると、もっと早く食べたいと「箱ずし」が考案されます。さらにもっと早く食べたいと「押しずし」が生まれます。それでも作るのに2~3日かかります。もっともっと早く食べないとさらに「早ずし」というものも考案されました。これはネタと酢飯を一夜漬けしたもので、いまでいうと富山の「鱒(ます)寿司」とか、和歌山の「鯖寿司」とかが有名です。

 ところがせっかちなことで有名な江戸っ子。一晩も待ちたくないと思ったのか、江戸時代後期の文政年間あたりに、酢飯を握って味付けをしたネタを乗せるというものが登場。この時代、まだ刺身を酢飯に乗せるということはあまりなかったようで、ネタは魚を醤油漬けにしたものや、酢でシメたもの、火を通したものが主流であったようです。

 なぜかというと、カンタンなハナシ、江戸時代には冷蔵庫もなく、自動車もなかったため、漁港に持ち込まれた魚が料理人の手元に持ち込まれ、お客の前に出るまでに、ネタである魚が傷んでしまうおそれがあったため、醤油漬けや酢漬けで傷みにくくしたものしか出しにくかったというわけです。刺身のネタが主流になるのは、冷蔵技術や自動車や鉄道といった流通が発達してからだったようですね。それにしても「はやく食べたい」「せっかち」が、寿司の主流である握りずしを生んだというのは、おもしろいものですね。

 

 

 

 いまやSUSHIといえば世界中で食べられているといってもいい料理。世界的人気のお寿司ですが、もしあなたが海外にいって寿司屋に入ったら「?」となるかも知れません。また、自称お寿司大好きな外国人を日本の寿司屋に連れていったらこんどは外国の人が「?」となるかも知れません。

 例えばアメリカの、寿司バーか寿司レストランに行ったとしましょう。そこの主流は寿司ライスにスライスした生魚が乗ったものではなく、いわゆる巻き物が中心。それも鉄火巻きとかカッパ巻きなどというものではなく、カリフォルニアロールに代表されるような海苔を表に出さないで裏巻きし、ライスが表に出ているものが多いのです。ちなみにカリフォルニアロールをご存知ない方のために説明しておくと、具はカニかまぼこ、アボガド、キュウリ、白ゴマで海苔を裏巻きにしたものです。これは1960年代末、ロスアンゼルスに寿司バーを開く日本人が、考案したものですが、欧米の人は海苔を、「紙を噛んでいるみたい」と気味悪がる人が多いため、海苔を表に出さないものが多いのです。

 もし、腕のいい日本の寿司職人がアメリカに行って、日本伝統の技で勝負しようとしても無理だといいます。それは、やはり生の魚を食べることへの抵抗が強いことが原因。

 かつて寿司が「なれずし」しかなかった時代の食通に、もし江戸前の「握りずし」を出したとしたら、その時代の人は「握りずし」を寿司と認めなかったかも知れません。お寿司に限らず料理というものは、その時代、その地域でそれぞれに発達し進化していくものなのです。例えば、わたしたちがいま当たり前に食べている「軍艦巻き」というお寿司は、昭和になってから創作されたものです。

 

 軍艦巻きは、昭和16年、銀座の超高級寿司店「久兵衛」の今田寿治が、客から「何か変わったものを」と、言われたとか、「イクラを寿司で食べたい」と言われたとかで、考案したといわれています。それまで、イクラとかウニというのは、なかなか握りになりにくかったわけで、軍艦巻きのような形にすると、ネタがこぼれずにいただけるというわけです。

 昭和16年というと、日中戦争真っ盛りであり、同時に太平洋戦争が勃発した時代。軍艦巻きのネーミングも、形が軍艦に似ているから付けられたわけですが、そういう時代背景もあったのかも知れませんね。

 

 パンにおかずを挟んで食べるサンドイッチは、一説によるとイギリスのサンドウィッチ伯爵は、トランプゲームなどギャンブル中でも食事ができるようにと考案したという説があります。一方日本の「鉄火巻き」これも一説ですが、「鉄火場」つまり博打場で、手早く食べられるように作ったのが「鉄火巻き」という説があります。洋の東西を問わず、賭け事というのは、ものを食べるのも惜しくなるくらいおもしろいものなのでしょうね。鉄火巻きは、マグロの細巻き寿司ですが、このマグロの赤い色が、鉄が焼けた状態に似ているから「鉄火」というようになったという説もあります。ギャンブルも熱くなりがちですが、ひとつ間違えると身を滅ぼしますので、そこはほどほどに。

