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名前が語り継がれる人は?

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2015-08-5 今、明治百話という本を読んでいるのですが、これは今で言う、明治時代当時を知る老人らへの回想インタビュー集のようなものなのですが、読んでいてちょっと思ったことがあります。それは、回想者たちが、たびたび、あたかも知っていて当然のような口ぶりで、有名人と思しき人のことを語っていることで、私は多少、一般の人よりも詳しいつもりなのですが、それでもまったく聞いたことがない人ばかりでした。ところが、よく考えれば、これは何も明治に限った話ではなく、昭和・・・、それも私が十分に物心ついたはずの時代のことにも当てはまるということに気づきました。
もう、30年以上前になると思いますが、三鬼陽之助という老経済評論家の著書を読んでいた時のこと、文中に、「あの」という冠付き
で梶山季之という作家の名前が出てきました。当時、著作が猥褻物頒布の容疑で略式起訴され罰金5万円の有罪判決を受けたり、
昭和44(1969)年には文壇長者番付第1位となり、昭和50(1975)年に死去するまで、その派手な生活は知らぬ人のいないほどの知名度だったようです。が、私はその名前を知りません。昭和50年であれば私はもう中学生ですから、それほど有名な人であればもう少し知っていてもよかったようにも思うのですが、とにかく、まったく聞いたことも無い名前でした。で、今更ながらに最近、思い出してその人の本を読んでみたのですが、ここにもこれまた、「知らない人はいないでしょう」・・・みたいな感じで色んな人の名前が出てきます。
が、やはり知らない人少なからず・・・で、GHQの大物ケーディス大佐を籠絡した鳥尾子爵夫人なんてのも初めて知りました。(ケーディスが女性問題で窮地に立たされたのは薄っすらと記憶してましたが。)
重ねて言いますが、私は一般の方よりは絶対に知っている方だと自負しております。でも、同様に、中上健次という作家も知りませんでしたし、檀一雄も単に女優・檀ふみの父としてしか知りませんでした。おそらく、そういうと、上の世代の人からは、「えー?!」と言われそうですが、かく言う私も先日、30代の人と飲んだ際、鶴田浩二知らない、三船敏郎知らないと言われ、挙句は20代の人から赤穂浪士も知らないと言われ、絶句しました。もう、おそらく、今の若い人なんかは山城新伍なんかも知らないんじゃないですかね。一時期はあれだけテレビに出てましたが。そう考えれば、今をときめく人たちのうちで一体、何人が後世に名前が語り継がれるのかなと思った次第でした。ギネス記録作った、みのもんたなんかも怪しい限りのように思いますが。(小説家 池田平太郎/絵:そねたあゆみ)2015-08

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