おもしろコラム通信12月号 2009.12.03 No.068

 

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血も涙もない狸オヤジ家康の真実

豊臣秀吉の死後、徳川家康はその狡猾な本性を顕わにしそのまま秀吉の遺児・秀頼の生命もろとも豊臣家を紅蓮の炎の中に包み込んでしまうべく、一直線に突き進んだ・・・と言われていますよね。

確かに、秀吉の死後、家康に豊臣家の天下を簒奪(さんだつ)しようという意図はあったでしょうが、そのまま一直線に豊臣家滅亡にまで突っ走ったというのは少し早計に過ぎると思うんです。

人間世界の現実とは、少なからず、過失と錯誤と勘違いが絡まってくるもので、そうそう、後の世の人たちが見るほどに真一文字に進んでいくこともないわけで・・・。

まず、私が指摘したいのが、秀吉の死の2年後に起こった天下分け目の関ヶ原合戦から豊臣家滅亡の大坂夏の陣まで、15年もかかっている・・・という事実です。

これを、「15年もかけた」と見るべきか「15年もかかった」と見るかは判断の分かれるところでしょうが、注目すべきは、関ヶ原合戦のとき、家康は満の57歳だったということ。当時は、「人間五十年」と言われた時代で、実際には明治中期の日本人男性の平均寿命が42.8歳だったことを考えれば、おそらく、実際はもっと短かったと思われ・・・。

つまり、家康がまだ30代だったなら、慎重に慎重に、15年の歳月をかけ、真綿で首を絞めるように滅ぼす・・・という選択も出来たでしょうが、当時としては高齢の57歳であれば、結果を急いだのではないか・・・と。

事実、家康は、この間にたびたび倒れて、意識不明になっているといいますし、「自らの暗殺計画を口実に政権簒奪工作を推し進めた」と言われていることに対しても、政敵・石田三成からすれば、一番早くて確実な政権維持策は家康暗殺であることを考えれば、それは、「口実」などではなく、暗殺計画は実際に存在したと考える方が妥当でしょう。

つまり、病死、事故死、暗殺と、家康がこの後15年以上生きる・・・という確信があったようには思えないということです。

まあ、その辺は家康は人一倍、健康管理には気を遣っていたと言いますし、老いの執念というものの凄まじさだったのかもしれません。ただ、それでも、私には15年もかけなければならない理由がわかりません。なぜなら、それには好事例が有るからです。

それは他ならぬ、秀吉が、主君・織田信長の死後、家康を臣従させ、事実上の織田家からの政権簒奪に成功するまで、わずか4年しかかかっていないという事実です。

しかも、秀吉は少なくとも、自らの手では信長の子孫を誰一人殺していないし、子孫の誰からも叛乱も暗殺もなされず、さらに、信長の嫡孫・秀信は関ヶ原では西軍に付き、徳川方と戦ってさえいます。

これらを勘案すれば、家康には少なくとも当初から豊臣家を滅ぼす意図はなく、孫娘を秀頼に嫁がせるなど共存も模索したが、曲折あって、結果的に滅亡に至ってしまった・・と。(事実、家康は秀頼救出失敗の報に接し、涙して、これを悔いたともいう話もあります。)

家康は、豊臣家滅亡から1年もしない翌元和2年(1616年)に73歳で死去していますが、これを、大願成就したがゆえの安堵感からと見るべきか、それとも、本意と違う形になってしまったがゆえの失意からの死と見るべきかも各人の判断の分かれるところでしょう。

(小説家 池田平太郎/絵:吉田たつちか) 

 

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「ミカンの手」   

晩秋から冬にかけてはミカンのおいしい季節です。ミカンを食べ過ぎると、よく「ミカンの手」と呼ばれるように手のひらが黄色になることがあります。これは、ミカンに含まれるβクリプトキサンチンというカロテンの仲間の色素成分が原因です。βクリプトキサンチンは脂溶性(油に溶けやすい)なので、脂肪細胞に蓄積する性質があります。したがって、手のひらだけでなく足の裏や臓器など脂肪があるところは、やはり黄色くなります。 なお、この黄色くなる現象は一時的なもので、しばらくミカンを食べるのをやめると元に戻ります。

βクリプトキサンチンは、余り聞き慣れない成分かもしれませんが、とても優れた働きを持っています。カロテンの仲間なので、他のカロテンと同様に抗酸化作用を持っていますが、さらに他のカロテン類よりもがんの発症を抑制する効果が高いという特長があります(「発がん抑制効果の高い果実成分」)。この優れた発がん抑制効果は、動物実験でも検証されていて、皮膚がんや大腸がん、肺がんなど様々ながんを抑制することが報告されています。ミカンはがん予防効果の強く期待される食材といえます。

また、ミカンを始めとする柑橘類には、ビタミンCが豊富に含まれていることがよく知られていますが、その他にも食物繊維(ペクチン)やヘスペリジン、シネフリンと呼ばれる機能性成分が含まれています。食物繊維の作用はこれまでに紹介してきた通り、コレステロールの排泄促進や大腸がんの予防効果などが知られています。

ヘスペリジンはビタミンPの一種です。ビタミンPとしての作用の他に、柑橘類に含まれるヘスペリジンには、コレステロール低下作用や骨粗鬆症を予防する効果があることが報告されています (「みかんの皮に含まれるヘスペリジンをご存知ですか? 」)。このヘスペリジンや食物繊維は、果肉よりも袋や白いスジの部分に多く含まれていますので、多少食感は悪くなりますが余りキレイにスジの部分を取り除かないでそのまま食べた方が健康にはよいかもしれません。

