スマホの指紋認証を使っていたが、これが認識しなくなった。老化で指紋が薄くなったのか?あるいは家人のやっている海辺の小さなカラオケスナックのマスターならずダスターを2年ほどやっていて、皿洗いと便所掃除が役目だが、その際、使っている食器洗い用洗剤の薬害なのか、とにかく上手く可動しない。
スマホにはモバイルSuicaが入っているのだが、指紋認証ができないので、乗り降りする時にいちいち、暗証番号を入力しなければならない。
改札口で立ち止まり、暗証番号を打ち込む姿は、他の乗客には迷惑千万で、スマホが上手く使えない典型的な老害人にうつるにちがいない。
このスマホは、もう7年以上使っていて画面のヒビも多くなっている。そんなわけで意を決して、最新のスマホ(iphone 16pro)に替えた。
新しいスマホには、指紋認証装置がない。顔認証を使うのだそうだ。ショップの店員に、頭が禿げてきたら、どうするのだとか、眼鏡をかけた時は認識するのかとか問うたが、いずれも問題ないという。当初、スマホ画面に顔を近づけて、駅の改札を通っていたが、そんな気づかいは無用なようで、普通にスマホをかざすだけで通過できる。
便利この上ないのだが、少し、恐怖も感じた。中国では、顔認証技術が社会のあらゆる場面に導入されており、街中の監視カメラ、公共交通機関、ショッピングモール、さらには学校やオフィスにも設置されているという。これらのデバイスは個人の顔を読み取り、政府のデータベースと照合することで、個人の行動履歴や移動情報を追跡可能にしているという。
治安維持や犯罪抑止に一定の効果がある一方で、個人のプライバシーや自由が大きく制限されるという問題をはらんでいる。スマホの顔認証も、基本的には個人の端末内で処理される仕組みだが、データの取り扱い方次第では国家や企業による情報収集の入り口ともなりうる。使い方次第で、人を守る道具にも、人を縛る鎖にもなるのだ。
トランプ大統領の関税発言で世の中大混乱している。そのため、iphoneが30万円以上になるのではと騒がれているが、その前に入手して良かったと、安堵していたら、今度は、中国で作られているスマホやパソコンは相互関税の対象から除外するというニュースが飛び込んできた。朝令暮改を物ともせず、自分流をつきすすんでいる彼は、既得権を排除して世の中を変える偉大な改革者なのか、それともドン・キホーテかピエロなのか、とにかく目を話せない。
(ジャーナリスト 井上勝彦)
大規模修繕工事新聞 184号 2025-05