おもしろコラム通信 2月号 2008.2.08 No.046 |
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腹帯の大切さ(さらしによる帯脈調整法) 先日、ある助産師さんとお話する機会がありました。 最近の若い女性は、足元や首筋を冷やしすぎていて、とても心配になるね・・・というような会話から始まり、不妊症や難産の女性が増えているお話になりました。 私が「骨盤の形と安産には相関性がありますか?」とお尋ねしたところ「勿論あります!あなたは安産型よ!」と・・・(苦笑) ところが私は48時間も苦しんだ難産だったので、そのいきさつをお話してみました。 実は、8ヶ月の時に、ひどい咳風邪をひき、お薬も飲めないし、毎日咳き込んでいるうちに、どんどんと赤ちゃんが落ちてきて、腎臓を圧迫し、ひどい中毒症が出たのです。 そこで、右手から陣痛促進剤を点滴し、左手からは降圧剤を点滴しながらの大変な出産となりました。 産後は急性のリウマチで丸1年寝込みました。そして骨盤が拡がっていたため、子宮脱がおこり、お産にまつわるあまりの苦しみに、二人目は断念しました。 すると助産師さんは「あなたは、さらしの腹帯をしていなかったでしょ?!」と言われました。確かに私は、面倒なのでさらしは巻かずに流行りの簡易式ソフト腹帯をしていました。 助産師さんによると、さらしの腹帯を正しい巻き方で巻くと、お腹と腰回りをしっかり固定し、早産を防ぐばかりでなく、中毒症の予防、 さらには出産によるリウマチ等の免疫性疾患、産後の様々なトラブルから、更年期症状まで予防することができる!とのこと。 私はこれにはとても説得力を感じました。 さらしとは、つまり奇経八脈の帯脈です。 子宮脱や帯下、上熱下寒(上がのぼせて、下が冷える)の女性特有の症状は、帯脈の緩みが関係しています。 中毒症にしても、帯脈が緩み、赤子の頭が母親の腎を圧迫したのが原因ですし、腎に極度のストレスがかかったことで、免疫性の疾患であるリウマチが発症したのだと考えられます。 そして助産師さんは、「もしもあなたがさらしの腹帯をきちんと締めていたら、何のトラブルもなく2人でも3人でも出産できたわよ。」と、おっしゃいました。 そして、これから出産される方にアドバイスできるよう正しい腹帯の巻き方を教えてくださいました。 私はここから大きなヒントを得て、産後の子宮脱等のトラブルに悩む方、リウマチ疾患、更年期症状やパニック症の方に、さらしによる帯脈調整法を提案してゆく考えでおります。 (薬剤師、薬食同源アドバイザー 高田理恵/絵:吉田たつちか)
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遊びをせむと生まれける 私が二十代の頃、阪急の創始者にして、天才的なアイデアマン社長と言われた小林一三翁の伝記を読んだことがあります。 翁の独創的な事業の多くは、当時としては驚くほど斬新なものであり、駅のターミナルデパート、鉄道沿線での住宅分譲など、今となっては当たり前の事業になっている話もこの人が始めるまでは誰も思いもつかなかったわけですから、その力量のほどがわかります。 伝記の中で、小林翁の卓見がどうしても、理解できない箇所がありました。 それは、世界恐慌の頃、世の中が絶望的なまでの不況のどん底にあるときに、娯楽産業に進出したことでした。 曰く、「人々は、不況になればなるほど、娯楽を求めるようになる」ということだったのですが、私の考え的には、「不況になればなるほど、娯楽など、生活に関係のない部分は真っ先に切りつめられる」・・・というものでした。 飯は「金がないから食うのをやめよう」というわけにはいきませんから、人々は、金がなくなれば娯楽を削ってでも衣食住などの最低限の出費に当てようとするはずだ・・・と。 しかし、史実は、やはり、当然ながら、小林翁の方を支持したようで、ふたを開けてみれば、このとき、宝塚や東映など、翁が手がけた娯楽産業は大不況にもかかわらず大盛況だった。 このことは、長く私の中に引っかかっていたのですが、最近、そのことを思い出させる一文に出会いました。 