おもしろコラム通信8月号 2009.8.09 No.064

 

おもしろ通信は、おもしろコラムに登録済みのコラムニストが登録時に記したメールアドレスに無料で配信しています。

おもしろ通信発行月の前月によせられたコラムの内、採用されたものを絵入りで掲載しています。

当該コラムの内容を無断で他に使用・転用することを禁じます。

 

藤原泰衡の決断   

歴史上、さまざまな場面でさまざかに決断を迫られた人々・・・、成功すれば英雄となり、失敗すれば愚物となる。

第二次大戦中、ドイツ軍の作戦指導にことごとく容喙したヒトラーの弊害を批判する声がありますが、しかし、戦局が悪化した後はともかく、当初はむしろ、目前の作戦指導のみしか見ようとしない軍人たちに対しヒトラーは、「彼らは、まったく、戦時経済というものがわかっていない」と嘆息したとか。

つまり、戦争を遂行するためには戦闘だけではなく、資源や食料の確保といった戦争全体を考えなければならず、その意味では、ヒトラーのそれは必ずしも的外れでもなかったわけで、そのことは、同時期に大陸の反対側で攻勢をかけていた日本軍の極端な補給軽視姿勢を見れば納得できるものがあるでしょうか。

その意味で、判断としては、決して、間違っていなかった・・・、私もその立場にいたら同様の判断を下した・・・と思えるもので、かつ、それが、最悪の結果に終わってしまったという例がひとつだけあります。

それが平泉中尊寺の金色堂で知られる奥州藤原氏最後の当主藤原泰衡の決断です。

まず、藤原氏は、泰衡の父、三代秀衡の晩年に、平氏討伐に目覚ましい活躍を見せた源 義経を保護し、その異母兄、源 頼朝と対決姿勢をとっています。

ところがまもなく、秀衡が死に、泰衡が家督を継ぐと泰衡は頼朝の圧力に屈し、義経を殺害したばかりか、義経擁護派であった二人の弟も殺し、頼朝に対し恭順の意を示すも、頼朝はそのまま奥州に攻め込んで、泰衡は逃亡中、家臣に殺され藤原氏は滅亡する。

初代清衡以来三代に渡って栄華を誇った藤原氏を、秀衡の死藤原泰衡の決断後、わずか2年で滅ぼしてしまったことで、史家の泰衡を見る目は冷たいものがあります。

しかし、私には泰衡の決断は必ずしも間違っていたようには思えないのです。

すなわち、藤原氏は義経を擁していたとしても、果たして戦って勝てたのか・・・という点で。

 

まず、藤原軍は、源平争乱を戦い抜いてきた源氏の精鋭と違い、約五十年にわたって戦争を知らず、おそらく戦争経験がある将兵は皆無だったでしょう。

そして何より、藤原氏は、奥州17万騎と号したものの、おそらく、実態は相当に水増しされた数字であって、兵力という点で、まともに戦えるレベルにはなく、その為、藤原氏は初代清衡以来、中央政府に対し、徹底して、追従外交に終始して、決して、全面戦争の口実を与えていません。

秀衡が死に臨んで、息子たちに「今後は義経を主君として仕えよ」と遺言したことも、あくまで、源氏同士の内輪もめという形にして、決して、中央政府対藤原氏という形にしてはならないという認識があったからだと思います。

さらに、義経の軍才と藤原氏の兵力が結びついたことで頼朝も迂闊に手が出せない・・・といっても、この微妙なバランスがいつまでも保てたかという点も疑問で、それを国是とするのは大変、危険なことだったでしょう。

それらを勘案すれば、藤原氏は、徹底して頼朝に討伐の口実を与えるべきではなかったのでしょうが、奥州に近い鎌倉に政権が成立した以上、かつてのような遠交近攻外交が通じない時代が来たということであり、いずれにしても難しいところだったでしょう。

(文:小説家 池田平太郎/絵:吉田たつちか)

 

 

茶畑の北側に生えていた   

普段からお茶をよく召し上がる方の中には「やぶきた」というお茶の品種の名前を聞いたことがある方も多いかもしれません。

この品種は静岡県の篤農家・杉山彦三郎により選抜され、今や全国の作付面積が7割を超えるまでに普及した煎茶の超優良品種、皆さんの召し上がっているお茶の中にもかなりの割合で使用されていますので、口にしたことがある方もたくさんいらっしゃるでしょう。

