大人のアトピーのご相談に多いのが陰部のアトピーです。お子さんのアトピーでは、卵、乳製品、動物性のタンパク質、脂肪そして白砂糖食品を摂りすぎず、穀物菜食を取り入れてゆくことが養生の基本となりますが、大人になってから発症するアトピーは、肺、脾、腎の弱りと肝の使いすぎ(異常亢進)が根本にあります。
長年アトピーの発症と緩解を繰り返している方は、基本的な食養生はすでに身につけておられ、季節の変化に伴うストレス、環境の変化に伴うストレスが差し水となって一時的に症状が出るが養生のコツを知っておられ、何とか体調をコントロールする術を身につけておられる方が殆どです。
ところが、大人になってから初めてアトピーを発症した方は、今までうんと加工食品、インスタント食品、外食を重ねてこられた方が多いようです。そして年齢とともに五臓が弱まり、今までのように解毒できなくなった結果、症状が現れます。
加工食品やインスタント食品、外食は、添加物が多いだけでなく、脂肪もカロリーも高いものが殆どです。血液の中に、未消化のタンパクや薬品があふれると、肝臓は大変に疲労します。 解毒しきれない毒は脂肪の中に一時蓄えられます。
乳腺、陰部は、どちらも肝の経絡が通っており、非常に毒が溜まりやすい箇所なのです。さらに陰部は他の皮膚に比べて熱放散しやすい箇所ですので、他の皮膚の汗腺が閉じていて汗がなかなかかけない方では解毒が陰部に集中してしまい、なかなか症状が改善されないのはこのためです。
陰部の症状がなかなか取れない方は、解毒を促進するタンポポ茶やツヤゴールドに、肺脾腎の虚損を補い、代謝経路を改善する通竅を加えられることをお勧めします。 汗がかけない、気持ちよく排便できないなどは肺の働きが大変に関与しているからです。また、下剤に頼らないと排便できない方は、長く服用しても心配のない土大黄に変えてみられてはいかがでしょうか?
食物の他に、肝に大変負担をかけるのが、ストレスと睡眠不足です。大人にはどちらもつきもので、だからこそ養生していただかないとそこから脱することができません。その日のストレスはその日に帳消しにする発想。そして遅くとも11時には就寝してくださいね。
(薬剤師、薬食同源アドバイザー 高田理恵/絵:吉田たつちか)2011-04