シネフリンには、脂肪の燃焼を促進する働きがあり、ダイエット効果が期待されています。またミカンに含まれる食物繊維ペクチンは、すい臓から分泌される脂肪分解酵素リパーゼを抑制して脂肪の吸収を抑制する働きもあり、ダブルの効果でダイエットによいといわれているようです。非常に身近な果物ですが、ミカンは健康機能満載の食品なのです。

(医学博士 食品保健指導士 中本屋幸永/絵:吉田たつちか)

 

 

腎を養う方法

腎を養うためには、足腰を冷やさないことが大切です。温灸の部位として、両腰のベルト部分や、仙骨をよく温めてください。また、腎は耳とつながっていますので、耳を冷やさない養生も大切です。

私は冬場は両耳と百会をすっぽりと覆うほおかむりをして眠っています。邵氏(ショーシ)温灸器で、耳の温灸をすると、とても気持ちがよくリラックスしてきます。

耳は交感神経支配で、あたりの様子や雲行きを察知する力があります。動物も、耳をパラボラアンテナのように動かしながら、危険を察知したり。獲物の方向を探すでしょ?人も悪口を言われたりすると、耳をそばだてますよね?(笑)

耳が冷えると、腎が冷えて生命力のパワーがなくなります。過度の緊張、恐れ、不安といった感情は腎を消耗するので、耳に温灸してリラックスするとよいのです。

食べ物は、黒豆、黒ごま、わかめ、ひじきなどの黒い食べ物が腎を養 います。イカ、タコ、山芋、くるみなどもよいですね。保健室のお勧めは、足腰が冷えて夜中のトイレが気になる方には子羊袋、手足の火照りがあり、熟睡できない方には、亀齢寿がお勧め。老化を防ぎ、ぼけ防止、精力減退防止には、腎精を養う、補精源がよろしいですよ。

(薬剤師、薬食同源アドバイザー 高田理恵/絵:吉田たつちか)

 

ふたご座流星群に友愛の願い

冬のちょうど頭の真上に、明るい白い星とオレンジ色の星が並んでいるのを見ることができます。これはお誕生日の星座にもなっているふたご座の一等星です。白い星をカストル、オレンジ色の星をポルックスと呼びます。

カストルとポルックスは、大神ゼウスが白鳥の姿に変身して誘惑した人間の女性レダが生み落とした卵から現れました。ちなみにこの二人の妹のヘレネは、のちにトロイア戦争の原因になった絶世の美女です。

カストルは馬の名手、ポルックスは武術にすぐれていました。彼らはとても仲が良く、いつも一緒に過ごしていました。あるとき戦いに加わることになり、二人は船に乗り込みました。その船は暴風雨に巻き込まれ転覆しそうになります。それを見かねた神オルフェウスは、得意の竪琴で嵐を鎮めるとともに、二つの明るい星を空に灯しました。それがのちにふたご座の一等星になるのですが、このようないきさつで現れた星々なので、後世までこの二つの星は航海士たちの守護神とされてきました。

その戦いで、カストルは死んでしまいます。カストルは、母である人間の血が濃く、ポルックスは父である神の血が濃かったので永遠の命を持っていたのだそうです。

元々仲の良かった双子だったので、遺されたポルックスはひどく嘆きました。ポルックスは、自分の父親でもあるゼウスに、「自分を身代わりにしてください」と祈りました。ゼウスは、一日交代でどちらかが地上で暮らし、どちらかが天上で過ごすよう計らいました。

これには異説もあり、ポルックスの悲しみに打たれ、ゼウスはこのときに二人を並べて星座にすることで、兄弟姉妹の友愛を空から伝えようとしたのだとも言われています。

毎年12月13日をピークに前後の1週間、ふたご座の方向から流星群が現れます。風邪をひかないように友愛の願いをかけてみてはいかがでしょうか。

(気象予報士・小説家 チャーリー/絵:吉田たつちか)

 

インフルエンザ対策食品

今年もインフルエンザの季節がやってきた。予想通り、新型のインフルエンザが全国で猛威をふるっている。待望されたワクチンも、働き盛りの我々や、元気な若者たちに御鉢が回ってくるまでには、まだ相当に間がありそうだ。そうとなれば、「うがい・手洗い」といった予防策は当然ながら、日頃の食生活で、感染しにくい体をつくることが大切になる。

あちこちにアンテナを張り巡らせて情報収集した結果、「インフルエンザウィルスの増殖を抑える効果」のある食品が存在することがわかった。その中から、優れたものを二つ紹介しよう。

@ 長いも

青森で発表された研究成果で、長いもに含まれる『ディオスコリン』というたんぱく質に、ウィルスを抑える働きがあるという。ただ、加熱すると失活するため、酢の物など、シャキシャキと生で食べるのがよいらしい。食後2〜3時間、口の中に成分が残っている間は、ウィルスが抑制されるようだ。外から帰ったら、うがいに長いも・・いかがだろうか。また、長いもには『ムチン』という、喉・鼻の粘膜を強化する成分も含まれいるので、優秀なウィルス対策食品だ。

A マイタケ

富山で発表されたマイタケの効力。マイタケに含まれる『βグルカン』が免疫力を高め、ウィルスの増殖を抑えるというもの。こちらは熱に強く水に溶けやすいため、味噌汁や鍋物、炊き込みご飯などにして食べると吸収されやすいらしい。これからうれしい冬向きだ。一日100グラム程度(約1パック)が目安とのこと。

量や摂取方法など、あまりにこだわり過ぎると、楽しく食事ができなくなりそうだが、このような研究結果をおおいに活用して、この冬はインフルエンザにかかりにくい体づくりを、是非とも心がけたいものである。

(主婦 作文添削指導員 佐崎 葉音/絵:吉田たつちか)

 

 

 

 

 

<編集後記>

・先月の投稿総数=16本

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