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なぜにトマトは赤いのか?

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1008-02 梅雨も明けて、夏真っ盛りですね。夏といえば、夏野菜の代表格トマトが美味しい季節になりました。ところで、トマトはとても鮮やかな赤色をしていますが、なぜ赤いのかご存知でしょうか。これは、とても目立つ色だから鳥などに発見されやすく、食べられることによって種子が遠くまで運ばれ、子孫繁栄につながるからであろうといわれています。トマトの鮮やかな赤色を見るととても食欲をそそられ、何だか納得します。

さて、この赤色ですがリコペン(リコピン)と呼ばれる色素によって赤くなっています。リコペンは人参のβ-カロテンと同様カロテイノイドの仲間です。

β-カロテンが体内でビタミンAに変換されて重要な役割を果たすのに比べ、リコペンはビタミンAに変換されることもなく、役立たずだと思われていました。しかし、近年の研究によって、悪玉の酸素である活性酸素を消去する働きがβ-カロテンの2倍以上も優れていることがわかりました。活性酸素は様々な病気の原因として関わっていますので、動脈硬化の予防など様々な効用が期待されています。

さらに、トマトにはリコペンの抗酸化作用以外にも意外な働きを持っていることがわかってきました。加工用のトマトの果皮に多く含まれるトマトポリフェノール(ナリンゲニンカルコン)にはアレルギー症状を引き起こす原因物質であるヒスタミンが体内で分泌されるのを抑制する働きがあるそうです。この働きによって、花粉症などのアレルギー病の症状を抑える作用も期待されています。実際に、花粉症対策として加工用トマトを用いた健康食品を開発している会社もあるようです。

トマトは非常に身近な食品ですが、いろんな効用を秘めていたんですね。

(文:医学博士 食品保健指導士 中本屋 幸永/絵:吉田たつちか)2010-08

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