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マスコミの凋落とネット社会

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(絵:吉田たつちか)

 朝日新聞の決算が9年ぶりに赤字に転落、毎日新聞が減資(41億5千万円から1億円に)で中小企業になるというニュースが流れた。新聞社は10年後にはなくなる運命だと予想する識者もいる。
 テレビ局も同様で、放送内容の劣化は目を覆うばかりだ。一人ゆうゆうとしているのは資金の豊富なNHKだが、ここも国民の批判にさらされている。
 いずれも、ネット社会の普及・発展が大きな要因だが、情報発信の大きな変化は世界的なことであり、従来の新聞・テレビの凋落傾向は日本だけでなく、世界各国同様で、時代の流れに抗うのは容易なことではない。
 先日、久しぶりに東京に出かけたが、もはや新聞が煙突状に置かれていた駅売りスタンドは見当たらず、駅内コンビニにもごくわずかしか新聞はおかれていない。
 小生の住む田舎も同様で、読まれている新聞といえば、ローカル新聞だけだ。これは、義理を欠かない手段として、死亡記事を見るために購読しているのであるが、今回のコロナ禍を契機に、家族葬で済ませる事例が増えているので、その役割も減少している。ローカル新聞とて安泰ではない。
 新聞関係出身の小生としてもいささか寂しい限りである。
 テレビ業界も同じで、コロナ自粛で、芸能人や識者の出演も激減、広告もネットに抜かれ減少の一途をたどっており、出演の機会も減り、収入も激減しているようだ。
 そんな中、GAFAと総称されるIT企業がコロナ禍の追い風を得て、大きく売上・利益を伸ばしているのが気になる。「Google」は検索エンジン、「Apple」はデジタルデバイス、「Facebook」はSNS、「Amazon」はネットショップとそれぞれの分野で中国を除く全世界市場を席巻している。彼らの有するビックデータからの情報戦略はとどまるところを知らず、その創業者達が世界の富を独占するという危険域に達しようとしており、便利になった反面、新たな問題も抱えている。今回のコロナ禍の影に彼らが暗躍しているのではとの陰謀論も信じたくなる。
 ユーチューバーが子どもたちのあこがれの職業となっているようだが、先端を走っているユーチューバーとて、安泰としてはいられない。テレビ界から押し出されて芸能人や映像制作スタッフが、コロナ禍を契機に、続々とYou Tube界にシフトしているからだ。彼らプロ集団が本格的にこの分野に進出してきたら、素人は弾き飛ばされかねない。
 そんな中、小生も、動画編集ソフトを購入してYou Tube発信に挑戦してみた。なかなかおもしろいし、自分で全てやるぶんにはさほどお金もかからないし、新たな趣味としても有用だ。とりあえず、細々とやっている自動車修理専門ネット書店(TEBRA)の新刊紹介とphoto俳句を発信することにした。facebookでも最近、動画配信(Watch)を初めているのでこちらにもアップしている。なかなかおもしろい世の中になってきたので、コロナごときではフェードアウトできない。
 (ジャーナリスト 井上勝彦)21-03

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