 

 稲荷ずしって、油揚げに寿司めしを詰めたものですが、なんで油揚げを「稲荷」っていうか知ってます?狐が油揚げが好きだから……という説があるんですけど、そもそも狐はなんで稲荷なのって思ってしまいますよね。稲荷っていうのは、稲をはじめとする五穀の神様。そして狐はそのお使いということらしいんですね。なんでそうなったかというと、お米とか穀物を食べるネズミを狐が食べて退治してくれるところから来ているそうなんです。

 そして狐の好物が油揚げってことで、油揚げ=稲荷=狐ってなったという説があるんですね。でも、実際のところ、狐は油揚げなんて好物じゃないわけで、これも一説なんですけど、「ほんとうは狐の好物っていうのは、ネズミを油で揚げたもので……」なんて説もあるんですけどね。正直、ネズミを油で揚げるような人ってまあいないと思うのですよ。

だから、そんな細かい由来から来ているというより、油揚げが狐色だったから、油揚げのことを狐っていうようになり、狐=稲荷神のお使いだから……というのが、おそらく正解なんでしょうね。ちなみに、この稲荷ずしですけど、関東と関西では、ちょっと違っています。関東の稲荷ずしは俵型、関西は三角形。さらに関西の稲荷ずしにはいろいろな具が入っていますが、関東は酢飯のみという違いがあるんですよ。(食文化研究家 巨椋修(おぐらおさむ)/絵:そねたあゆみ

 

 

 

 

お腹の張りに柑橘類

 

 お腹が張って重く、苦しい、圧迫感や痛みがあるおならが出やすくて困る・・・など、大腸の気滞(ガス溜まり)に悩んでおられる方の養生法をご紹介します。

 お腹の張りのトラブルは、

   1,長時間座っていることによる圧迫や、締め付ける下着の着用・・・生活習慣

 2,ガスを発生させる悪玉菌を増やす食事のとりすぎ(肉、乳製品、ケーキ類や甘いお菓子、過剰な繊維質)・・・食習慣

 3,ストレスやホルモン変化、運動不足による、腸の蠕動低下・・・心と行動の習慣等により腸が圧迫され、ガスが生じると、腸が風   船のように膨れあがり、ますます蠕動を低下させ悪循環を作り出します。

 お腹が張っていると気分まで憂鬱になり、体の活力が失われますので、早めに対処してください。

 ○座り仕事の方は、1時間に一度は立ち上がって軽い足の曲げ伸ばしや、体幹をねじる運動をしましょう。

 ○食事は和食のメニューがお勧め!・・・ヨーグルトよりも、大豆食品(味噌や、高野豆腐、納豆など)からの方が、日本人の体に合  う乳酸菌を摂ることができます。

 ○食後に、柑橘類を召し上がってください・・その際、なるべくみかんの内側のモゾモゾも一緒にたべてくださいね。

 漢方薬でも唐橘(からたち)と云う、枸橘が主成分のお薬を使い、お腹のトラブルを改善することができますよ♪

 頑固なお腹のハリで悩んでおられる方は是非お試しくださいね!

(薬剤師、薬食同源アドバイザー 高田理恵/絵:そねたあゆみ

 

 

写真deスケッチ

 

 春の暖かさに誘われて友人と小旅行に出かけた。

 彼の本職はイラストレータだ。若い頃は画家になりたかったそうだが、画家では飯が食えないということで、夢をあきらめて、イラストレーターになった。彼の絵は写実的な作風で、私は好きだが、プロとしては厳しかったようだ。

 桜並木を散策しながら彼は、小さなスケッチブックをカバンから取り出し、数分のうちに、目の前の情景を描き出す。

 昔、有名なカメラマンのスチール撮影現場に立ち会ったことがあったが連射機能(モータードライブといっていた)がついた大きなカメラでとにかく大量のカットを撮影していた。大量に撮影したフィルムから、モデルの表情などを考慮して最適な1枚を選んでポスターに仕上げる。こんなにいっぱい撮るんだから撮影代が高くてもしょうがないかと合点した記憶がある。