先般読み終えた、渡邊行男著「緒方竹虎 リベラルを貫く」という本の中で、太平洋戦争直後について記した部分です。 曰く、『九月二日朝、重光・梅津の両全権はミズーリ号に至り、歴史的な降伏文書に署名した。重光 葵は命を賭す思いの短歌を残している。 「ながらへて 甲斐ある命 今日はしも しこの御楯と 我ならましを」。 だが、当時の庶民の感覚とは違うようでした。 徳川夢声の日記によると、「降伏調印式の、東京上空を無数の米軍機が飛んだ。威圧のためだろうが壮観だったので、子供らを呼んで二階で眺めた。新宿はどの劇場も満員、殊に『太閤記』を上映している帝都座の入りは大変らしい。角を曲って一丁ぐらい列が続いている。私の出演している松竹館も、三階まで人が詰まった。…観客は殆んど全部、若い男である。 落語を聴き、私の漫談を聴いて、朗らかに笑っている」庶民は終戦直後から平和を楽しんでいる姿を伝えている。 』と。 生活が厳しいからこそ、人々は娯楽を求める・・・。 この一見すると、矛盾するような世相が起こるということは、即ち、「遊びをせむと生まれける」ではないですが、つまりは、人は何のために生きているのか・・・という、人だけが持つ生きることに対する目的意識の是非にまで踏み込むことなのかもしれません。 (小説家 池田平太郎/絵:吉田たつちか) |
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体に悪い油 米国では、すべての食品にトランス脂肪酸の含有量の表示を義務付けられ、ニューヨークでは、レストランやファーストフードなどの店でトランス脂肪酸を含む油の使用が禁止されました。 トランス脂肪酸は、悪玉コレステロールを増やし、心臓病や動脈硬化のリスクを高め、アトピー性皮膚炎やガン、またはアルツハイ マー症をも引き起こす原因と言われている有害な不飽和脂肪酸のかたまりです。 水素を添加して工業的に作られるマーガリンやショートニングが代表的ですが、 トランス脂肪酸が含まれる油は、価格が安く、長期間の保存が可能なことや、揚げ物やクッキーなどがサクッと美味しく仕上がることからフライドポテトやフライドチキン、スナック菓子など身近な食品に使用されています。もちろん、トランス脂肪酸だけでなく、喫煙や運動不足など様々な生活習慣が病気の原因となりますが、健康維持のため体に悪い油を避けることも大切な心がけのひとつなのかもしれません。 (アメリカ東海岸在住、フラウ山田/絵:吉田たつちか) |
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川中島の決戦を動かした霧 武田信玄と上杉謙信が幾度にもわたって死闘を繰り広げた川中島。その中で、霧が、「動かざること山の ごとし」と言われた武田信玄を動かしたいくさがある そうですが、さて、霧とは一体なんでしょう? 「霧」と似たものに「靄(もや)」があります。その 違いを気象庁では、「1km未満のものが見えなくなる (=視程1km未満になる)現象を「霧」、それ以上な らば「靄」と定義しています。 一般的に霧は、その発生する要因によって6種類に分けて考えられています。 まずは「放射霧」。「放射冷却」といって、風のない夜間から明け方にかけて、地表の熱が放射していく ことにより、地表の気温が下がって発生するものです。 次に「移流霧」。これは、温度の低い地面や海面 に、暖かく湿った空気が流れ込んでできるものです。普通、「海霧」と呼んでいるものはこれに当たります。 そして「蒸気霧」。これは「移流霧」の逆です。暖かい水面に冷たい空気が流れ込んだときに、水面から水蒸気が蒸発し霧になるものです。「川霧」がこれにあたり、川中島の決戦を動かした霧も、これではないかと思われます。 さらに「前線霧」。特に温暖前線にともなって発生するものをいいます。温暖前線付近では上層には暖気、下層には寒気があります。それらが前線面で蒸発や凝結を繰り返し、霧を発生させるのです。 そして、前線とまではいかなくても、気温の異なる湿った空気のかたまりがぶつかり合うときにも霧は発生し、それを「混合霧」と呼びます。 最後に、「滑昇(上昇)霧」。湿った空気が山の斜面や温暖前線面をはい上がるときに発生するもので、 「山霧」がこれにあたります。 (気象予報士 チャーリー/絵:吉田たつちか) |
