おもしろコラム通信11月号 2011.11.21 No.091

 

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徳川時代から続く現代日本人の就職観

 先日、加藤(清正)家の家臣団の一覧表を見た際、やたらと、「旧OO家家臣」という添え書きが目につくことに気づきました。

 これは、門閥によらない人材登用を推進した織田信長の登場と、その薫陶を受けた豊臣秀吉の勢力範囲拡大に伴い加速度的にそういう風潮が広まっていった結果だと思いますが、その意味では、戦国という時代は実力さえあれば高給に応じて転職し、自らのステップアップを図ることができる「大求人時代」であったと言えるのでしょうか。(その辺を端的に顕しているのが、「武士たるもの七度、主君を変えねば武士とは言えぬ」とうそぶき、最後は伊勢津藩32万石の藩主にまで上り詰めた藤堂高虎の存在かと。)

 ところが、その日本中の流れに染まらなかった異質な集団があります。

「徳川家」です。

 その辺の異質さを示す話として、徳川家康の重臣で秀吉に引き抜かれた石川数正という人物がいるのですが、家康が秀吉に屈して後、秀吉が同じく家康の重臣である井伊直政を大阪に招いた際にそこに数正を同席させたところ、直政は数正を見るなり、露骨に不快感を表し、罵倒した後、そのまま退席した・・・という話があります。

 秀吉にしてみれば、何も、数正を辱めようとして同席させたわけではなく、「知り合いが居た方が直政も気がほぐれるだろう」という程度の配慮からだったのでしょうが、現代の我々日本人の感覚からすれば、むしろ、直政よりも秀吉の感覚に違和感を感じられる方が多いのではないでしょうか?

 その意味では、当時の日本人の就職に対する感覚はむしろ今のアメリカ社会に近かったようで、その辺を端的に表した話があります。

 ソニーの創業者の一人、盛田昭夫氏がアメリカへ進出して間もない頃、これはと見込んだアメリカ人社員に一から仕事を教え、ソニーのノウハウを伝授し、ようやく一人前になった・・・と思っていたところ、その社員はあっさりと高給を提示されたライバル企業に転職してしまい、盛田氏は思わず人間不信に陥りそうになったそうです。

 ところが数日後、あるパーティでばったりその元社員と会ったところ、彼は思いっきり笑顔で普通に「ハーイ、アキオ!」と話しかけてきたのだとか・・・。

 そう考えれば、今の日本人の感覚というのは徳川家の時代が300年近くも続いたことに縛らているということの裏返しであるとも言えるのではないでしょうか。

 つまり、もしも、信長・秀吉の時代がその後の日本のスタンダードになっていたとしたら、パナソニックからサムソンに転職した技術者が他の日本の電機メーカーに再就職できない・・などというような話はなかったのではないかと・・・。

 その意味では、我々は未だに徳川家の時代の「洗脳」から解き放たれていない・・・といえるのかもしれませんがでも、これは無理もない話であって、秀吉没後、忠君報国の価値観は帝国日本にも受け継がれたことを考えれば、実際には350年、そういう価値観の時代が続き、対してその価値観に縛られなくなってからはまだ65年程度しか経っていないわけで。

(小説家 池田平太郎/絵:吉田あゆみ)

 

 

 

心臓のポンプ力を助ける  

 秋がだんだんと深まり、本格的な冬がすぐそこにまで来ています。血液を循環させる働きを担当しているのは、五臓の中の心であり、心気と心陽が大きく関わっています。

 心気とは血を全身に巡らせる先導役となる気のことをいい、心陽とは血液を巡らせることにより体を温める作用のことを指します。

 外気温が下がる・・・寒邪が支配する季節は、体も血管も縮こまり、血液の流れが細くなります。特に手足の先は心臓から最も遠い末梢で、ポンプ力が弱いと手足は冷えてむくみやすくなります。

 足先が冷えると、冷たい血液が子宮や内臓を通って心臓に戻らねばならず、体は中から冷え切ってしまいます。

 冬場の心臓を助ける方法は足の筋肉を鍛えることと、足元を温めることです。

 特に座りっぱなしや立ちっぱなしの姿勢の方は、こまめに「かかと上げ下げ運動」や「足首回し」「足の雑巾絞り風マッサージ」、「足首でお尻たたき運動」をすることで、足の筋肉が第二のポンプとなって、末梢血を心臓に返してくれます。こうすることで、心臓への負担は大きく減らすことが出来るのです。

