私が住んでいるニュージーランドでは、日本からの中古車が多く出回り、港には日本から積まれてきた車のコンテナが数え切れないほど並んでいる。街中は日本車で溢れかえり中には日本で30年前に走っていたような車まで頑張って走っている。
そういうわけで、普段から古い車は見慣れていたつもりだがあんなとんでもない車は初めて見た。それは、整備工場の車で、車体に会社名や広告のステッカーを貼っている一見よくある社用車だった。そしてその広告のキャッチ フレーズには「どんな車でも必ず修理します。完璧に整備できる我が工場へようこそ」と、書かれてあっ た。
しかし、よく見てみると、その車のドアハンドルは壊れ、斜めに傾き、ヘッドライトのカバーは割れて影も形もなくなっており、塗装もはげてサビだらけの車だった。自信満々のキャッチフレーズとは裏腹に、車は修理不可能なぐらいダメージが大きかった。その車を見た瞬間、主人と二人で大爆笑。ジョークにも限度がある。この国は本当にアバウトで良い意味のんびりマイペース。だから住みやすくもあり、定年退職後に住みたい国トップ3に、いつも選ばれている。主人に言わせると、強風によって傾いたメインストリートの信号機を一ヶ月以上も放置しているようなこの国にはうんざりらしいが、私にはまだまだ新鮮で面白く映っている。
(文:ニュージーランド在住、Reeoko/絵:吉田たつちか)