UA-77435066-1

うま味調味料が中華料理を世界に広めた

 | 

1401-3 『チャイニーズ・レストラン・シンドローム』という言葉をご存知でしょうか? 日本語に直せば『中華料理店症候群』別名を『グルタミン酸ナトリウム症候群』
これが何かと申しますと「グルタミン酸ナトリウム」すなわち『うま味調味料』の大量摂取によって、頭痛や体のシビレなどを感じる症状が出るということだそうです。
かくいうわたし自身も高校時代、学食でラーメンを食べたとき舌が痺れるような、歯が浮くような感じがいつもしていて、ある日その学食でラーメンを作ってい るところを見たら、大匙4杯分ほどのうま味調味料が投与されていたということがあります。そりゃあそんなに大量に入れたら舌もシビレルわさ。
うま味調味料は大量に摂取すると神経毒として作用するかも知れないという説もあるのですが、この説は科学的には証明されておらず、適量だとまったく問題ないそうな。
うま味調味料はその前に『化学調味料』とか言われていたわけですけど、化学調味料なんて、いかにもケミカルで体に悪そうなイメージがありますものね。中に は「化学調味料が入っている食品が美味いなんていう人は舌がバカになっているんだ」なんていう人もいますけどそういう人って、ちょっと美食メディアの迷信 や健康食品神話に影響され過ぎているような気もします。
なぜならばほとんどの中国料理には、この化学調味料なるものがふんだんに使われていて、 中国料理が世界に広まったのはこの化学調味料のおかげであり、一流店でも当たり前のようにこの調味料、つまりは『うま味調味料』を使っていて、世界の美食 家が美味であると認めているのですから。でも、多くの美食家はその料理の美味のヒミツがうま味調味料であることは知らないのかも知れませんが……(苦笑)
「ある若い日本人が、中国料理の修業に本場中国のあるお店に住みこんでいた。そこの亭主の料理はたいそう美味しかったのであるが、日本人の若者がいかに努力してもその味にはかなわなかった。
おそらく秘伝のタレなり味付けがあるのだろうと思っていたが、亭主は教えてくれない。そこでそれとなく亭主の調理姿を盗み観ていたところ、ある調味料をサッと入れているのを見つけた。若者は亭主の味を盗んでやろうと、後でこっそりその調味料を探すとあったのだ。
その店秘伝の調味料『うま味調味料』が……」
という話しが作られるくらい、中国ではうま味調味料が多用されています。もっと言えば「中国料理が世界に広まったのはうま味調味料があったおかで美味しくなったから」という話しが伝わっているくらいです。
世界人口の5人に1人が中国人であるという巨大国である中国は世界中に移民がたくさんいて、あらゆる国に中華街がありましたがチャイナタウンで食事をする 地元の人は少なかったのが、うま味調味料を一振りするだけでアラ不思議。たちまち外国人をも満足させる味に変身するではありませんか! 中国系の料理人た ちは大量にうま味調味料を使用するようになり、やがてあまりに大量に使うので『チャイニーズ・レストラン・シンドローム』などというありがたくない名称ま でもらうことになります。
大量に使うようになったのは中国だけではありません。東南アジアなどもうま味調味料出現によって、ずいぶんとその国の料理が美味しくなったという話しはよく聞きます。
(食文化研究家 巨椋修<おぐらおさむ>/絵:そねたあゆみ)

コメントを残す