それではよく耳にする「やぶきた」の名前の由来というのをご存じでしょうか?実はこの名は杉山翁により「竹藪(やぶ)を切り開いて作った茶畑の北(きた)側に生えていたから」という驚くほど単純な理由で命名されたのだそう。

数あるお茶の名前も、人の名前と同様に多くはきちんと由来があるもので、その名付けの一定の法則を知ってみるとお茶をもっと身近に感じられるかもしれません。まず一つは先の「やぶきた」のように育成の場所やその樹の特徴などから命名されるもので、例えば狭山(埼玉県)で育成され強い香りを持つ「さやまかおり」や静岡で育ち香りの優れた「香駿こうしゅん‐」などがあります。静岡の旧国名である駿河から一文字を取って[駿河の香り]の意というわけです。

他にはその品種が何のお茶用に育成されたかによる名付けもあります。「かなやみどり」など、[みどり]がつけば緑茶用品種抗アレルギー効果が期待される注目品種の「べにふうき」のように[べに]がつくなら紅茶用、と知ることができます。また、名前からその品種の性質を知ることもできます。「やぶきた」のように育つ速さが標準的な中正品種に対して、早く収穫できるものを早生(わせ)、遅いものを晩生(ばんせい・おくて)といいますが、このことを踏まえると「おおいわせ」は早く新芽が出る早生品種、「おくゆたか」は遅く芽が出る晩生品種、と読み取ることができます。

このようにお茶の品種の名は、樹の性質、特徴や、地名等を組み合わせたものが多いのです。最近は名付けも多様になり決してこれまで述べた限りではありませんが、この前飲んだ美味しいお茶がどこで生まれたどんなお茶なのか、名前の由来という新しい切り口からももっとお茶の世界に親しんでみてください。

(文:日本茶インストラクター 現庵/絵:吉田たつちか)

 

3つの一等星が「夏の大三角」

七夕というと七月七日。なぜなら、彦星さまと織姫さまが一番近くに見られるから、なのですが、これは旧暦の話。2009年では旧暦の七夕は8月26日に当たるほど、新暦との差があります。

西洋の星座では、彦星はわし座のアルタイル、織姫はこと座のベガ、天の川を渡る二人の橋渡しをするのは「北十字」という異名を持つはくちょう座のデネブと呼ばれ、奇しくもこの3つの一等星が「夏の大三角」と呼ばれています。

わし座は、大神ゼウスが変身した姿だと言われています。はくちょう座もゼウスが変身した姿だという説やわし座に関係する琴の名手オルフェウスが死んだあとそのまま星座になってこと座のそばにいるなどの説があります。

さてこと座の由来ですが、この琴は元は音楽の神アポロンのものでした。しかし、その息子のオルフェウスがあまりに琴が上手なので父から息子へと譲られ、オルフェウスは琴の名手として有名になりました。オルフェウスにはエウリュディケという妻がいました。

しかし彼女は毒蛇にかまれ、若くして死んでしまいます。オルフェウスはあきらめきれず、妻を死者の国から出してもらうよう冥土の神プルトンに頼みます。プルトンはその熱意に打たれ、彼の要求を飲みますが、一つだけ、「地上に出るまで妻を振り向いてはいけない」という条件を出します。しかしオルフェウスは妻の顔を少しでも早く見たいと焦り、つい振り向いてしまいました。するとエウュディケは元の地底深くへ吸い込まれてしまいました。妻を完全に失ったオルフェウスは失意のうちに世を去り、その死を悲しんだゼウスが、オルフェウスを天上に迎え入れたと言われています。オルフェウスは「オルフェ」とも呼ばれ、この物語はのちの世でも多くの作品の題材とされています。

(文:気象予報士・小説家 チャーリー/絵:吉田たつちか)

 

血を増やす養生法 

老化を防止するために、血を増やす養生法として@血の無駄遣いを減らすことA血の原料になる食べ物を選ぶことB効果的に血を作る養生の三つがあげられます。

1、血の無駄遣いを減らす

血を大量に要求する器官は、脳と目です。長時間のパソコンワーク、暗がりでの読書、車の運転などは、大量に血を消耗します。必ず1時間に一度は休憩をとり、目を休めてください。