 また、足を冷やさないようにレグウォーマー等で温める工夫をしてください。足湯が出来れば一番よいですが、可能でない場合は、温かいペットボトルやユタンポで太ももの内側を温めましょうね。

(薬剤師、薬食同源アドバイザー 高田理恵/絵:吉田あゆみ)

 

冷凍食品中心にする企み、失敗

 部屋の大家さんが、日本から来たばかりで心細いだろうと自宅に招待してくれました。超美人のフランス人の奥さんとやさしげなご主人。これぞフランス家庭料理というのを出してくれ・・・

前菜はバルコニーで、メインはダイニング、デザートはソファー

といちいち移動!オシャレな気がするが、毎日はちょっと無理!

会話は英語とフランス語のチャンポン。両方わからない私は微笑みながら食べるのに尽力。

「フランス人はヴィトンを買わないのよ!ブランドものを持たないのがカッコイイの!」

と奥さんが激しい口調で言っていたのだけわかりました。

とりあえず日本人代表して謝っておこう・・・

 で、そんな大家さんが教えてくれたのが、「とっても安くて味がいい!」という「PICARD」冷凍食品専門店。

 ご飯作りに早くも行き詰まっていたので早速行ってみると、冷蔵庫しかない店内。店内音楽など一切無し、近未来の世界に来たみたいです。

 かなりの種類の多さ。海鮮・野菜のきったものの他、スプーン乗せ前菜、グラタン、煮物、炒め物、ピラフ、ピザ、フォンダンショコラなどあらゆるデザート・・・そして発見したのが、来ましたジャポネエリア。

 ラーメン、焼き鳥と並んでいたのが・・・・BENTO!

内容を見てると、焼き鳥、餃子、酢飯・・・ん?酢飯?さらにその上にあったのが、SUSHI。 

日本人への挑戦状と受け取ります!で、勢い余って買っちゃって、あけてみると。まー かちかちですよね。消しゴムみたいです。我々日本人はあったかいお寿司なんか食べないよ~?

 馬鹿にしながら説明書きを読んでみると、「1分30秒レンジで温めて、その後冷蔵庫で15分冷やす」

冷凍をあっためてまた冷やす!考えましたねー

 1分半ではまだ凍っていたサーモンも、冷蔵庫から出したころには柔らくなって絶妙な冷たさ。やりおるのう、と口に入れると・・

うーん?米がギュウギュウ。魚の味がするようなしないような。でもサーモンが好きな人ならイケるかな・・・

確かに寿司ではあると認めてもいい!

 

 

 

一方、酢飯弁当は、もちろん冷蔵庫で冷やさず、あったかいまま頂くわけですが、酢飯があったかくなって酢のにおいがツーン。

何かの汁にたっぷり浸かっている鶏肉はノンジューシー。一緒に食べたら酢豚風とも言えるかもしれません。餃子はニラの代わりになんの香菜を入れたのか、異常な臭み。酢飯と混ざり合わない事この上なし、口の中がしっちゃかめっちゃか。舌が新たな化学反応に対応しきれていない様子。その後何時間も口の中に違和感があり、クレームブリュレを突っ込んでも、アイスクリームとぶっ込んでも、口が困っている・・・かわいそうに・・・

 なぜか喉が渇いてたまらないよ!ヴォルヴィック1、5ℓはいりまーす。

 美食の国フランス、不得意分野見破ったり!そしてこれからの食事を冷凍食品中心にする企み、失敗!

(フランス在住 コラムニスト ヨシノアイコ/写真共)

 

 

縄文時代に想いをはせて栗を食す

 栗きんとんに栗羊かん、モンブランにマロングラッセなど、秋の味覚のひとつである栗を使ったデザートが店頭に並んでいます。太ると分かっていても、旬の果物を使ったデザートには、つい手が伸びてしまいますね。

 デザートだけではなく、栗はお米と一緒に炊きこんで栗御飯にしたり、広東料理では鶏肉と一緒に炒めたりもします。そのように私達が栗を食べ物として味わうようになったのは、はるか縄文時代の大昔からだそうです。

