おもしろコラム通信10月号 2011.10.01 No.090

 

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重症アレルギーには要注意

 毎年、秋口になるとスズメバチの個体数が最大となると共に凶暴化し、人を襲うという事件が多発します。痛ましいことに中には死にいたるという場合もあります。多くの方は、スズメバチは人を殺すほど強い猛毒をもっているんだと思われるかも知れません。しかし、亡くなられる方はよほどの大群に何箇所も刺された場合を除き、スズメバチの毒そのものによって死亡するというわけではありません。実はアレルギー反応によって死に至っているのです。不幸にも亡くなられる方というのは過去にスズメバチに刺されたことがあり免疫反応によって体内に抗体ができている方です。抗体のできた方が、2回目以降にハチに刺されると抗原抗体反応すなわちアレルギー反応が起ります。その結果、刺されたところが大きく腫れ上がったりすることになります。ところが、体質によっては単なる腫れでは治まらず、稀に重症化してアナフィラキシーショックと呼ばれる危険な状態に陥ることがあります。その場合、急激な血圧の低下や呼吸困難などが起こり、即座に適切な治療が行われなければ最悪の事態、死に至ることになります。人里離れた森林で作業されるような方のために、取り敢えず危険な状態から脱することのできるエピペンと呼ばれる自分で注射することのできるお薬も現在では開発されています。

 このアナフィラキシーショックは、食べ物によっても起ることがあります。日本では、そばが有名ですが、欧米ではピーナッツが有名です。このアナフィラキシーショックはごく微量でも起る可能性があります。そばの例では、そばのゆで汁で茹でたうどんによって起ったという例やピーナツの例では、キスした相手がたまたまピーナッツ製品を食べた後だっというだけでも発症したことがあると言われています。

 アレルギーの発症メカニズムとして高分子量のものでないと起らないという特徴があることから、ほとんどの場合、たんぱく質によってアレルギーは起ります。そして、頻度の違いはありますが、食品として口に入る全てのたんぱく質で起る可能性があります。また、どの食品で起るのかは個人差がとても大きく、人によっては、全く起こさないという人もいれば、あるひとは、複数の食品で起きるということもあります。さらに、毎回かならず発症するということでもなく、その日の体調などによって発症したり、しなかったりということもあるようです。

 注意を要するのは、加工食品です。例えば、ハンバーグのつなぎなどに卵とか牛乳が使われていても外見上はわからないので、卵アレルギーや牛乳アレルギーの人が気づかずに摂取してアレルギーを起こすということがあります。そこで、厚生労働省ではこうした事故を防ぐため、アレルギーを起こす頻度が高い食材やアナフィラキシーショックを起こしやすい食材を指定して、それらを使用した食品のパッケージには表示することを義務付けています。指定された食材は、「特定原材料」と呼ばれていて、以下の7品目があります。

えび、かに、小麦、そば、卵、乳(乳製品)、落花生

この7品目の他にも、「特定原材料に準ずるもの」として、表示することが望ましいとされるものには以下の18品目が挙げられています。

あわび、いか、いくら、オレンジ、キウイフルーツ、牛肉、くるみ、さけ、さば、ゼラチン、大豆、鶏肉、バナナ、豚肉、まつたけ、もも、やまいも、りんご

 これらの食材にアレルギーをお持ちの方は、パッケージに表示されている原材料を確認すれば、意図せぬ摂取を避けることができます。

 健康食品を摂取した際に、不快な症状が出た場合には、アレルギー反応の可能性があることをまずお考えください。日頃、日常生活で摂取しているような食品は、アレルギーをもっているかどうかがすでにわかっているので避けることができますが初めて食べるものに対しては、自分がアレルギーをもっているのかどうかは事前にはわかりません。寒気がしたり、発疹が出たり、あるいは顔がパンパンに腫れ上がるなどの予兆がある場合もありますが、急速に危険な状態に陥ることもあります。特に、喘息をお持ちの方は、危険な状態に陥りやすいと言われていますので、おかしいと思ったらまず病院に行くことをお勧めします。また、喘息の方の場合、遅発型喘息反応という現象があり、一度症状が治まった後も、6~10時間後に再度呼吸困難が発生することもありますので、食物アレルギーによって呼吸困難が出現した場合には、病院で適切な治療を受けるべきです。

 重症アレルギーの発症頻度は、とても低いものですので、多くの方はそれほど恐れる必要はないのかもしれませんが、アレルギー体質の方や喘息をお持ちの方は、是非ご注意ください。

(医学博士 食品保健指導士 中本屋 幸永/絵:吉田あゆみ)

 

 

なぜ病気になるのか?  

