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欧米発欧米行き21世紀論

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09-06-3今、アメリカの金融危機により、日本経済は大変なことになってますが、むしろ深刻なのがイギリスみたいですね。せっかく、招致したオリンピックも、もう、それどころではないみたいですし・・・。

この点で、先日、世界三大投資家の一人といわれるジム・ロジャーズという人は、「イギリスには何も売る物がないというだけのことだ」と喝破したという話を耳しました。まあ元々、金融立国を標榜していた国ですから、むべなるかなという気もしますが、そうは言っても、今回の金融危機前には日本でも「これからは英米型の金融立国を目指すべきだ」という声もあったわけで、確かに、日本の金融はもっと雨風に晒した方が良いかとは思いますが、かといって、やはり金融立国にまで踏み込むのは如何なものかとも思います。

その上で、かねてよりの私の持論に、「第三次産業とはエンジンオイルのようなもの。少なすぎるとエンジンが焼き付くが、多すぎても不都合が生じる」というのがあります。さらに、「国の経済力が増すと、ピストンに比してエンジンオイルが増える流れに加速度が付き、それは途上国ほどその傾向が強いようにも思える」・・・と続くのですが、その意味では、今の日本は細ったピストン(第二次産業)が多量のオイル(第三次産業)の中で沈みかけているような状況であり健全だとは言えないように思います。

特にここ数年は世界中が「金で金を生む」ことを指向する考えに突き進んでいたような気がしますので、やはり、他国はどうあれ、日本は「製造業が柱である国家」だということを再認識する良い契機になっているのではないでしょうか。

私は昔、前回のバブル崩壊の頃に「大恐慌には成らないが小恐慌、中恐慌になる可能性はある」と、言ったことがあります。これについては、そうならなかったのは周知の通りで、身の不明を恥じるばかりですが、ただ、「危機が先送りされてきた」という視点に立てば、必ずしも的はずれだったようには思えません。むしろ、大いに計算違いがあったのが、このとき、「もっとも、各国も、追いつめられれば我が身可愛さの行動に走らないとも言えず、大恐慌になる可能性が無いとも言えない」と続けていたことです。G7やサミットというものが、これほどまでに無力な物だとは思いませんでしたねぇ。

保護主義の高まりどころか、各国、不況の初期段階ですでに1930年代と何ら変わりない、「自分さえ良ければいい」を如実に行動で示してましたし。その意味では、結局、国という物の行動原理は19世紀と何も変わってないんだな・・・ということを痛感させられました。

でも、そもそも、21世紀というのは、元々、キリスト教国の概念であり、あくまで幕を開けたのは欧米のみだと考えれば辻褄は合うわけで・・・。つまり、世界の大半は、まだ19世紀<の中にいる・・・と。

 

(文:小説家 池田平太郎/絵:吉田たつちか)2009-06

 

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