震災後、次の2つの症状の相談が増えました。
1、体が疲れやすく、眩暈がする感じでフワフワする
2、怒りっぽくなったり、憂鬱になったりして情緒不安定
震災にあわれた地域はもとより、直接の被害がなかった地域でも、多くの方々が震災映像による心の傷を受けられています。
家や町並みが飲み込まれてゆく大津波の恐怖の映像は私の脳裏にも焼き付いてしまい、夢に見ることもあります。強い恐怖は腎を傷め、生命力を損ないます。
腎が虚してくると、恐怖心が強くなる、不安で眠れない、落ち着かない、体が浮き上がるような浮遊感やフワフワした眩暈を感じる、排尿異常を伴う・・・などの症状が現れます。
1の症状はまさしくそれです。
今回の揺れは長期振動であったため、ユラユラとした揺れで、「眩暈(めまい)かな?」と勘違いされた方が非常に多かったです。
それ以来、何となく揺れているような不安に襲われている方が急増しています。こういった時は、とにかく毎日の食事で補腎してゆくことです。
玄米のご飯に、小豆や黒豆を炊き込んだり、黒ごまをたっぷりかけて食べましょう。
お味噌汁には、ワカメ、昆布、厚揚げ、切り干し大根、干し椎茸などの具を入れ、少し塩気を効かせた味噌汁に仕立てます。
ひじき、松の実、胡桃、人参などを具にしてサラダを作るのも良いです。
また、2の症状の原因は、やはり映像から入るもので、震災痕の街の状況、何もかもを一度に失い何から手をつけてよいのかわからない状況は、強く肝を傷めます。
肝が弱ると、虚脱感に襲われたり、憂鬱になり気が詰まってしまったり、ちょっとしたことですぐに頭に血がのぼってしまいます。
春は肝気が昇りやすい季節なので、5月の終わりまで、しっかりと肝血を補う必要があります。
肝血を補うためには、毎朝梅しょうタンポポ茶をいただきましょう。
おかずには、人参、ゴボウ、れんこんなどのきんぴらや、あずきとかぼちゃのいとこ煮などを常備して召し上がってください。
めまいやふらつきが酷い方は、土踏まずを、温かいコンニャクで湿布すると良いですよ。
(薬剤師、薬食同源アドバイザー 高田理恵/絵:吉田たつちか)
2011-05