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昔話「火男」に学ぶ、裏方の価値

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絵:吉田たつちか

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 昔話「火男」が神楽面の「ひょっとこ」の語源だという説がある。
 お爺さんが山で腹痛を起こして苦しんでいた顔のみにくい若者を助けて家に連れ帰ったところ、恩返しのために働いてくれた際、みにくくとがった口を火吹き竹のように使って、とても上手に台所の煮炊きの火を起こしてくれた。その若者がいる間は家はとても栄えたが、婆さんが次第に若者をうとんじるようになり、追い出したところ、家はたちまち衰微してしまったという話だ。
 これを現代に置き換えると・・・・。
 郊外の繁盛していた定食屋。 厨房の奥で十七年、火を見つめてきた男がいた。 顔に自信がなく、口下手で客と目も合わせられない。
 常連以外は名前も知らず、店の新人さえ、「あいつは役立たたずの裏方だ」と笑った。
 しかし店の火は、開店前も、昼の仕込みも、すべて彼が見てきた。 炊き上げの湯加減、揚げ物の油の温度、網の上で炭がよく変わる色。
 二代目にあたる経営者の妻は、彼を良く思わなかった。無愛想で、接客を覚えようとしない。看板写真にも入れたくない。
 とうとう店から追い出してしまう。
 彼が店から去った一ヶ月後、店の味はぶれ、レビューサイトの星は落ちていた。ついには店はつぶれてしまう。
 あなたの職場の「火」は、どこで誰が燃やしているのか。 その火をもやす人は、もくもくと働く目立たない人かもしれないが、実は会社にとってかけがえのない人なのかもしれないのだ。

 (ジャーナリスト 井上勝彦×AI/絵:吉田たつちか)

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2026-10

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