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食と健康、医食同源の食文化

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(絵:吉田たつちか)

「医食同源(いしょくどうげん)」という言葉をご存知でしょうか。日々の食事も、病気を治す薬も、源(みなもと)は同じであるという考え方です。
 私たちは食べたもので作られています。体調が優れないとき、つい薬に頼りたくなりますが、まずは「今の自分に必要な食材は何か?」と台所で立ち止まってみる。そんな、自分を労わる食の知恵をご紹介します。

1) 季節と体調に寄り添う「医食同源」の知恵
 私たちの体は、気候やストレスの影響をダイレクトに受けています。シーン別に、おすすめの食材をまとめました。
●疲れが取れない、元気が出ないとき
 エネルギー不足のときは、胃腸に負担をかけず、効率よく活力を補う食材が最適です。
・おすすめ食材: 山芋、かぼちゃ、鶏肉、玄米
・ポイント: 山芋は「山薬(さんやく)」とも呼ばれる滋養強壮の味方。すりおろして温かいスープに入れると消化も良く、じんわりと元気が湧いてきます。
●イライラする、目が疲れているとき
 ストレスフルな毎日は、東洋医学でいう「気」が滞っている状態です。
・おすすめ食材: セロリ、香味野菜(シソ、パセリ)、青魚、クコの実
・ポイント: 香りの強い野菜は、滞った「気」を巡らせてくれます。セロリの浅漬けやシソを添えた料理で、リフレッシュを図りましょう。
●手足が冷える、血行が悪いとき
 冬だけでなく、冷房や冷たい飲み物で「冷え」を感じる現代人は多いものです。
・おすすめ食材: 生姜、ネギ、ラム肉、黒豆
・ポイント: 生姜は加熱することで体を芯から温める成分に変わります。味噌汁に少し生姜をすりおろすだけで、立派な養生食になります。

2)台所にある「自然の薬箱」
 特別なサプリメントを用意しなくても、身近な食材には驚くべき力が秘められています。そんな食材と、期待できる効果、おすすめの食べ方などを紹介しましょう。
・大根: 消化促進・解毒、食べ過ぎた翌日の「大根おろし」など。
・納豆 :血液サラサラ・腸内環境、毎日の朝食に(発酵食品の代表格です)
・梅干し: 疲労回復・殺菌、お疲れの時の「梅粥」や「梅白湯」
・はちみつ: 喉の潤い・殺菌乾燥する時期の「はちみつレモン」 (ただし一歳未満の赤ちゃんは、腸内環境が未熟なため厳禁。命にかかわります)

3)大切なのは「おいしく、楽しく」
 「これを食べなきゃ」と義務感に縛られては、心が疲れてしまいます。医食同源の本当の豊かさは、自分の体の声を聞くことにあります。
 「今日はなんだか喉がイガイガするから、大根を多めに食べようかな」「最近頑張りすぎたから、温かいスープで体を緩めよう」そんな風に、食材と対話するように選ぶ一皿が、最高のお薬になります。
 忙しい毎日だからこそ、一口一口を大切に味わう。その心の余裕が、真の健康への第一歩です。
 もう一つ大切なのは、完璧を目指さないこと。健康のために我慢ばかりの食事は、長続きしません。たまのラーメンも、ケーキも、心を満たす立派な「栄養」です。
 医食同源とは、ストイックな修行ではなく、自分を大切に扱う習慣なのだと思います。
 結局のところ、特別なことは必要ありません。
・温かいものを食べる
・よく噛む
・食べ過ぎない
・「おいしい」と感じる
 この積み重ねが、数年後、数十年後の体をつくります。
 私たちは、今日食べたものでできている。そう思って食卓を見ると、少しだけ世界が変わって見えるかもしれません。食は、最も身近で、最もやさしい医療なのです。
    (巨椋修(おぐらおさむ):食文化研究家)

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