6月といえば梅雨で雨の多い月ですが、テレビなどの天気予報でよく耳にすることを書いてもつまらないので、ちょっと難しい話になりますが、アジアの気候と日本の梅雨との関係について書いてみます。
アジアの東南部からインドネシアにかけては、世界で最も顕著なモンスーン(季節風)が吹く地域です。大まかに言うと、モンスーンは、暖まりにくく冷えにくい海と、暖まりやすく冷やすい陸との温度差に起因して吹くものです。その点では1日周期の海風や陸風の原理と似ています(夏・昼間は海から風が吹き、冬・夜間は陸から吹きます)。が、モンスーンは、数ヶ月にわたって広い範囲に影響を及ぼすという点で、異常気象にもつながりかねない世界的にも重要な現象です。
さて。春になり日照時間が長くなり、日射量が増えてくると、海からのモンスーンが吹き始めます。それは太平洋からアジア南東部に吹き付けますが、インド南西部のモンスーンは、その先に立ちはだかるチベット高原を越えられず、高原の南東部を回って東アジアに北上していきます。一方チベット高原の北には冷たくて乾いた西よりの風(偏西風)があり、この風とモンスーンが中国北部から日本西部付近で合流します。そこにできるのが梅雨前線です。海生まれの海育ちで暖かく湿っているモンスーンは、偏西風との湿度と気温の違いにより、大量の雨をもたらすことになります。
一方東日本の梅雨前線は、教科書の記述通り、「北の、冷たく湿ったオホーツク海高気圧と、南の、暖かく湿った太平洋高気圧とがぶつかってできる」ことが知られています。
いずれも雨をもたらすことに違いはありませんが、この時期の降水がないと農作物が不作になったりすることもあるので、雨には感謝いたしましょう!
(文:気象予報士 チャーリー/絵:吉田たつちか)2005-06