子供の嫌いな野菜ナンバーワンと言えば何といってもピーマンですが、実は、意外と優れものなのです。今回は、ピーマンの特長を紹介したいと思います。
ピーマンは割と地味な夏野菜ですが、ビタミン類の補給源としては非常に優れていて、カロテンやビタミンC、Eなどを豊富に含んでいます。特にビタミンCは レモンに匹敵するほど多く含んでいます。さらにピーマンに含まれるビタミンCは加熱しても壊れないという特長を持っています。
これは共存するビタミンP(ポリフェノールの仲間)がビタミンCの分解を防いでいるからです。なお、このビタミンPは、血管を丈夫にするという働きも持っています。
カロテンは油に溶けやすい性質があるので、油炒めなどにすると吸収率が高まります。このとき、通常の野菜の場合ビタミンCが熱によって損なわれてしまいますが、ピーマンのビタミンCは熱に強いので、安心して調理がすることが出来ます。
日本では、伝統的にピーマンは青いものしか流通していませんが、ピーマンも、完熟すると赤くなります。赤く熟したピーマンは、青いものよりもビタミン類の 含有量が3~4倍も高くなります。また、糖度も上がり特有の青臭さも抜けるので、子供にも食べやすくなって一石二鳥です。
しかし、なぜ栄養価の高い完熟ピーマンが余り流通しないのでしょう?それは、ピーマンを完熟させるにはとても時間がかかるので生産効率が落ちるということ と、完熟させると日持ちしないというのが理由のようです。家庭菜園で収穫している方は是非、赤いピーマンも食べてみてください。
なお、ピーマン特有の青臭さはピラジンという成分が原因ですが、ピラジンには血栓が出来るのを防ぐ働きがあり、心筋梗塞・脳梗塞などの予防効果が期待されています。生活習慣病の気になる方は、大人味のピーマンがよいかも!
(医学博士 食品保健指導士 中本屋 幸永/絵:吉田たつちか)2011.06