 皆さんご自分の病気を見つめて考えられたことはありますか?

答えは意外と簡単なことなのです。

 例えば、ガンは血液が少なく冷えている場所にできる。めまいは頭に血が不足して栄養されていないと起こる。痛みは血の流れが滞ったところに生じる。赤ちゃんは血が不足して子宮が冷えるとできにくい。発疹は解毒が追いつかないと出る。脳梗塞や心筋梗塞は血が行かず堰き止められると起こるなど・・・

 要するに、十分な血液が全身を巡り体を温めていれば、皆さん老衰で幕を閉じることができるわけです。

 次に行うことは、血がそこへ行かない原因を探ることです。

大きく分けて2つ

根本的に不足しているのか、何らかの理由で堰き止められているのか、そしてどちらかがわかれば、具体的に何故そうなっているのかを探るわけです。

これが、漢方診断の弁証論治です。

 原因がわかれば、まずは食養生や生活養生をしますが、漢方薬はさらにフォーカスして、足りない部分を補う、冷えている箇所を温める、余分なものを取り去るなどの生薬を組み合わせ、その方にピッタリのお薬をお出しできます。本当に、オーダーメイドで体に優しいですよね。

 養生には手遅れはありません。どんな病気でも必ず改善して今よりも快適に過ごすことはできるのです。皆さんも養生を学ばれませんか?自分に合った養生を身につけましょう。

(薬剤師、薬食同源アドバイザー 高田理恵/絵:吉田あゆみ)

 

 

DNA構造の解明とノーベル賞

 生物の設計図とも呼ばれるDNAですが、その構造の発見者であるジェームズ・ワトソン、フランシス・クリック、モーリス・ウィルキンはノーベル生理学・医学賞を受賞しました。ノーベル賞といえば研究者にとっては世界的な名誉であるだけでなく、莫大な賞金が贈られることでも有名です。しかし、DNA構造の発見に大きく貢献しながら、その栄誉を逃した悲運の女性がいたことをご存知でしょうか。

 その女性の名前はロザリンド・フランクリン。イギリスの物理化学者です。ロザリンドの裕福な両親は、ロザリンドが九歳の頃から寄宿学校に入学させ、可能なかぎり最高の教育を受けさせました。卒業後はケンブリッジ大学で学びましたが、当時のケンブリッジ大学は女性が自由に研究に打ち込める場ではありませんでした。しかしロザリンドは研究にいそしみ、大学をトップクラスで卒業したのです。

 フランス留学を経て、ロザリンドはロンドン大学に研究職を得ます。彼女の専門はX線結晶学(結晶にX線を当てて、物質の構造を解明するもの)でした。そして、ここで彼女にあたえられた研究テーマが、X線によるDNA結晶の解析だったのです。ロザリンドは順調に研究を進め、ついにDNAの構造の解明につながるX線写真を撮影しました。しかし、ロザリンドはその成果を公表せず独力で研究を進めます。

 そのことが彼女に悲運をもたらしました。ロザリンドは、彼女が着任する以前からDNAを研究していたモーリス・ウィルキンスと研究成果を巡ってしばしば衝突していました。そしてウィルキンスは、ケンブリッジ大学のジェームズ・ワトソンとフランシス・クリックに、彼女の撮影したX線写真を無断で見せてしまうのです。ワトソンとクリックはロザリンドの研究をもとに、DNAの構造を発見します。

 ロザリンドはワトソンらのノーベル賞受賞を前に、卵巣癌と巣状肺炎により若くしてこの世を去ったため、ノーベル賞受賞の栄誉は得られませんでした。ロザリンドは長い間学会で否定的な評価をされてきましたが、それは彼女が女性であったことと無関係ではないようです。近年ようやく彼女の業績が再評価され、死後数十年経ってホロウィッツ賞(有力な生物学・生化学の賞)が遺贈されました。(現役医大生 朽木誠一郎/絵:吉田あゆみ)