また、受験勉強などの脳を使う作業は激しく血を消耗します。勉強をしすぎて、女性では血が足りなくなり、月経が止まってしまうこともあります。脳を使ったあとは、血を作る食材をたっぷり摂る必要があります。勉強だけでなく、取り越し苦労やクヨクヨと思い悩むと、どんどん血を消耗してしまうのでご注意ください。    

2、血の原料になる食材

・色の濃い野菜=人参、ほうれんそう、小松菜、キンシンサイかぼちゃなど

・黒い食べ物=黒豆、小豆、黒ごま、木耳、椎茸、ひじき、プルーンレーズン

・海産物=イカ、タコ、マガツオ、赤貝

・肉類=豚レバー、豚のハツ、豚足

・その他=ピーナツ

3、効果的に血を作る養生

摂った栄養を血肉に変換する役目は脾にあります。脾を傷めない養生が大切です。ひとつには、食べ過ぎを避けて、腹八分を心がけること。そして、冷たい水分の一気飲みは、やめましょう。イライラ、カリカリ、ウツウツすると。脾を傷つけます。マイナス感情はすべて自分に返ってくるので、ご注意くださいね。そして午後十時から午前二時の間に熟睡していることが大切です。

(文:薬剤師、薬食同源アドバイザー 高田理恵/絵:吉田たつちか)

 

スープの効用 

野菜不足解消の対策として、最近、野菜スープ作りを始めた。日々の食事を見直してみると、気をつけているつもりでもやはり野菜不足になっている。スープの利点は、野菜の栄養をゆで汁と一緒に流すことなく取ることができること、加熱することで生野菜サラダよりもたくさんの量が食べられ、温かいスープを取ることで冷え性の改善にもなったりと、本当に良いことづくめなので是非おススメしたい。

食材を炒める油をオリーブオイルにしてチキンスープ仕立てにしてみたり、ごま油と鶏がらスープで中華風にしたり、具だくさんの味噌汁にして和風に・・・などアレンジも自在。

スープの中に肉団子などを入れ、おかずスープにしてメインのおかずにしたり、帰宅の遅い家族向けにスープに麺を入れて夜食にしてもおいしい。

夜に多めにスープを作っておけば、朝食の支度だってグンと楽に!我が家では夜の野菜スープに半熟ゆで卵を入れて朝食に食べることにしている。スープに合わせて、主食をパンやごはん(おにぎりなど)に変えてバリエーションも自在なので、ワンパターンな食事を解消でき家族からも好評だ。

最近の私のお気に入りは、「冷蔵庫の残り野菜ミネストローネ」である。勿論、家族にはこんな言い方はしない(笑)冷蔵庫に半端に野菜を余らせて、知らぬ間に駄目にしてしまう・・・という方は是非、スープにしていただきたい。半端に余った野菜やベーコンなどをオリーブオイルで炒め、今が旬のトマトを加え、煮詰めていきます。適量のブイヨンなどを加えあとは煮込むだけ。ボリュームを出したいときはミックスビーンズや雑穀などを加えてみると栄養価もUP!

野菜をたくさん取れるので、食べ過ぎも防げてメタボ改善、食材の無駄を省けて家計もスリムに。本当にスープっていいことづくめなので、おススメですョ。

(文:主婦 ナナ/絵:吉田たつちか)

 

7月新規登録のコラムニス

 

 

 

 

<編集後記>

・先月の投稿総数=10本

・ブログ=http://blog.goo.ne.jp/tebra/

CATEGORY=おもしろコラム

 

 

 

*今月採用された方(上記挿絵入りのコラム)には掲載ニュースレターと稿料として5千円分のクオカードを7月15日に発送しますのでお受け取りください。

*投稿いただいたコラムが,編集部の都合により、後日採用になる場合があります。この場合の稿料は採用月に支払われます。

 

おもしろコラム

http://omosiro-column.com/

(有)日本ジャーナル社「暮らし〜」編集部

東京都武蔵村山市大南5-8-1

TEL 042-563-6961 FAX 042-563-0277

e-mail   atec@inv.co.jp