天気予報で何気なくひんぱんに使われることばで、何となく聞き逃していることはありませんか?例えば、「前線」「寒気の中心」「ジェット気流」、などなど。
これらは、「高層天気図」といって、地上より高いところの天気図を参考にして決められています。
新聞や天気予報で見かける天気図は、「地上天気図」です。描かれている線は、同じ気圧のところを結んだ「等圧線」や前線です。しかし高層天気図は、これとは全く違っています。
例えば、前線を決めるのは主に「850hPa(ヘクトパスカル)高層天気図」です。つまり、地上では、気圧が同じところを結んで線を引いているのに対し、高層天気図では気圧が同じ場所の「高度」に線を引いているのです。これを「等高度線」と言います。前線は、850hPaの天気図で、等高度線が密集しているところを目安に引かれます。850hPa面は、およそ、高度1,500付近、つまり、富士山の中腹辺りの高度に当たります。
また、高層天気図に描かれているのは等高度線だけではなく、観測地点の気温や風向・風速、湿度なども表現されています。そこで、500hPa面での気温が-30℃以下になると、おおむね「寒気」と呼ばれます。500hPa面といえば、高度はおよそ5,000m。エベレストの中腹くらいに当たります。真冬の寒気は-45℃以下になることもあるのですよ!
ジェット気流は、300hPa面、高度約1万m、国際線旅客機が飛ぶくらいの高度で吹いている強い風です。
高層天気図には他の特殊な気象要素が描かれたものが、他にもたくさんあります。こうやって立体的に見た大気の要素をコンピュ-タにかけ、日々の天気予報は発表されているのです。
(気象予報士・小説家 チャーリー/絵:吉田たつちか)2009.01