 絵心がまったくない私は、デジカメで感動をカメラに収める。デジカメになり、最近では、安いカメラでも連射機能がついているから、スケッチに負けまいと、写真の数で勝負する。数では勝っていても、スケッチ画の温かみというか、手書きのインパクトに適わず悔しい思いをいつもしていた。

 そんな中、先日おもしろいアプリに遭遇した。「wateriogue」というもので、デジカメで撮った写真をそのアプリで加工すると、水彩画に変身させることが出来るという優れものだ。従前から同様のパソコンソフトはあったが、高額で、しかも、デザインのプロでないと使いこなせない難しさもあった。ところが、このソフトはたったの300円。簡単な手順で水彩画が作れてしまう優れものだ。携帯端末(スマホやipadなど)があれば、撮った写真をその場ですぐに水彩画に変身させられる。これで、旅の面白さも倍増できるというものだ。

 これまで撮り溜めていた写真から、いろいろ試してみたが、輪郭のはっきりした写真ほどうまくいく。たとえば、家並みとか橋とかの風景や静物だ。富士山の遠景写真は、富士山が描き出せず、うまくいかなかった。

 このソフトは、写真から輪郭を自動的に描き出し、その後に、水彩で色付けするようだ。輪郭描き出し後に山の輪郭など少し加筆できる機能が加われば、富士山の遠景も水彩画化できるので、今後のバージョンアップに期待したい。

 輪郭といえば、苦い経験がある。昔、旅行でパリのエッフル塔に行った時、その近くの公園で絵を売っていた。貧乏な私にも買える価格だったので、1枚の水彩画を買って帰り、その友人に見せたところ、これは墨のスケッチを印刷したものに、水彩でササット色付けした塗り絵だといわれたことを思い出した。あの絵は部屋に飾る機会も無くどこかにしまい込んだまま、いつのまにか無くなってしまった。(ジャーナリスト 井上勝彦/絵:そねたあゆみ

 

 

 

 

 

<編集後記>

・先月の投稿総数=9本

・ブログ=http://blog.goo.ne.jp/tebra/

CATEGORY=おもしろコラム

 

 

おもしろコラムのホームページをSNS対応を強化してリニューアルしました。

 

 

コラム執筆者常連の池田平太郎さんの新刊「死せる信玄 生ける勝頼を奔らす 増補版 [文庫]」の売れ行きが好評です!

 

 

「おもしろコラム新聞版がパソコンの他、ipad,iphon,Andoroid端末で閲覧可能になりました。

 

 

「電子ブック化」代行サービスを開始しました。

・おもしろコラムにコラムニスト登録した方限定、電子ブック化無料作成します。(A5・100ページまで、詳しくは井上勝彦まで

メール atecinoue@gmail.comでご相談ください。)

1冊からの本作り支援サイトを開始しました。

.デジタルデータ販売ショップを開店しました。

 

下記アドレスから閲覧ください。

 

池田平太郎氏の短編4冊、と電子レンジ料理研究家のMaRoママの「電子レンジで簡単お菓子作り」が電子ブック化されました。

下記で好評販売中!

 

http://dbook.thebase.in/items/119083

http://www.xcream.net/shop/564

 

 

 

 

 

 

 

*今月採用された方(上記挿絵入りのコラム)には掲載ニュースレターと稿料として5千円分のクオカードを発行翌月15日に発送しますのでお受け取りください。

*投稿いただいたコラムが,編集部の都合により、後日採用になる場合があります。この場合の稿料は採用月に支払われます。

翌月号の原稿締め切りは毎月10日です。

*特に季節を織り込んだコラムについては、翌月を想定して投稿ください。

*過去のコラムに類似の話題がある場合は、原則として採用されません。過去のコラム(特に季節の話題)についてはこちらをご覧ください。

*ご自分の得意分野やご自分の専門分野の話題が比較的採用されやすい傾向があります。

*新聞タイプ(楽しい暮らしはこちらから閲覧ください。

★個人情報保護の見地から、コラムニスト紹介のページはHPから削除しました。

 

 

おもしろコラム

http://omosiro-column.com/

(有)日本ジャーナル社「暮らし~」編集部

本社 東京都武蔵村山市大南5-8-1

伊東出張所 静岡県伊東市宇佐美3629-52

TEL 042-563-6961 FAX 042-563-0277

e-mail   atecinoue@gmail.com