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スーパーおばあちゃん 先日、友人の紹介でニュージーランド人男性が経営する日本風居酒屋に招待してもらった。 本当の日本食が食べられる純和風な居酒屋だが、夜には生のジャズ演奏が始まり、テーブルや椅子などもお洒落な黒と白で統一されており上手い具合に和と洋で調和されている居心地の良い居酒屋だ。 私が食事に行った日は、日本人の客層が少なく、 ニュージーランド人やアイランダーと呼ばれる太平洋の島々出身の人達や、アフリカ人、インド人で賑わっていた。その中に一人でカクテルのグラスを傾ける白髪のおばあちゃんが私の目に留まった。そのおばあちゃんは赤い花柄のワンピースに、少し高いヒールのサンダル、ゴールドの小さいハンドバッグを肩からかけて、小さい肩を揺らしながらジャズのリズムに合わせて楽しそうにしている。 話を聞くとそのおばあちゃんはイギリス出身の85歳だそうだ。小柄で細身のおばあちゃんはお化粧もキッチリ、綺麗な顔立ちは華やかな装いに負けていなかった。そんなおばあちゃんは、 みんなの人気者で、店を訪れる人ひとりひとりがおばあちゃんと面識があり軽く挨拶をかわしている。 そんな中、ジャズのムードがのってきたところで、おばあちゃんは一人のインド人とダンスを始めた。しばらく踊った後相手が代わり今度はアフリカ人の男性とダンスを楽しんでいる。そんな 姿を何十分眺めていただろうか。この瞬間にピッタリ なBGM;ジョンレノンのイマジンの歌詞が脳裏に浮かび、平和な気分に浸っていた。こんな多国籍な居酒屋で色々な人種が入り混じる中、差別や偏見も無く、ただこの時を楽しんでいる。 私は食事をするのも忘れ、この心地良い雰囲気の中で物思いに耽っていた。そんな時、そのおばあちゃんが私に声をかけてきた。「もしよかったら私の隣に座ってくれない?お話でもしましょうよ。」とても品の良い喋り口調がお洒落な外見と比例していた。一緒に飲みながらのんびり話ができれば最高だったが、最終電車の時刻までまもなくだったため、後ろ髪をひかれる思いでその場を後にした。 電車に揺られながらこのバーでの出来事を色々思い出 し、胸の中がなんだか温かくなっていた。どうやら私はすっかり素敵なおばあちゃんの大ファンになってしまったようだ。高齢のお年寄りがいつまでも若い気持ちを持ち続け、精神的にも肉体的にも活力がある様子を見かけると、自分がとても小さな人間のように思える。些細な事でくよくよし、どうでもいいことに腹を立て・・・。この日は自分自身を見つめなおし、反省する良い機会となった。 わが国日本にも沢山の元気なお年寄りが人生を楽しんでいる。みなさんもご存知の通り、日本では60歳で再び生まれ年と同じ干支年になることを祝う還暦の儀礼がある。その際、赤いちゃんちゃんこ等を贈る習わしがあるが、その日を境に赤ちゃんに還るという意味を兼ねて、「生まれ変わった気持ちでますますお元気で。」と願いを込めて赤い品を贈る。 しかし、赤ちゃんに還るという謂れは、よく考えると とんでもない失礼な話だ。私達若者からしたら大先輩にあたる存在である。「若い人から元気をもらって頑張ろう。」とお年寄りがよく口にするのを耳にするが、反対に私達もお年寄りから勇気付けられたり、パワーをもらったりしているはずだ。私はそんな人生の大先輩から少しでも多くの事を学んでいきたいと思う。そして器の大きな人間に成長していきたい。 (ニュージーランド在住、Reeoko/絵:吉田たつちか) |
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<編集後記> ・先月の投稿総数=7本 ・ブログ=http://blog.goo.ne.jp/tebra/ CATEGORY=おもしろコラム
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