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空腹感が収まる「懐石料理」

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0608-02 『鬼平犯科帳』や『仕掛人藤枝梅安』の著者である池波正太郎。彼は昭和の文豪でも特に抜きん出た食通だった。証拠は数々の著作。どこそこの料亭のなんと言う料理で、どんな食べ物でどんな味わいだったかなんて、素人では書けない芸当である。
入院時も病院食を採らず、もっぱら料亭に頼んで作ってもらっていたという。最期の食事も、神田にある料亭だった。(『知識人99人の死に方』より引用)
京都の料亭を中心によく見かける「懐石料理」。語源は「茶道」と「禅宗」だった。もともとは空腹に耐えるための禅僧の裏技だった。暖めた石を懐に入れると、空腹感が収まるというものである。千利休もそれに倣おうとしたが、大名、それも織田信長などのVIPを相手にする身分ゆえに、下手なことはできない。
そのため、本来では出さないちょっとした料理を出したのである。これが、「懐を暖める石の役割の料理」、懐石料理の始まりである。
(文:HERMIT/絵:吉田たつちか)2006-08

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