日本人はごはんを食べるとき、茶碗やお椀、丼などを左手にもって食べるのですが、韓国では「乞食食い」といってタブーとなっています。
中国では、ごはん茶碗は手に持ってOKですが、その他はマナー違反。麺類などはレンゲを使います。
おなじお箸文化の国なのに、ずいぶんと違いがあります。韓国が茶碗やお椀を手に持たないのは、それらの食器が金属でできているため熱くて持てないんですね。金属製だから重いし。
中国も韓国も、箸とスプーン(・レンゲなど)の両方を使いますが、日本の場合はほとんど箸だけを使って食事をします。
日本の箸文化は、中国や韓国から渡ってきたものでですが、日本の米は粘り気がありスプーンですくうよりも箸ですくったほうがやりやすかったことなどから、スプーンは廃れ、茶碗やお椀は手で持つようになったのではないかと言われています。
また味噌汁やお吸い物のようなスープもスプーンで使うのではなく、お椀から直接口をつけて“すする”という技術を使って飲みました。
この“すする”という行為は意外と高等技術を要するものであるらしく、すすることで熱い飲み物を冷ましながら口に入れているのですが、この習慣がない外国人にはなかなかできないことのようです。逆にいうと“すする”という高等テクニックを身につけてしまった日本人は、コーヒーなど欧米から入ってきた熱い飲み物も、よほど気をつけないとついついすすってしまいます。
ある人が外国人に
「どうしたら、熱い飲み物をすすらないで飲めるのか?」と聞いたところ、「日本人はせっかちだ。我々は冷めるまでゆっくり待つ」
と、言われてしまったそうです。
(食文化研究家 巨椋修<おぐらおさむ>/絵:吉田たつちか)12-07