今年も、新型インフルエンザが大流行するきざしがみえてきました。風邪と言えば民間療法としてネギがよいと昔から言われていますが、今回はネギの健康効果について紹介したいと思います。
ネギにはカルシウム、カリウム、鉄などのミネラル類、カロテン、ビタミンB1、B2、Cなどのビタミン類が含まれています。その他、ネギに含まれる特徴的な成分として、アリシンとネギオールという成分があります。
アリシンは、ネギの他にもニンニクやタマネギなどネギ属に共通に含まれる滋養強壮効果のある成分です。血小板の凝集を抑制して動脈硬化を予防する働きが期待されている他、抗菌、抗ウィルス、抗炎症作用もあることが知られています。
ネギオールは、ネギの白い部分に多く含まれている精油成分ですが、アリシン同様に抗菌、抗ウィルス作用があるほか、発汗促進作用などもあるそうです。
ネギが風邪によいとされるのはアリシンやネギオールなどの働きによるものだと思われますが、実際に動物実験による検証も進められています。富山大大学院医学薬学研究部の林利光教授らはマウスを使ってネギの風邪予防効果について研究されています。
林教授らは、マウスに1週間、ネギの抽出物を経口投与した後インフルエンザウイルスに感染させました。ネギの投与はその後も続け、最も増えるとされるウイルス投与から3日後のウイルス量を、肺と気管支で調べたところ、ネギを与えたマウスのウイルス量は、与えなかったマウスの3分の1程度に抑えられていました。また、ウイルス投与から3週間後に、マウスの体内にある抗体の量を調べた結果、ネギを与えたマウスの血液中などの抗体はそうでないマウスに比べ、3倍近く多かったということです。
これらの研究成果からネギは免疫力を高めることによって風邪を予防しているのではないかと考えられるそうです。
伝承的に風邪によいとされてきたネギですが、科学的に解明される日も近いのかもしれません。
(医学博士 食品保健指導士 中本屋 幸永/絵:吉田たつちか)2009-02