 青森県にある縄文時代の集落跡の三内丸山遺跡。そこから大量に栗が出土しました。調査により、この集落では栗を主食にしていたことが解りました。そして、それらの遺伝子を調べると、構造が似通っていることも発見。これは縄文時代の人々がいい品種の栗だけを選んで育てていたことを意味しています。約五千年も前から美味しい栗を沢山食べるために栽培をしていたなんて、驚くばかりです。

 栗は食べるだけではなく、木は家の柱にも使われました。水に強く耐久性に富むので、現在でも栗の木は無垢フローリング材やテーブルなどの家具に使用されています。そして、鉄道のレールの下に敷く枕木にもなりました。残念ながら害虫の被害によって栗の木の減少したことから、最近の枕木はコンクリートに取って変わってしまいました。しかし、一部のローカル路線では栗の木で作られた枕木が今でも残っていて、昔ながらの風情をかもしだしています。

 イガイガした実から現れる丸いフォルムの茶色い栗。皮をむいて調理すれば、黄金に色づきます。口の中でホクホクと優しい甘さが広がる時、縄文時代の人々も同じようにこの栗を食べていたのだなと当時の様子を想像すると、味わいも一層深いものになりますよ。

(小説家 華山 姜純/絵:吉田あゆみ)

 

 

 

イチョウの効用

 長かった夏も終わり、やっと秋らしくなって来ました。もうすぐ紅葉のシーズンを迎えますね。そこで、今回は紅葉する代表的な植物イチョウの黄葉(こうよう)と効用について紹介いたします。

 紅葉する植物といえば、もみじとイチョウの鮮やかさは双璧をなすのではないかと思いますが、もみじが紅色に色づくのに対しイチョウは黄色に紅葉します。このことからイチョウが紅葉するという場合、紅葉ではなく「黄葉」という字をあてることもあります。イチョウが黄葉するのは、カロテノイドという色素が原因です。この色素は、青葉のときにも含まれているのですが、緑色の原因となる色素クロロフィルの量が青葉のときにはカロテノイドよりも相対的に多いため、全体として緑色に見えます。しかし葉が老化してくると緑色のクロロフィルの方が早く分解されてしまうために、今度はカロテノイドによる黄色が目立つようになり黄葉するというわけです。なお、もみじの紅色は別種の色素アントシアニンという成分によるものです。

 さて、「効用」の方ですが、イチョウは葉にも実にも優れた薬効があります。まず、実の方ですが、薬用部位は種子部分で銀杏(ぎんなん)と呼ばれています。専ら茶碗蒸しの具に用いられることの多い食材ですが、強壮強精作用や抗利尿作用、鎮咳去痰作用などがあると言われています。

 ただし、銀杏の多食は禁物です。一般には余り知られていないようですが、ビタミンB6の働きを阻害するギンコトキシンと呼ばれる中毒成分が含まれていますので注意が必要です。ビタミンB6の働きが阻害されると痙攣などを起こしたり、量によっては死に至ることもあります。子供なら5個、大人でも10個程度までにとどめておいた方がよいようです。

 一方、イチョウ葉には血液凝固を抑制して血流をよくする働きがあり、認知症改善、記憶改善、脳機能障害の改善、抹消血流改善作用などが期待されています。実際に、ドイツやフランスでは医薬品として認可されているようです。多彩な機能性を有するイチョウ葉ですが、イチョウ葉にもいくつか注意を要する点があります。

 まず、イチョウ葉エキスは血液凝固を抑制しますので、他の血液凝固を抑制する医薬品やハーブなどと併用すると、相互作用によって出血を起こしやすくする危険性があります。それらの医薬品等を服用中の方は、是非、医師にご相談ください。

 また、イチョウ葉にはアレルギー物質であるギンコール酸が含まれており、イチョウ葉からエキスを抽出しようとすると通常はギンコール酸まで抽出されてしまい、そのままでは摂取することができません。摂取するにはギンコール酸を除去する必要があるのですが、ご家庭でギンコール酸を除去するのは困難です。きちんと除去処理のされた市販品を入手されることをお勧めします。

(医学博士 食品保健指導士 中本屋 幸永/絵:吉田あゆみ)

 

 

<編集後記>

・先月の投稿総数=11本

・ブログ=http://blog.goo.ne.jp/tebra/

CATEGORY=おもしろコラム

 

 

 

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12月号の原稿締め切りは11月13日です。

*特に季節を織り込んだコラムについては、翌月を想定して投稿ください。

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