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鈍行+グリーン車の旅

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(絵:吉田たつちか)

 免許返上以来、趣味であった日帰り温泉めぐりは諦めた。車でなくては行けない場所に電車やバスで訪れるのは面倒だからだ。
 最近は、各駅停車の日帰り小旅行に嵌っている。スマホで、当日のグリーン券を購入して、伊東・宇佐美駅から各駅停車の鈍行に乗車。ipadでの読書に疲れると、ぼんやりと海を眺め、山の緑に目を安め、青空に浮かんだ白い雲をぼんやりと眺める。
 この小旅行で頼りにしているのが、スマホアプリの「Yahoo!乗車案内」だ。このアプリは以前から愛用しているが、最近、進歩していて、いろんな情報が加味されている。
 とりあえず、伊東から東京を設定。所用時間の早い順、乗り換え数の少ない順、料金の安い順のどちらを優先するか選べる。特に目的地が無く、途中下車も視野に入れているので、料金の安い順を選択。途中駅一覧を表示してみる。降りたい駅をクリックすると、その駅周辺の情報の画面が表示される。カフェ、ファミレス、ファーストフード、ラーメンのアイコンから、ラーメンを選択。その駅から近い順にラーメン屋が表示される。
 実は、最近、町中華にも嵌っている。~店と表示されるチエーン店は敬遠、夫婦だけでやっている年期の入った店が狙い目だ。最近この手のお店がどんどん減っている。オーナーの高齢化、後継者不足などが主な原因だ。小生が昔住んでいた小さな町で長年ラーメン屋をやっていた親父が亡くなり、店を手伝っていた次男が店を継がないという。聞くと、親の年金分があったので、かろうじてお店を維持できたが、この分が亡くなるので、経営の目途が立たない。他に働きに行った方がいいのだという。確かに、ラーメン屋に限らず、豆腐屋でも八百屋でも、饅頭屋でも、同じような悩みを抱えているようで、駅前のシャッター通り化が急増している原因の一つだ。
 このアプリ、便利なのはいいのだが、表示される情報が古い。せっかく探しあぐねて行ってみても、既に閉店しているところが多い。しかも、最近ではなく10数年前にすでに店がなくなっていることも少なくない。無料で使わせてもらっているアプリなので文句はいえないが、飲食店などの広告でマネタイズしているようで、おススメ情報もあてにならない。
 とはいえ、店探しの失敗も小旅行の想い出になる。餃子が思いのほかうまかったり、昔ながらのシンプルでなつかしいラーメンに出会えた時の喜びはひとしおだ。
 グリーン券といえば、JR東日本は、3月16日のダイヤ改正で、東京まで1000円だったのに、1550円と大幅に値上げしたのには驚いた。従来は営業キロ51km以上は1,000円で、それ以上はどこまで乗車しても同一料金だったが、今回、新たに距離による区分を追加し、51km以上100kmまでが1,000円、101km以上では利用料金が1,550円となった。5割以上の大幅な値上げとなり痛い。ちなみに、普通列車グリーン車は、東海道線、横須賀・総武快速線、宇都宮線、高崎線、湘南新宿ライン、上野東京ライン、常磐線の普通列車に連結されている車両だ。
 思いがけない小さな発見が魅力な、鈍行+グリーン車の旅をもうしばらく続けてみようと思う。

(ジャーナリスト 井上勝彦)2024-07

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