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『古事記』の神々(その10)

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(絵:そねたあゆみ) 

 前回、伊邪那岐命(いざなぎのみこと)は、天照大神(あまてらすおおみかみ)には高天の原(たかまのはら)を、月読命(つくよみのみこと)には夜の世界を、建速須佐之男命(たけはやすさのおのみこと)には海を、それぞれ守るよう命じました。しかし建速須佐之男命はそれを拒んだため、伊邪那岐命から海を追放され近江の多賀神社で暮らすようになったところまでを描きました。

 速須佐之男命は、「天照大神に事情を話しに行こう」と言い、天に昇ろうとしました。そのとき、山や川が一斉に動き、国中の全てが激しい揺れに襲われました。

 それを見た天照大神は、「わたしの弟が天へ来ることは、決して良いことではないということのようだ。自分の国を奪おうという弟の欲こそがいけないことなのだ」と言いました。そして、天照大神は髪型も服装も男装の姿に変え、大きな曲がった玉(ぎょく)をいくつも連ねて一本の緒に貫いた珠を手に持ち、背中には千本の矢を入れるための武具を背負い、脇は革製の武具で武装し、弓を構えて、堅い地面に股まで踏み込み、その土を軽々と蹴散らして、男性のように、地面を踏みしめて大きな声で、弟に向かって次のように叫びました。「何をしに来ようというのか」 速須佐之男命は、「反逆する気持ちは毛頭ありません。わたしは母のいる地底の国へ行きたいとお父さまに泣いて訴えたのですが、そこはわたしの居場所ではないとお叱りになられました。この思いをご理解頂きたく、ここまで参っただけで、謀反の心など微塵もないことをわかってくださいませ」と言われます。天照大神は、

「そなたの忠誠心はどうすれば証明されるのか?」と尋ねます。速須佐之男命は、「占いで神さまのお答えを見て頂ければわかるでしょう」と答えました。

 高天の原には「天の安の川(あめのやすのかわ)」が流れていました。川を挟んで姉と弟は対峙します。姉は弟の剣を受け取り三つに折りました。さらにそれをがりがりと細かくかみ砕きました。その破片からたくさんの神さまが生まれました。

(コラムニスト 気象予報士 CHARLIE)2018-01

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