 

 

大和なでしこ

 女子サッカー、なでしこジャパンの快進撃は記憶に新しいところ。FIFAワールドカップドイツ大会の優勝は日本中が歓喜に沸きました。

 この、なでしこジャパンというネーミングは、2004年に一般公募から選ばれました。可憐で芯の強い日本女性を意味する大和なでしこ。その大和をジャパンに変換し、世界に羽ばたき世界に通用するようにと願いを込めてつけられました。その願いが2011年に実現したのですから素晴らしい限りです。

 今や『なでしこ』という言葉を知らない人はいませんが、意外にも『なでしこ』がどんな花か知らない人は多いようです。秋の七草のひとつで、背丈は低く、ピンク色の花びらの先端が細く裂けているのが特徴。

 昔は河原によく咲いていましたが、時代の流れと共にめっきり見かけなくなりました。今では花屋でポットに入って売られているのを見かけるくらいですが、なでしこの小さな花びらは薔薇やガーベラのような華やかさがないので、パッと目につかないのかもしれませんね。

 しかし、平安時代に中国からもたらされた時には誰もが知る花でした。なでるようにかわいい花なので『なでしこ』と呼ばれるようになりました。そのせいか、なでしこという言葉が子供や女性を比喩するようになり、万葉集では大伴家持が「なでしこがその花にもが朝な朝な 手に取り持ちて恋ひぬ日なけむ(あなたがなでしこの花だったら、毎朝手に取って愛することができるのに)」と、恋の和歌になでしこを用いて表現しています。清少納言も枕草子のなかで「草の花はなでしこ」と記述しています。江戸時代には小林一茶が「お地蔵や 花なでしこの 真中に」と俳句を読みました。このように、昔はなでしこと聞けば誰もがイメージが浮かび上がる花だったのです。

 ますます脚光を浴びる、なでしこジャパン。それと比例して、なでしこの花も日本国民に愛され、再び日本のあちこちで見かけるようになるといいですね。(小説家 華山 姜純/絵:吉田あゆみ)

 

 

「もったいない」は、現代日本に於いては罪悪である!

 昨今、「もったいない」という言葉を国際語にするとか何とかで新聞でよくみかけますが、これは私のように食い物を残したら親から死ぬほど殴られた世代には心情的には理解できるのですが、こと、現代日本ではこの言葉は「罪悪」だと思います。

なぜなら、昨今のコンビニにしても、リサイクルショップにしてもそれを強く感じるからです。

 先日、見たリサイクルショップの「お売り下さい」のチラシには、「春夏物衣類は1-6月、秋冬物は7-12月しか買い取りません」と書いてありました。彼らは古本でもそうですが、すぐに売れる物しか買わないようですね。今日仕入れて、今日のうちに売れる物が彼らにとって引き取りの対象なんです。結局「スピード」なんですよね。

 つまり、彼らにとって、いつか高値で売れるかもしれないような名品はもう必要ないということのようです。これは、即ち、倉庫に大量の在庫を抱えることはしないということであり、結局まあ、あらゆる業界でコンビニ化が進んでいると言うことでしょうが、即ち即ち、これを支えている前提・・・、つまりは、「もったいない」を罪悪にしている大前提というのは、技術革新のサイクルの早さと、大量消費社会だと思います。

 「もったいない」と言って、物を大事にしていたら、技術革新が進んで、結果、「もう、今時、こんな物使わないし。」ということになってしまうし、商店にしても、結局、使うアテのない大量の在庫が残る事になるだけのことであり、となれば、挙げ句が高いお金を払って、処分することになる・・・。

 技術革新を否定することは、今更、出来るはずもなく、社会が後戻りすることも考えられない以上、「もったいない」は、かつて、仏教がその発祥の地、インドで根付かなかったように、必ずや、その言葉の母国によって否定されるでしょう。

(小説家 池田平太郎/絵:吉田あゆみ)

 

 

<編集後記>

・先月の投稿総数=12本

・ブログ=http://blog.goo.ne.jp/tebra/

CATEGORY=おもしろコラム

 

 

 

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11月号の原稿締め切りは10月15日です。

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